【第13回】鉄は熱いうちに打て! 1年生の生徒指導が3年間を決める!<苦しいことをどんどんやらせよ!―駅伝編>その6
「最終段階 意識高揚作戦」
駅伝大会当日まであとわずか…。 |
これを私は、「心情揺さぶり、やる気を出させる大作戦」と自分で勝手にださい名前をつけて、実践している。
−牧中より愛をこめて!−
■はじめに
みなさんのもとにわけのわからない招待状が届いてから、2か月半が過ぎました。自分から希望して参加している人を含め、今現在約220名の人が、「しぶとく」練習に参加しています。「だまされた!」と思っている人、「自転車通学の魔力」でやめられない人、3年生にいたっては、「牛丼」のためだけにがんばっている人…。そして「純粋に駅伝に燃えている」人、「功労賞ゲット」をねらっている人…。「先生におどされ」しぶしぶ続けている人。ここまで続けている理由は一人ひとり違うようですが、よく、やめずに練習に参加してきました。
正直いってこんなにたくさん残るとは思いませんでした。びっくらこいています。特に、3年の数は、ここ数年で最高の数です。また、去年の駅伝終了時から今年の大会に備えて、朝ずーっと走り続けていた人もいます。いよいよ大会があさってに迫ってきました。試走会でも上位チームを決する最後の勝負をしてきた人もいます。今日配った最終案で当日走りたいと思っていますが、当然のことながら、本番当日体調を崩し走れなくなる人もいます。名簿に名前がなかった人も、いざというときに備え、最後まではりつめた気持ちを持っていて欲しいと思います。220名もいる中から下に書いてあるようなことを考えてチームを決めました。がんばって練習してきたのに選手として走れない人には本当に申し訳なく思っています。
■チーム・区間選考の基準
(1) 駅伝をこよなく愛し、これまでたゆまぬ努力を続けてきた。
2・3年は今年度だけではなく、部活を含む全ての活動をトータルして。
たぶん誰が地道に練習をやっていたかはみなさんの方がよく知っていると思います。
(2) 3000m・2100m・2000m・試走会で、好タイムを叩き出している。
選手選考の基本です。時には勝負の世界ですから非情な選択もします。
特に本年度実績がない人は、判断のしようがありません。
(3) 本人も気づいていない潜在能力を秘めている。
こういう人は、大会当日下位チームでありながら区間賞を取ったりします。
(4) 将来性が高く、今後の駅伝部を背負っていく。
Aチームに入る力があっても、今後の小牧中の大黒柱になるために、
エース区間をBチームで走ることもあります。
(5) 駅伝を自分の本来入っている部活動の修業の場とする。
各部活の顧問の先生が、「こいつには、苦しい思いをさせ、
もっと精神的に強くなって欲しい」など想いを持っている場合は、
「ひぇ〜何で俺が・私がこんな苦しいところ…」と思う区間を走ることになります。
部活顧問の先生の期待に応えましょう!
(6) 性格・気性・運動適性等
負けん気が強く1区向けの人、粘りがあり3区向けの人、
短い距離なら根性が出せる人、目立つところが好きな人、
女の応援があると150パーセントの力が出せる人、
からだが軽く坂道に強い人、鈍感で苦しみを感じにくい人等。
以上のような観点を中心に、決定しました。と…いうことで、今回自分の名前が乗っている区間を、前向きな気持ちで精一杯走って下さい。お願いよぉ〜ん!
■大会への傾向と対策
「男子編」
男子の、ライバルと考えられるのは、今年は「小牧西中」が第1にあげられる。県の長距離継走大会で26位に食い込んでいる。あなおそろし! また3000mを9分台で走る怪物ランナーもいるという噂もある。また本年度は、小牧市民のための市民駅伝であるローカルな大会に江南の「古知野中」が再びのこのこ乗り込んでくる(くるなー!)。県の大会で男子31位と小牧西中と同じような力を秘めている恐ろしい存在である。「北里中」も毎年気合いが入っているので、虎視眈々と本年度優勝をねらっているはずだ。昨年強かった「応時中」「桃陵中」などの存在も侮れない。陸上界のダンボ耳オッシーが本年度は小牧中にいないため何の情報も入っていないだけに、本年度の大会は予想はきわめて難しいと言える。と、こんなことを考えていても全く無意味である。対策としては、約3か月の自分がしてきたことを信じ、仲間を信じ、精一杯走ることしかない。結果よりも自分のベストな走りに心がけよう!
「女子編」
女子で怖いのはやはり「応時中」と「桃陵中」と「北里中」。本年度は、大砲がいるという噂は流れてこないので、各チーム当日の調子次第かもしれない。しかし…………エントリー表を見てびっくら仰天! 昨年女子で優勝をかっさらっていった、「古知野中」女子しつこくエントリーしているではないかいな! これはいったいどういうこった! 小牧市民でもないのに、またのこのこと、こんなローカルな大会に参加してからに…。市民駅伝を盛り上げようと貢献している小牧中の立場はどうなるの…。とほほ…。小牧市までわざわざ乗り込んでくると言うことはそうとうな自信があるからにちがいない「ひぇ〜っ!」だが、我が牧中も3000m12分前半で走ることの出来る選手をまんべんなく揃えた。総合力としてはどの学校にもひけはとらないはずである。余分なことを考えず、男子同様ベストを出し切ることだけを考え走るのが最大の対策と言えそうである。
■終わりに
いよいよチームを決定する時期になってしまって、正直とても悩みました、みんな、なんだかんだといいながら、がんばって練習を続けてきたからです。チームは男子はA〜Jの10チーム、女子はA〜G7チームでエントリーしました。自分の思っているチームに入れなかったり、区間を走れなかったり、出場さえすることさえできない人もいると思いますが、先生たちの気持ちは全員がAです。多くの人が競い合って、支え合ってここまできたのですから。競い合う人がいなかったらここまで記録は伸びません。支え合う友だちがいなかったらここまで練習を続けることはできません。小牧中学校のように、こんなにもたくさんの人が一つの事に取り組んでいることが先生は素晴らしいことだと思います。先生もはっきり言って、計画を立てたり、毎日長い時間外に出てでかい声を出したり、記録を集計したりするのがやになる事もあります。でも、朝早くきて、走っている人の姿をみたり、少しでも上位のチームに行こうと、果敢に記録に挑戦している人の姿を見ると、「自分もがんばらなければ」と元気を出すことができます。駅伝部員は運命共同体です。
いつもみなさんに言っています。
「自分の子どもに語れる思い出をつくりましょう!」
「あなたのために車を止めた車道を思いっきり走りましょう!」
「最後は勝負ではない!走りを楽しもう!」
「たすきを想いを込めてつないでいこう!」
「努力は自分を裏切らない!」
最高の雰囲気で大会を迎えられるようみんなの心を一つにしましょう!
駅伝編の最初に書いたが、今時の中学生は、興味、関心、個性、選択と言う観点から見ていくと、間違っても持久走に自分から進んで取り組む生徒はほとんどいない。しかし、有無を言わせずやらせることから始まることも沢山ある。駅伝への取り組みは、最初はいやいややっているが、練習を続けていくうちに、自分でも思ってもいなかった力、個性に出会うことができる。
1年生の時からどのような経験をさせていくかが重要であり、多分、この取り組みは生徒指導や、各教科指導でも同じだと考えている。秘めたる能力、個性に気づかせるためには、苦しいことにどんどん挑戦させることが必要だというのが私の信念である。ただし、その中で、生徒たちに思いをどう伝えていくか、楽しさをどう見いださせていくかを常に熱く語れなければならない。駅伝部報は思いを伝える手段であり、自分たちのしていることに、価値を感じさせる手段である。まあ、何て独りよがりなと思われるかもしれないが、臆病者なりにポリシーを持って続けている。
練習最終日の部報にも、活動が伝統として続くよう生徒たちに語りかけている。
−牧中より愛をこめて!−
■さあいよいよ本番! 自分の力を試す時がきた!
9月の半ばから始めた練習も、明日で終わりをむかえます。今まで本当にご苦労さまでした。先週、1500mの計測をしました。多くの人が、自己ベストを出すことができ、きっと大会に向けての大きな自信になったことと思います。やるべきことは今までやってきたので、直前になってじたばたするのはやめましょう! また、いい記録が出なくてショックを受けている人、今までの中で一番良かった時のことをイメージしましょう!今までしつこく言い続けたことですが、努力は自分を裏切りません。また、大会当日調子が悪くても、必ずそれをカバーしてくれる仲間がいることも忘れてはいけません。今まで練習に一生懸命取り組んできた自分を信じ本番に臨んでください。
■3年生はやっぱりすごい!
3年生は今年が最後の大会となります。中にはだまされて始めた人もいますが、駅伝の本当の魅力を知った人は、もう、受験シーズンが始まっているにもかかわらず、前向きに練習に取り組んできました。密かに朝練を続けてきた人も何人かいます。勉強は大丈夫なのかと心配する人もいましたが、どちらかといえばこの前の期末テストでも成績が上がった人が多かったようです。心配ご無用です! 駅伝練習で培った「粘りと根性」は、こんなところでも役に立つのです。自分から困難に立ち向かおうとしている人が、たかが受験なんていうプレッシャーに負ける訳がありません。そして、男子30名、女子17名の人が最期まで残ったということはすごいことだと思います。どの中学校をみてもこれだけの人数の3年生が参加しているなんてことはあり得ないことだと思います。
勉強と運動の両立は出来るのです。むしろ両立出来る人になることが理想だと言えます。「何々があるからこれは出来ない」という生き方ではなく「何々があっても、これも全力でがんばる!」という気持ちをもつことが人生を豊かにしていくのだと思います。最後の1本…思い出に残る自分の走りをして下さい。
■みんなの心を1本のたすきに…!
チーム・走る区間が、自分で満足のいくものではない人もいると思いますが、全力を出しきってきてください。区間賞はすべての人にチャンスがあります。1本のタスキは、今までの練習の血と涙と汗のしるしです。一緒に練習してきた仲間の絆です。その1本のタスキに心を込めて次の人に確実に引き継いでいけるよう頑張ってください。また、選手として走る人は、同じように練習をしてきたのに走れない人の分まで頑張ってほしいと思います。
■スタート前の心得・走っているときの心得を忘れずに!
最後の試走の前に配った「スタート前の心得」「走っているときの心得」をもう一度よく読み、必ず実行してください。特にアップが足りないと、思うような走りができません。お守り代わりにそっとジャージのポケットに入れておき、どうしたらよいかわからなくなったとき役立ててください。
■体調管理は万全に!
少し体調を崩している人もいますが、当日までに体調を万全の状態にしておいて下さい。一番よいのは、十分な休養をとることです。大会前日に「夜更かし」など言語道断です。また、バランスのよい食事にも心がけてください。大会当日の朝食も必ずとるようにして下さい。朝早いので、食べられない人は、おにぎりを持ってきて学校で食べてもよいです。走るときのエネルギー源となる炭水化物だけは欠かさないようにして下さい。また、バナナも大変有効です。12日(日)は2日間朝早いのが続きますが、おうちの人によくお願いして協力してもらって下さい。12月11日(土)<本日>の練習後全員そろってバナナを食べたいと思いますので、忘れず持って来た人はバナナパーティー※に参加して下さい。
やることはやった! あとは野となれ山となれ!
人事を尽くして天命を待つ! 人生常に全力投球!
みなさんの活躍を期待しています!
※筆者注)バナナパーティー=直前練習のあと、バナナで健闘を祈り乾杯をするバカバカしい伝統
(2005年3月7日)