愛される学校づくり研究会

授業改善

★愛される学校づくり研究会では、昨年度までの授業研究に引き続き、より広い視点で授業改善についてこの1年間研究していくことになりました。「楽しく授業研究をしよう」と同じく、研究会と連携しながら学校の授業改善を日常的に行う方法について考えていきます。今回は「楽しく」だけでなく、いかに「手軽に」行うかという点でも提案できることを目指します。授業改善を通じて、学校経営や学校の活性化についても触れていくことができればと思っています。

【 第10回 】新しい「授業検討ツール」の紹介

今回は「愛される学校づくりフォーラム 2015 in大阪」で使用するICTを活用した「授業検討ツール」について紹介したいと思います。

必要な機器

このツールはiOSが搭載され、WiFi、Bluetoothに対応した機器(iPad、iPod touch、iPhone等)で利用できます。1台を録画用に利用し、それ以外は授業観察者が手元で利用します。録画用の機器がサーバーも兼ねているので、今までのシステムと違ってこれ以外の機器は特に必要ありません。授業観察者用の端末とはWiFiまたはBluetoothで接続されます。現在のところ、同時に利用できる機器の数に制限がありますが、将来的にはこの制限は無くなる予定です。

図10-1

授業観察

授業観察者用の端末にはあらかじめ設定したボタンが表示されます。今回のフォーラムでは「★ いいね」「? 疑問」の2つのボタンを用意しますが、数を増やすこともできます。授業観察者は授業を見てよいと思った時や、ちょっと疑問な点がある時に該当するボタンを押します。録画用の機器には、いつどのボタンが押されたかが記録され、同時に、他の授業者用の端末の同じボタンの色が変わります。一定期間にたくさん押されれば色が濃くなり、時間が経てば消えていきます。端末を見ることで、今授業観察者がどこに注目しているかわかります。

図10-2

授業録画

録画用にした設定した機器で授業を撮影すると、授業の映像と同時に授業観察者用の端末で押されたボタンの種類と時刻が記録されていきます。将来的には複数の機器を同時に使用することで、授業者と子どもたちを別の角度から撮影して同時に再生できるようになる予定です。

授業検討

録画した機器を授業検討モードにすると、録画した授業の1分ごとのサムネイルと押された時刻と回数のグラフがボタンの種類ごとに色分けされて表示されます。このグラフとサムネイルを参考に、再生したい時間帯を選ぶとその場面がすぐに再生され授業の様子を確認できます。

図10-3

このツールを使うことで、具体的な場面を確認しながら授業検討を行うことが手軽にできることを、是非「愛される学校づくりフォーラム 2015 in大阪」で体感ください。

(2015年2月2日)

大西貞憲

●大西 貞憲
(おおにし・さだのり)

愛知県で公立中学・高校教諭を経て、民間企業で学校向けソフト開発に携わる。2000年教育コンサルタントとして独立。現場に出掛けての学校経営や授業へのアドバイスには「明日からの元気が出る」との定評があり、愛知県を中心として、全国の小中学校や自治体から応援を求められている。また、NPO法人「元気な学校を支援し創る会」理事として「教師力アップセミナー」「愛される学校づくりフォーラム」を通して実践に役立つ情報の共有化・見える化に注力している。