★このコラムは、愛知県一宮市の公立小中学校長を歴任された平林哲也先生によるものです。平林先生は「発信なければ受信なし」の理念のもと、校長としての思いを学校ホームページに毎日発信していらっしゃいました。アクセス数が増えるのに伴って強くなる保護者や地域との絆。さまざまな実践を工夫されてきた平林先生に、学校と家庭・地域との結びつきはどうあるべきかについて語っていただきます。
【 第1回 】地域とともにある学校づくり
1.はじめに
今年度、新連載コラム「地域とともにある学校づくり」(12回シリーズ)を担当することになりました。
私は、この3月末に38年間の教員人生を終え、定年退職いたしました。最後の8年間は、縁あって私の居住する地区の小・中学校、しかも、両校とも母校である学校の校長として勤務させていただきました。そのお蔭で、校長であると同時に卒業生の一人として、あるいはかつての保護者の一人として、地域の一人としてなど、さまざまな視点から学校を見つめるという貴重な体験をさせていただきました。
その体験をもとに、この連載コラムを組み立てていきたいと思います。お付き合いのほど、よろしくお願いします。
2.地域とは
よく「学校は家庭や地域との連携なくしては成り立たない」と言いますが、この場合の「地域」とは一体、何を指しているのでしょうか?
「地域とともにある学校」という視点で見れば、当然、校区全体が「地域」ということになり、そこに住む人々の総体が「地域」と言えます。しかし、これではいかにも漠然としています。
ある人は生まれてからずっとそこに住んでいて、その学校の卒業生です。中には、親・子・孫3代に渡ってその学校に関わりのある人もいます。また、ある人はその学校区に移り住み、その子どもがその学校の児童生徒であり、保護者として関わっている人です。ある人はその学校区に住み、直接その学校とは縁もゆかりもない人です。ですから、それぞれの人の学校に対する思いや愛着には差があって当然です。
そのことを踏まえて「地域」をとらえていないと、学校との連携ポイントがずれてしまいます。対象者によって連携のポイントが異なることを学校経営者は把握しておくことが重要です。連携をするのは一人ひとりの人間なのですから。
3.地域の中での学校経営
「地域とともにある学校づくり」の目指すところは、さまざまな人々に「おらが町の学校」として認められ、愛されることです。
そのためには、さまざまな人に合わせたチャンネルを通して学校との結びつきを強化し、地域の人々に学校サポーター、さらには学校パートナーとなっていただくことが必要です。
今回の連載コラムでは、どのようなチャンネルを学校経営にリンクさせ、愛される学校づくりをしていけばよいのか、これまでの経験から得た実例をもとに紹介していく予定です。どうぞご期待ください。
(2015年4月20日)