★これまでのリレーコラム「授業のある風景」から、「私の心に残る授業」に切り替えて、自分が受けた授業、実施した授業、参観した授業等々、強く印象に残っている授業について、それぞれの主観をもとに示して頂きます。印象に残っているのには、きっと理由があるはずです。
【 第2回 】「工業製品じゃないのはもうないの?」第三次産業 第1時の授業
〜小牧市立篠岡小学校 中川 行弘〜
(夢にまで見た)小学校に赴任し、平成27年度に5年生の社会科を初めて担当しました。1月19日(火)と20日(水)に子どもたちと学んだ「工業製品じゃないのはもうないの?」という授業を紹介します。
1学期に「産地調べ」をし、第一次産業に目を向け、2学期は「工業製品をみつけよう」という課題で第二次産業の授業をしました。身の回りは工業製品にあふれ、とても便利で豊かな生活をしていると実感している子どもたち。岡山大学の佐藤暁先生がよくお話になる、哲学でいう「習慣的身体」、もう工業製品であふれていることに気がついた子どもたちは、気がつく前の身体にはもどれません。
授業のねらいは、身の回りはシステム・しくみ・制度・デザイン・アイディア・アート・情報・サービスなど、人間が生み出し・創りだした「形がないもの」にあふれていることを実感することです。
課題をいつものように、授業の前に板書しました。
「右手に工業製品をもってみよう」 全員が手にしました。 「工業製品じゃないのは?」と投げかけると、水・花・めだか・・・・・・。 「自然のもの以外で工業製品じゃないのは?」と続けて投げかけます。 「?」でいっぱいの子どもたち。 さらに教師は投げかけます。 「この教室にもいっぱいあるね」 ますます「?」でいっぱいの子どもたち。 「他のグループの人にきこえないようにひそひそ声で聴いてもらってね」 すぐにグループを子どもたちにつくらせます。 みんな困っていて分からない。 ボソボソと子どもたちはつぶやきます。(10〜15分ぐらい) 苦しまぎれに「ほこり・石・松ぼっくり・ウィルス・・・」なんてつぶやきも。 グループからコの字の隊形にもどすと、「ボソボソ」から「シーン」に変わる。 「学校」が最初に出てきたところが2クラス 「色」「作品」から「デザイン」が出てきところが1クラス 「グループ 係 委員会 教室 文字 時間 ・・・・」 子どもたちの発言を価値づけしつつ、ときどき「あ〜」と子どもたちが共感する姿や、もっと探究しようとする姿もありました。 システム・しくみ・制度・デザイン・アイディア・アート・サービスなどの言葉を整理しました。 「文字・映像・音声をまとめて?」 「これは教科書・資料集にあるよ」 「情報の三要素」を確認し、「第一次産業」「第二次産業」「第三次産業」を黒板に整理 「第二次産業と第三次産業の間に大きな境目。右と左でどうちがう?」 すぐにグループを作らせて、10分ぐらい。 子どもたちは、どうしても分からないので「右手に工業製品をもって、左手にこちらのをもって」と投げかける。 子どもたちは、ザワザワする。 「持てるものと持てないもの」 子どもたちはスッキリしない。 Kさん 「人が・・・・考え出して・・・・現実にしたもの・・・・」 Aくん 「目で見えるものと目で見えないもの」 Sくん 「形があるものと形がないもの」 みんな 「あ〜〜〜」 「中学校で学ぶけど」と言って、「財」と「サービス」という言葉を教えます。 小学校ではサービスの中で、「情報にかかわるしごと」を具体的に学びます。 「次の時間から、テレビ局や新聞社の秘密や工夫を探求していきます」 |
子どもたちを指導してきて「この5年生はみんなの力で何とか理解する」と思っていました。子どもたちには「?」がいっぱい。5年生の先生たちの学年経営・学級経営のおかげで、「?」から子どもたちが逃げることはありません。みんなの力で真正な学びに挑戦し、子どもたちは、授業の前と後で、周りの世界の見え方が大きく変わりました。心に残っているとてもおもしろい授業でした。ビデオを撮っておけばよかったと後悔しています。
(2016年7月11日)