愛される学校づくり研究会

授業改善

★愛される学校づくり研究会では、昨年度までの授業研究に引き続き、より広い視点で授業改善についてこの1年間研究していくことになりました。「楽しく授業研究をしよう」と同じく、研究会と連携しながら学校の授業改善を日常的に行う方法について考えていきます。今回は「楽しく」だけでなく、いかに「手軽に」行うかという点でも提案できることを目指します。授業改善を通じて、学校経営や学校の活性化についても触れていくことができればと思っています。

【第1回】楽しく? 手軽に? 授業改善

愛される学校づくり研究会は、これまで1年間にわたって授業研究について研究してきました。「愛される学校づくりフォーラム2014 in京都」では私たちの提案する3つの授業検討法を皆さんに紹介することができました。しかし、それで終わったわけではありません。特にICTを活用した授業検討法はやっと形が見えてきたばかりです。当然これからも継続して研究をしていきますが、今年度はより領域を広げて授業改善をテーマにしたいと考えています。授業研究は授業改善の有効な手段ですが、日常的に行うことはなかなか難しいと思います。多くて月に1回程度。学期に1〜2回あればかなり活発だと言えます。しかし、これでは授業改善のスピードはなかなか上がっていきません。経験の少ない先生が増えている現状では、もっと日常的に授業改善が行われるような工夫が必要になります。これまでの「楽しく授業研究をしよう」と同様に、研究会の活動と同時進行で、私の経験も交えながら、このことについていろいろな視点で1年間考えていきたいと思います。

今回はまず、授業改善を日常的に行うことについて考えてみたいと思います。言うまでもないことですが、毎日の授業を意図的に行い、経験を積み重ねていけば確実に授業は改善していきます。とは言っても、他からの刺激がなければなかなか自分で毎日の授業に目標を設定して改善していくことはできるものではありません。そういった刺激の一つが授業研究です。では、それ以外にどんな方法があるのでしょうか。多くの学校で行われているのが、校長の授業アドバイスです。校長に限らず、教頭や教務主任、学年主任が行うこともあるかもしれませんが、授業を見て簡単なアドバイスを直接本人にするのです。これであれば、校長の体が空いていれば、校内を見回るついでに授業を見ることができます。全員の体を空ける必要もありませんから、校長がちょっとした時間をつくることができればいつでも可能になります。問題は、アドバイスをする時間です。授業後に時間を取るにしても、あまり長時間は取ることができません。たまにならばいいでしょうが、日常的にしようと思うとできるだけコンパクトに済ませたいものです。効率的にアドバイスすることが求められます。

刺激という意味では、お互いに授業を見あうのも効果的です。見られることや意見・感想をもらうことに抵抗をなくせば、いろいろな視点で気づきを得ることができます。日常的に授業を話題にする雰囲気が職員室に生まれれば、それは必ず授業改善につながっていきます。また、授業研究を学校全体で行うのは日程的に大変でも、若手だけといった一部の人間で行うのであれば多少は融通が利きます。若手だけでも授業改善に積極的になれば、それは必ず学校全体に広がっていきます。

このように授業改善を日常的に継続していく方法はいくつか考えられますが、大切なことは、授業研究でもそうでしたが「楽しく」やっていくことです。自分の授業が上手くいくようになった、自分のアドバイスで若手の授業がよくなってきた。そういう手ごたえがあれば楽しくなります。楽しいことは継続するための大きなエネルギーになります。そして、もう一つ大切なことは「手軽に」できることです。フォーラムで紹介したICTを活用した授業検討法に興味を持っていただけた方がかなりいましたが、機器の設定などを考えると二の足を踏む方も多いと思います。日常的に実践するということは、手軽であることも大切な要素です。フォーラムで紹介したシステムも、もっと簡単に利用できるように研究を進めています。また、授業改善につながる新しいICTツールも開発できればとも考えていますが、ICTにこだわらず、「手軽に」授業改善ができるための手法を研究していきたいと思います。どの学校でも授業改善が日常的になってくれることを目指して提案していきたいと考えます。

次回からは、授業改善を進めるための具体的な方法について考えていく予定です。「楽しく」「手軽に」できることを大切にして、提案させていただきたいと思います。

(2014年4月28日)

大西貞憲

●大西 貞憲
(おおにし・さだのり)

愛知県で公立中学・高校教諭を経て、民間企業で学校向けソフト開発に携わる。2000年教育コンサルタントとして独立。現場に出掛けての学校経営や授業へのアドバイスには「明日からの元気が出る」との定評があり、愛知県を中心として、全国の小中学校や自治体から応援を求められている。また、NPO法人「元気な学校を支援し創る会」理事として「教師力アップセミナー」「愛される学校づくりフォーラム」を通して実践に役立つ情報の共有化・見える化に注力している。