【第9回】鉄は熱いうちに打て! 1年生の生徒指導が3年間を決める!<苦しいことをどんどんやらせよ!―駅伝編>その2
1.練習開始段階
しばらくはからだをならすための30分のジョギングが練習メニューの中心となる。
「今日の練習は、30分のジョギングだ! 自分が気持ちよく走り続けられるペースでいいから、絶対に歩くな! とにかくある程度の時間走ることへの抵抗感をなくすことが大切だからな!」
と言う言葉に、わかりきったように2、3年生は何の文句も言わずに楽しそうに走り始める…(これが一番楽な練習メニューだということを知っているからである)。
スタートして5分、1年生はどうかというと…
<もう歩いているではないか!><遊んでいるやつもいるではないか!>
「こら〜! お前たち、歩くなと言っただろ! 歩いていたら何にもならんだろ〜! バカたれ! まじめにしっかり走れー! お前たちやる気があるのか! やる気がないなら帰ってけ〜! バカたれ!」
と、保護者の皆様、人権擁護委員会の方からお叱りを受けること間違いなしの言葉を浴びせ、恐怖に駆られ再び走り始める子どもたち。2、3年生は苦しそうなそぶり一つ見せず淡々としたペースで走り続けている。
「余分なところに力を入れず、リラックスした状態で腕をリズミカルに振って気持ちよく走れよ!」
スタートして20分経過、1年生はどうかというと…
<また歩いているではないか! しかも半分以上…>
ふつふつとまた怒りがこみ上げてくる。
「バカたれー! 足を止めるな、足を! 武士は走れなくなったらおしまいじゃー!(多分今の生徒たちには全く理解できない言葉、ご父兄の方で理解できるのは多分一部<七人の侍>)お前たちに根性はあるのか〜! やる気がないなら帰ってけー! 何しに来とるんじゃー!」
と、再び保護者の皆様、人権擁護委員会の方からお叱りを受けること間違いなしの言葉を浴びせる…。
参加している1年生の意志とは関係なく半ばだまして無理矢理やらせているのに何たる所業…。しかし、ここで甘えさせては、せっかく参加している生徒に力をつけさせることができないので、「俺は鬼になる!」と臆病者で保護者からの苦情の電話にびびっている自分にムチを打ち、指導を続ける。
<ピピーッ…30分のジョギングがやっと終了した…>
生徒を集め、
「苦しみを乗り越えたところに大きな喜びと栄光がある! 苦しさに負けず、自分に勝て!」
「歩きたくなったときは、常にあと少し、あと少しという気持ちを持って頑張れ!」
「きつい言葉はお前たちのためだ! 大声で叱ったが、1年生としてはよく頑張った! 合格だ!」
と、保護者からのクレームがつかないように子どもたちを納得させ下校させる。1年生とはしばらくこんなやりとりが続く…。
そして1週間もすると、からだが慣れてきて、ペースは別にして歩く者はほとんどいなくなる。
子どもは適応能力が高く、やらせれば持っている能力をどんどん伸ばすことができる。30分走るということへの抵抗感が薄れてきたということは「凄い進歩」なのである。
■「練習初期段階」楽しいコース下見<第1回試走会>
〜「苦しいことをやらせるだましのテクニック」■
(平成15年度駅伝部報より)
平成15年度 駅伝部報<No.1>駅伝部恒例第1回試走会について
秋を感じながらコースを調べよう!
―23.1kmサイクリングorジョグorウォーク
―ちょっとした遠足気分で楽しく走ろう!
―青春の思い出づくりパート1 テスト勉強の気分転換にも最高!
本年度の駅伝部の活動は過去最高の約200名という大人数でスタートすることができました。これはベリースペシャルすごいことだと思います。特に3年生の参加が小牧中学校創立以来最高の人数になりこれは歴史に残る快挙となります。中には、だまされたとか、脅されてとか、自転車通学の誘惑に負けてとか思っている人もいるかもしれませんが、あきらめて下さい。もうやめることはできません。
駅伝部の基本は「苦しいことを楽しくやる!」です。がんばったことは必ず自分の人生の大きな宝になることを信じて練習に参加してくれることを期待しています。そこで、本年度も駅伝全コースを走破するサイクリングを主としたコースの下見を第1回試走会として企画することにしました。テスト週間ではありますが、多くの参加者を期待しています。
1 ねらい
1) 駅伝コースの特性を研究し、今後の練習に役立てられるようにする。
2) 秋の気配漂う小牧市をゆっくりまわりながら、新しいものを発見する。
3) ともに苦労を分かち合うことにより、部員の団結力を高める。
4) 本格的な試走の時の道案内ができるリーダーを育成する。
2 日 時
平成15年10月11日(土) 午前7時30分〜午後12時00分
3 集合場所
小牧市総合体育館(パークアリーナ)正面玄関前(自転車は駐輪場へ停める)
※集合時間 午前7時30分(厳守)
4 予 定
○7時30分 集合、点呼、準備運動
○8時00分 試走出発 ジョグorウォークorサイクリング
○11時30分 体育館着、解散
5 参加者
試走希望者(今回は強制ではありません。
6 服装・持ち物
○服装 :体操服、ジャージ(天候によってはウインドブレーカー)
○持ち物:水筒(お茶、スポーツドリンク)、タオル、弁当(必要な人)、現金、おやつ、ナップサック
7 その他
○自転車に乗るときは、ヘルメットを着用すること。
○途中交通安全に十分気をつけること。
○公衆道徳を守り、世間の方に迷惑をかけないこと。
○コースの状況をしっかりと把握すること。「自分ならこの区間を走りたいというような目的意識を持って下見すること」
ある程度走り慣れたところで、このようないかにも楽しそうなイベントを企画する。子どもたちは、遠足気分になり、毎年約50名程の生徒が参加している。私のねらいは<これから本格的に始まる駅伝試走会のために一人でも多くコースを熟知した生徒を育てる>であるが、生徒たちには、
「秋風を受けて気持ちいいぞー、四季の森で芝生そり遊びもできるぞー、おやつ持っていっていいぞ〜!」
と甘いことを積極的に呼びかけ勧誘している。
そして、当日を迎える…。
いつまでも続くきつい上り坂を顔をゆがめてペダルをこぐ子ども…、中継点での短い休憩時間…。
「だまされた〜」
「こんな疲れるとは思わなかった〜」
子どもたちは現実の厳しさを知る。
「ヒッヒッヒィ…甘い言葉には落とし穴があるんだよ…君たちには試走のとき、これからおおいに活躍してもらうからな…」
と言いながら一番疲れているのは、40半ばの臆病者の私であった…。そして、次のような試走報告を出し、「苦しいことを楽しくやらせる」雰囲気を作り、この後始まる真剣勝負の試走会の雰囲気を盛り上げるのである。
平成15年度 駅伝部報<NO.2>第1回試走会コース下見報告
10月11日(土)に駅伝部35名ほどで、15年度の駅伝のコースの確認に行ってきました。自転車で23.1kmのコース全て走破するという非常にハードなものでしたが、一人の脱落者も出すことなく無事終えることができました。コースの特徴を簡単に紹介しますので、これからの練習の目標にして下さい。また、試走に参加した友達に様子を直接聞くと、コースの雰囲気がさらによくわかると思います。
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●1区 第1走者 小牧スポーツ公園〜東田中橋前 距離約3.2km
大会当日はよいのですが、試走の時には、交通事故への十分な注意が必要です。なぜかというと、小牧原のロッテリアを過ぎるまで、歩道がないからです。大会の時は車道を堂々と走れるので、問題ありません。駅伝の勝敗の行方を決める大切な区間です。
コースは、スタートから高級車BMWのあるところの信号を左折し、その後合瀬川の橋までなだらかな上り坂、その後ロッテリアまではほぼフラットです。ロッテリアを過ぎると先生おすすめのしゃぶしゃぶの「ふふふ」があります。そこから東田中橋の中継所までの後半には、緩やかなアップダウンが続きます。
ハンバーガー屋やしゃぶしゃぶ屋の看板を見ると元気の出るくいしんぼうの人はこのコースがお薦めです。注目度も高いので目立ちたがり屋にもgoodです。
●2区 第2走者 東田中橋前〜上水道管理センター前 距離約2.9km
歩道があるので、試走の時の危険はほとんどありません。広い歩道を軽快に走って下さい。コースは、東田中橋から上末の交差点までは、下りかフラットで、比較的楽ですが、上末の交差点からは桃花台に向かう急な上り坂が待っています。自転車で、上りましたが、ほとんどの人が立ちこぎ状態で、顔がゆがんでいました。先生も、死にそうでした。いわゆる心臓破りの坂です。坂を上りきると、今度は上水管理センターまで急な下りになります。
バランスのとれた走力とスタミナが要求されるコースです。疲れを感じない鈍感な感覚の人が向いているかもしれません。勝負を左右する最も重要な区間です。体重も軽めの方がよいでしょう。
●3区 第3走者 上水道管理センター前〜光ケ丘第3公園前 距離約3.3km
勝負を決めるエース区間です。上水道管理センターからジェットコースターのような下り坂を一気に降り、突き当たりを右に曲がってしばらく行くと、7区の中継所になっている池之内の集荷場があります、そこを通り過ぎるとおなじみの中華料理の「ささかつ」のある交差点があり、その交差点を篠岡中学校方面に進みます。道はだらだらとした上り坂になっていますが、それほどきついものではありません。あとは道なりに進んでいくと、消防署があります。そこを左折し、左手に東部市民センターを見ながら、大きな陸橋のある交差点までの上り坂を踏ん張って走り、その交差点を左折します。そこからは、気持ちのよい下り坂になります。下りきったところで右に曲がり少しきつい上り坂を登りきると光が丘の中継点に到着します。
距離も長くアップダウンも激しいコースです。ぜひ、真のエースに走ってもらいたい区間です。
●4区 第4走者 光が丘第3公園前〜市民四季の森入り口 距離約2.2km
光が丘の第3公園から、気持ちのよい下り坂がしばらく続きます。あまりの気持ちよさにうっとりとしていると、側道に入るのを忘れてしまいます。側道に入る地点は、道がゆるやかに右に曲がりかけたところです。
よく見ると、四季の森はこっちというセコイ看板がありますが、注意していないと絶対に見落とします。側道を左に入ってすぐに突き当たりを右に曲がります。すると急な下り坂があります。試走の時ここでスピードを出しすぎてはいけません。なぜなら下りきったところに交差点があり、止まれの標識があるからです。調子に乗ってとばしすぎると出会い頭の事故にあってしまいます。交通安全に十分な注意が必要です。その交差点をまっすぐ進みますが、両側が田んぼのセコイ道なのでこの道で大丈夫?という不安に駆られますが大丈夫です!まっすぐ進んで下さい。
しばらく行くとこれまたセコイ三叉路があります、そこにきたら迷わず右に坂を上って行きましょう。そうすると山の間をぬけ、老人憩いの家に行く道にぶつかります。その道にぶつかったら、左に曲がりあとは道なりに進めば中継所の四季の森です。広い道に出て少し上った後は気持ちのよい下りです。
このコースは、方向感覚がしっかりしていて、日頃慎重な行動に心がけている人に向いています。距離も適当で、変化のあるコースです。恥ずかしがり屋の人には、沿道で応援する人の数がしょぼいので緊張せず力を発揮できそうです。
●5区 第5走者 市民四季の森前〜野口会館前 距離約2.3km
左折1回でよいという頭をあまり使わなくてもよいコースです。コース的にも前半下り、後半フラットの快適区間です。しかし、たすきをもらってから、東洞の交差点を左折してからが超デンジャラスゾーン(危険地帯)になります。試走の時には、細心の注意が必要です。歩道はない、トラックはよく通る、本当にあぶないコースです。
このコースは、日ごろからルールをしっかり守れる、用心深い人向きです。距離は2.3kmと、ややお得なコースとなっています。いずれにしろクレバーな実力派スピードランナーに走ってもらうことになりそうです。
●6区 第6走者 野口会館前〜池之内集荷場 距離約1.8km ここも歩道がほとんどない試走の時は危険なコースです。前の区間からのデンジャラスゾーンから喫茶店(パイナップルだったかポエムだったかバナナだったか…)のある信号の手前の道を左折し田舎道に入るまでは、細心の注意をはらって下さい。それからは、田んぼの中を横切っていくコースになります。道が少し入り組んでいるので、試走でのコース確認がとても大切です。途中、自動車の一方通行区間があるので、これからの試走で、引率の先生を見失わないようにして下さい。池之内集荷場が中継点です。
距離が1.8kmと最も短い区間です。3000mまでは持たないが2000mなら自信があるというスピード派にぴったりのコースです
●7区 第7走者 池之内集荷場〜本庄会館前 距離約2.0km
2年前、野口会館から本庄会館までの最長区間だったところを、前区と合わせて二人で走るということです。したがって、とってもおいしい区間になりました。池之内集荷場を出発し、大きな三叉路を右に折れ、田んぼに囲まれ360度のパノラマを楽しみながら北風に負けないように進みます。信号まできたら右折します。このとき交通安全に充分気をつけて下さい。右折してしばらくすると県道にぶつかります。迷わずぶつかった信号の交差点を左に曲がりましょう! 後は道なりに走っていけば、中継所の本庄会館に着きます。
フラットで、走りやすいコースです。やる気のある、誰にも向いている区間です。
●8区 第8走者 本庄会館〜南岩崎台会館 距離約2.8km
本庄会館から南岩崎台会館までは、一本道で、間違えようがありません。サークルKのある四叉路はまっすぐにと覚えておけばOKです。試走の時の危険度はBです。本庄会館から味岡小学校を越えるまでは、交通量も多く注意が必要です。味岡口を過ぎてからは、道幅も結構あるので走りやすいです。コースはほとんどフラットで、ペースもつかみやすいと思います。南岩崎台会館の信号手前にある、みそラーメンのおいしい「むつみや」が目に映れば走っているコースは間違っていません。
全ての人が力さえ付ければ気持ちよく走れる区間です。
●9区 第9走者 南岩崎台会館前〜小牧市スポーツ公園 距離約2.6km
アンカー区間です。南岩崎台会館から、西に向かい川の手前の道を右折し、住宅外を抜けて県道にぶつかってから左折します。一度走れば間違えることはありません。その後は岩崎中を左に見ながらしばらく走り、日本碍子(NGK)の手前の信号を左折します。しばらく南に向かって走り、スリーボンド(英語で書いてあります)のオレンジ色の看板のある所を左折します。そうするとゴールのパークアリーナが目に飛び込んできます。あとはラストスパートです。
コースはほとんどフラットなので、力を思いっきり出せるコースです。すべての頑張って練習した人、目立って脚光を浴びたい人に向いています。
(合計約23.1km)
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力を付けていくのはこれからです。走った分だけ力と自信になります。「このコースが走りたい!」という目標を持って練習に取り組んで下さい。また、今年もできる限り多くのチームをエントリーしたいと思っています。AB…どのチームになっても、車を止めて車道の真ん中を走るということは、自分の人生にとって貴重な体験になると思います。
あと1か月半ほどしか練習する期間はありませんが、優勝と功労賞を目指して頑張りましょう!!!!!
(鉄は熱いうちに打て!1年生の生徒指導が3年間を決める!<苦しいことをどんどんやらせよ! 駅伝編>その3につづく…)
(2004年10月11日)