★学校に直接携わっている立場と、一歩、学校を離れた立場から観る学校現場は、ひと味違った受け止め方があるはずです。長きにわたり、教員・校長として学校に携わられた中林先生、平林先生、神戸先生、小西先生、和田先生それぞれの視点から、現在の学校、教育について、率直な意見を示して頂きます。
【 第8回 】第一が見える学校
〜和田 裕枝〜
現職時代から他校へ訪問をすることがありました。学校を外から観るということは自校を客観的に観る回数も多くなるということだと痛感していました。その時にいつも思ったことは「この学校の第一は何? この学校の現職教育の第一は何? この授業の第一は何?」ということでした。
第一が見える学校は伸びようとしている学校という印象を強く感じました。協議会等でも建設的な意見が多数出てきますし、何より職員が「第一」にしていることが共通理解されています。だからこそ共通指導ができる学校に育っているのだと思います。
○○が第一とよく言われますが、なぜかその言葉はすっと通り抜けるような気がしていました。上記に示したような「第一」が見える学校の共通点を見てみると○○が第一、△△が第二、と優先順位が明確だということに気が付きました。どうしても欠かせないこと、誰もがいつも心に残って率先していること、そういうふうに「第一」が職員の中に強烈に残っているのでしょう。保護者、地域も含めた「第一」が見える学校はコミュニティセンターとしての役目も果たしているのかもしれません。
そこで現職時代に4月に「第一」に掲げてきたことを振り返ってみました。
1 子どものとの絆づくりが第一
「子どもとの出会いは黄金の3日間が勝負」を合言葉にしてきました。
学級開きから始まり、1年間をどのように進んでいくかを子どもと共に真剣に決める期間です。子どもとの絆づくりを第一にしてもらいたいと思いました。そのために会議も精選し、子どもと触れ合う時間を確保しました。学習規律もこの3日間で指導したことが一番定着率も高いことに6月頃になって気が付きました。
2 保護者との絆づくりは授業参観で
子どもの成長した姿が何より教師との信頼を深めます。担任への信頼を決める基準の一つは4月の授業参観だと考えていました。我が子の学ぶ姿を見て安心できれば、その後は担任への応援団となってくれる方が多いからです。進級した子どもの「学ぶ姿」を見ていただくことを目標に4月の2週間の学校全体の活動計画を立てました。
そして、子どもの学ぶ姿をアピールできるように2つのことを推進しました。
- (1)個別発表会にしない
- 「今年の目標」を順番に発表する授業形態は別の授業で行ってもらうということです。担任、子ども同士が授業を作り上げる姿をみてもらうためです。特に「人の話を聞いて自分の考えと比べながら考える」という姿が見られる授業を目指します。
- (2)学年で板書計画について教材研究をする
- 課題、考える過程、振り返り等が板書され、ICTを活用する板書もあります。若手教員にとっては板書計画を作成することで授業の流れがわかりやすく、意見の取り上げ方も頭に入りやすいようでした。教務、教頭、校長も板書計画を事前に見て支援しました。
3 研修の第一は?
新年度当初から研修等での出張が入ってきます。校内外での研修は教師力向上の生命線とも言えるでしょう。復命書作成から口頭復命に変わってきている学校も多いのではないかと思います。研修を受けるにあたって3つのことを研修等の心構えとして話し、(2)と(3)について口頭で話してもらうことにしました。
(2)(3)が言える教師は、「○○のことならA先生に聞けばいいよ」と言われるミドルリーダーに近づく気がしています。
- (1)子どものために学ぶという気持ちを忘れずに
- 自習にしたり、他の先生に依頼したりして子どもと離れて研修に参加しています。研修の翌日には、「〜を勉強してきたよ」と自信をもって話せるようにしてほしいのです。
- (2)自分の実践の価値を確認する
- 講師の話、司会の挨拶等の中には「〜するといいですよ」と言われることが出てきます。その内容に対して「ああ自分はちゃんとすでに実践している」と自信をもって継続できることを見つけ、教師の自己肯定感があがる研修になることを期待しています。
- (3)新しい方向性を見つける
- 「〜はしたことがなかった」「〜ならできそう」と思うことを見つけ、新たに明日から実践しようという意欲をもってほしいです。
(2017年5月22日)