【第10回】4月の教室はエネルギーがいっぱい
4月当初の子どもは、まず初めに担任の先生が自分のどんな点を認めてくれる人なのかを判断しようとして、教師の動きに注目している。また去年までの自分のマイナス部分を減らそうという気持ちを持っている。そのときには、教室中が「がんばるぞ、今年は〜ができるようになるぞ」というエネルギーに満ちあふれている。そのときを逃さず、よいスタートをさせたい。
では、4月当初に実践していることを具体的に紹介しよう。
ステップ1:「聞く」ことができるようにする
教師の話を聞く。友達の意見を聞く。発表は聞いてから。
この3つのことができるように4月から学習規律を身につけさせる。
「よく聞きなさい」という指示ではなく、教師は「聞かないとわからないこと」「見てないと答えられないこと」を発問するように心がける。
例えば次のように声かけをする。
* 「〜君の意見のよいところはどこですか?」
「聞く力」が伸びる。答えではないので友達の考えを聞いていないと発表できないからである。ただし、よいところを聞くというのは、高度な力がいるので何回も発問することは避ける。
* 「A君が指した場所とB君が指した場所はどういうふうにちがいますか?」
A君は頂点を指し、B君は辺を指しているときなどに聞くと、頂点と辺のちがいを確認できる。頂点、辺という名前を覚えるだけでなく、頂点の意味、辺の意味も確認するような授業展開になる。
ステップ2:発言することのよさを感じさせる
- 「式と答えが出てからじゃないと発言できない」という偏見をなくす。発言というと結果が出なければいけない、しかも正しい答えだけでないといけないという思いが子どもには強い。予想してもいい、自信がなくて途中まででもよい、なんとなくそう思う、というあいまいな考えでもよいことを子どもに伝える。
*「〜足し算したらできそう」(予想発言)
*「足すとすごく増えちゃうからこまると思う」(見当づけ発言)
など、算数でも、数値が入った式や答え以外にも発言できることを教える。 - 教師の発問や友達の意見に対して反応することを促す。(うなずく、首をかしげる、つぶやく、など)は手を挙げることと同じだということを教える。
ステップ3:子どもとふれあって授業を進める(○付け法を含めて)
- 黒板からはなれて子どものそばで話を聞く。
- 子どもの目を間近で見ながら発言を聞く。
ステップ4:意図的指名で個に応じた発言力を身につけさせる
* 「A君、B君の意見についてどう思った?」・・理解力が普通の場合
* 「C君、みんなの意見から気がついたことがありますか?」
・・授業の後半で学習内容をまとめることができる場合
* 「Mさん、Sさんが言った直線ABを指してください。」
・・学習の過程をつかむのに時間のかかる子の場合
ステップ5:「書く」習慣を身につけさせる
- 授業の終わり(5分)には、1時間の学習内容をふりかえる時間を設ける。
- 「書きなさい」と指示した場合には必ず目を通して○付けをする。毎日継続していくことが必要なので、簡単によいところだけに○付けをする。
- 書かれた内容をもとに次時の計画を立てる。(板書計画)
(2007年4月2日)