愛される学校づくり研究会

【第8回】五反野小学校の学校理事会は、新しい学校運営に関する法律のモデルに

五反野小学校の学校理事会は、「地域立」という新しいタイプの学校運営を実現するために、学校、地域、保護者、行政のそれぞれの代表が集まって組織された、五反野小学校の最高意思決定機関です。この取り組みは広く注目され、先日制定されたコミュニティ・スクールの設置を可能とした「地方教育行政の組織および運営に関する法律の一部を改正する法律案」にも大きな影響を及ぼしたようです。

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学校理事会の構成とこれまでに審議した主な議案は、以下の通りです。
 

●理事会の構成
 ・地域代表 3名
 ・保護者代表 3名
 ・学校代表 4名
 ・行政代表 1名
 
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●これまでに審議した主な議案
【教育課程に関わる事項】
 教育目標や指導の重点、授業時数等の教育課程の内容に対して、地域からの提案・要望を反映できる。
 また、評価を通して適宜柔軟な学校経営を行うことが可能になる。
【学校予算に関わる事項】
 予算に関して拡大された裁量権に基づき、地域の意向を反映した予算編成・執行が可能になる。
【学校経営計画に関わる事項】
 学校と理事会が協働して、民間経営的な視点を加味した学校経営計画を策定する。これによって、校長が代わっても継続的な学校経営が可能になる。
 

学校理事会の顧問である筑波大学教授 小島弘道先生にお話をうかがいました

Q.日本の教育における五反野小学校の理事会の意義について教えてください。
A.五反野小の学校理事会の実践・取り組みは3年目となりますが、これは、日本の学校を変えていくことに、大きく貢献しています。学校運営協議会の設置をうたった「地方教育行政組織運営法の改正案」の制定に大きな影響を与えていることは、五反野小が大変誇りに思ってよいことです。
 学校理事会の運営を観察するにあたって、当初は、果たして日本の中でこのようなシステムは実現するのか、定着は難しいのではないかという疑問がありましたが、今では、運営のやり方をうまくすれば、日本の学校に導入できるものであると確信しています。
 
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筑波大学教授 小島弘道先生

Q.学校理事会を成功させる秘訣は何でしょうか。
A.まずは、地域がしっかりしていなければなりません。そして、それを受け止める学校があって、そして協働と信頼関係が重要です。五反野小の学校理事会の運営の中でも、2年の間、いろいろとギクシャクすることもありました。しかし、これはあるのが当たり前で、このようなよい緊張関係があって、それを解決することで、よりよい学校理事会の姿になっていったと思います。
 
Q.五反野小の学校理事会の特徴はどんなところでしょうか。
A.一番の特徴は、理事会が最高意思決定機関であるということです。これは、新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究指定校の中でも初めての試みであり、まさしく日本初のことだと思います。
 また、運用上の特徴としては、学校理事会と校長先生の関係があげられます。これは、会社でいえば、取締役会と執行責任者の関係にあたりますが、この関係を従属関係と考えてしまうのは不幸です。民間出身の校長先生は、執行機関という意味を自覚して、地域の意向を受け止めながら、学校の主体性をもって、バランスよく実行されていると思います。
 
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Q.このような学校理事会が全国に広まっていくのでしょうか。
A.五反野小学校の実践がうまくいったのは、地域がしっかりしていて、まとまりと繋がりがあり、そして地域を束ねるリーダーがいたことです。「おらが学校」という自覚が、地域にあったことが大きいと思います。
 この学校理事会のしくみが、日本の学校の中で、どう定着していくかはまだ未知数ですが、法律化され、行政の責任として全国に広がっていくことは確かですので、注目していきたい思います。

(編集部 小西)
   

(2004年7月5日)

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●週刊五反野小通信

日本初の「地域立」小学校として、学校・家庭・地域が三位一体となって新しいタイプの学校づくりを進めている東京都足立区立五反野小学校にスポットをあて、そのさまざまな取り組みを週刊でお届けいたします。
 

◆足立区立五反野小学校◆

・文部科学省 「新しいタイプの学校運営の在り方に関する実践研究開発」指定校
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