【第3回】子どもの個性を輝かせる意図的指名
指名することは先生の役割 授業の中で、教師が子どもを指名することは授業の流れを決めるうえで、とても大切なことです。子ども同士の相互指名という方法もありますが、私自身は、この場面で指名するのは誰が最適なのかを判断できるのは教師だと思います。もちろん子どもの考えに沿って流れを決定することは重要です。教師の一方的な流れに合う子どもだけを指名することとは違います。今回は私自身が考える子どもの個性を輝かせる意図的指名についてまとめてみます。 |
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計算だけが得意な子
そろばんなどを習っていて計算は速く正確にできる子どもがいます。ところが筋道を立てて考えることが苦手なために「どうやって考えましたか」という発問にはしりごみする子どもがいますね。計算力には自信を持っていますので、34×25の答えは即答できるわけですから、そういう子には、まず計算場面で意図的に指名して、自信を持って発言できるようにしてあげることができます。
発想が豊かな子
発想が豊かな子どもを大きくとらえると、図形部門が得意な子どもと数量関係が得意な子どもに分かれます。
図形部門で言えば、三角形の面積を求める場面で図形を移動させて長方形を作ったり、平行四辺形を作ったりしてあっと驚かせるような図形の変形が思いつくタイプです。
数量関係では、99を100−1と考えて、46×99を46×(100−1)に変換 したり、1、4、9という変わり方を見て、1×1、2×2、3×3というふうに考えが思い浮かぶタイプです。
こういった発想の豊かな子どもは、得てして計算ミスが多いのです。なかなか自力では正しい解答まで行き着きません。しかし、授業の中では発想の転換の場面で活躍することが多いので、話し合いに行き詰まったときなどに指名することにしています。
生活体験で考える子
計算をして答えが出たときに、自分の体験と照らし合わせて考えることができる子どもがいます。「時速80キロメートル」という答えが出たときに、「高速道路で、そう言えば80って書いてある標識があった」という発言ができる子どもです。解答として出てきた答えが本当に妥当なのかを検証したり、身近な数値として認識させたりするときに活躍できます。授業の後半部分で指名することが多くなります。
このように教師が子どもの個性をとらえて意図的に指名することは、子どもの個性を輝かせることになります。子どものよさをさらに伸ばす教師でありたいと思います。
(2004年1月19日)