愛される学校づくり研究会

今、愛される学校づくりは

★研究会の名称にも関連するこのコラムは、校長の立場で実際にどのように取り組んでいるのかを事例等をもとに、ビジョンや考え方、想いを示して頂くものです。もちろん成功例もあれば、失敗例もあるはず。それぞれの実情に応じた生の情報が、学校づくりの参考になると思います。

【 第4回 】つくりたい学校は「愛される学校」か
〜大府市立共長小学校長 小竹紀代子〜

現任校の大府市立共長小学校は、校長としての2校目の学校です。前任校の新米校長の1年目とは異なり、自分なりにつくりたい学校もはっきりしています。

  1. 子どもたちが授業によって楽しいと思える学校
  2. 当り前のことが当り前にできる学校
  3. 見せて魅せる広報ができる学校

まず1つめの「子どもたちが授業によって楽しいと思える学校」です。
  自分の居場所がある、意見を言ってもみんなが聞いてくれる、かかわることで成長を実感できる笑顔のある授業ができるといいです。
  本校は木曜日の朝「コミュニケーションタイム」を現職教育の一環として行っていました。「コミュニケーションタイム」を行うことが目標ではなく、「コミュニケーションタイム」によって子どもたちにどんな力をつけたいのか、先生たちに話してきました。話を聞いてくれる友達がいるから、わき上がる話す勇気。友達の話を聞くことで、どんな話題なのか分かろうとして聞く優しさ。
  「コミュニケーションタイム」を1年間、地道に続けた学級は、学級の雰囲気がとてもよくなり、教科の授業の質も高まりました。現状あるものを生かして、授業の質を高めることができたと実感しています。先生たちの努力や成長をきちんと見て、他の先生や保護者に広げるのは校長の仕事です。先生たちの授業力の底上げを図るのは、校長の努めです。

2つめの「当り前のことが当り前にできる学校」は、数年前、本校が小学校でありながら、荒れたことに起因しています。授業中、教室の中だけでなく、廊下を立ち歩く児童がいて、その頃ベテランの先生たちが多く転任してきました。本校の教員の平均年齢が高いのは、ここに由来しています。その後落ち着いて、今に至っていますが、今の学校の学習規律や学校生活習慣を、現状維持以上に保つのが課題だと思っています。
  教頭以下の4役や生徒指導主任、学年主任とこの課題を常に共有していこうと日々考えています。そのために、学校の中枢となる5役会で情報収集・課題把握をし、学年主任が集まる運営委員会で問題提起をして、学校をよりよくするための方策を共通理解しています。

3つめの「見せて魅せる広報ができる学校」については、前任校の学校ホームページで広報することの効果を十分実感しました。学校評価、保護者からの直接の意見等、たいへん良好で、保護者が知りたい普段の学校の様子を毎日更新することで、信頼が得られる・学校はがんばっていることを認められると感じました。
  特に、学校を異動した際に「今度の校長は、毎日ホームページを更新して、学校の様子を発信してくれる」と言うことが前任校の保護者から現任校の保護者へ伝わり、着任した4月から好意的でたいへんやりやすかったです。直接関わりのある担任ならば、興味関心は高いだろうに、校長においてもそれは同じでした。保護者の「口コミ」の威力に感動すると共に、そのこわさも実感しました。現任校の学校広報は、ホームページに「校長メッセージ」「心に響く言葉」を加えて毎日発信する記事を入れ、子どもの情報を詳しく掲載する学校だよりとの役割を分けています。

さらに、平成28年度がオリンピックイヤーであることから分かったことがあります。それは、至学館大学関係の女子レスリングの五輪選手や校区にあるメダリストも出している柔道の大石道場を、地域をあげて応援しているということです。共和の商工会を中心に、行われており、たいへん活気と力のある地域です。「金メダルのまち大府」ではなく「金メダルのまち共和」というこだわりに共和の方たちの自負を感じました。商工会の中心の方たちは、本校の民生委員や主任児童委員でいらっしゃいます。そういう方たちが、学校を支えてくださって、協力してくださるのはたいへん心強いことです。地域と学校の結びつきがより強くなり、子どもたちが地域の中で育つように、校長としての役割を果たしていこうと、五輪関係の催しに参加しながら、改めて思ったところです。

最後に、校長としていつも自問自答を繰り返さなければならないと思っていることがあります。校長がつくりたい学校は、教職員・保護者・地域も賛同する学校かということです。教職員と共につくり、保護者や地域から「愛される学校」であるために、常に評価を柔軟な心で受け止める校長でありたいです。

(2016年9月12日)

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執筆者プロフィール

●小竹紀代子
(こたけ・きよこ)

大府市立東山小学校校長を経て、現在、大府市立共長小学校長。教頭も、大府市立大府西中学校で勤め、管理職としてはすべて大府市勤務である。大学時の「小学校国語教育」の授業で取り上げられた「一つの花」に感動し、読解の授業実践をしてきた。1年生の担任をしたときは「1ねん1くみ せんせいあのね」のような文を書かせたいと願い、どの学年を担任しても、一枚文集を出してきた。最近は、「ユニバーサルデザインを取り入れた教科指導」「道徳指導」について、身近な先生方と共に勉強している。「愛される学校づくり研究会」のみなさんと関わることによって、校長としての自分を振り返る機会をいただいています。