愛される学校づくり研究会

★日々行われている授業には、私たち教師に「元気」や「気づき」を与えてくれるすばらしい風景がたくさんあります。そんな風景を体全体で感じる時、そこには必ず素敵なほほえましい子どもの姿があります。大成功を収めた授業、大失敗に終わった授業、意外な展開に胸が高鳴った授業など、それぞれの教師が伝えたい心に残る授業の一コマや、授業があることで輝く学校現場の風景などを紹介します。

【 第9回 】授業へのこだわり
〜知多市立八幡小学校 山田純一郎〜

初任から5年間、美浜町立河和小学校に勤務しました。授業をどのようにしたら子どもたちにわかりやすく、楽しく教えることができるのか理解できず、力業で授業をすすめていました。2年目に6年生の担任をし、国語の「やまなし」の授業をしました。正直どう進め、何を教えるのかが全くつかめず、今思ってもひどい授業でした。これではいけないと思い、いろいろな本を読んで勉強し、5年間勤めました。

その後、半田市立成岩中学校に転勤しました。成岩中学校は、私が赴任する前年度から2年間、文部省(当時)から教育課程の研究指定を受け、社会、数学、特別活動で研究を進めていました。私が赴任したときが研究2年目でしたので、秋に研究発表会を開催し、研究発表とともに、社会、数学、特別活動で特別研究授業をする予定になっていました。その特別研究授業を数学は私がすることになっていたのです。びっくりしました。学校として指導を受けていたのは梶田叡一先生(当時、大阪教育大学)でした。先生には最初、5月上旬に授業を見ていただきました。そのときは、「先生は数学の先生なんですか?社会の先生かと思いました。」と言われました。けれども、その後2〜3回、授業を見ていただき的確な示唆をいただきました。さらに、先輩の二人の先生には、ほぼ毎日、数学の授業を見ていただきました。授業の基本的なことから、数学の授業の作り方、課題の出し方など、毎日毎日たくさん指導されました。正直「うっとうしいな〜」と思ったこともありました。けれども、指導されて授業を改善していくと生徒の反応が確実に変わってきました。驚きました。このとき、「授業はおもしろい。指導者の力量如何で生徒は引きつけられたり、離れたりしていく。自分自身の力量をつけなければ。」と思いました。授業がおもしろくなり、授業にこだわりをもつようになったのは、このときだったように思います。
   どうしてもしゃべりすぎてしまう、説明し過ぎてしまう自分が、いかにしゃべらずに授業を展開できるのか、どういう発問や課題提示をすると成績上位の生徒も飽きずに最後まで考えることができるのか、生徒の発言をつなげていくにはどうしたらよいか等、様々なことを考え、実際に試みました。本当に楽しかったですし、生徒にとってわかりやすく楽しい授業、深く追究する考えさせる授業等が少しずつできてきたかな〜と思いました。成岩中学校での10年間は、こうして過ぎていきました。このコラムを書きながら、当時のことを懐かしく思い出しています。当時の週案(知多では日案といいます)は、生徒のすばらしい発想や自分の感想で真赤でした。今、手元にないのが残念です。

その後、校務主任として美浜町立河和中学校に転勤しました。若い先生の授業を見ることが増え、「授業に関係のないことで生徒を笑わせるのではなく、授業の本質で興味をひけ。」とよくいい、私の授業を見てもらいました。考えてみれば生意気だったな〜と今は思います。
 授業は生き物です。同じように進めてきても、子どもの発想や発言一つで変わってきます。同じ課題を扱っても、同じ授業展開になることは絶対にありません。だからおもしろいと思うのです。私も退職まであと2年になりました。この2年、もう少し授業にこだわってみようと思います。

(2015年3月9日)

準備中

●山田純一郎
(やまだ・じゅんいちろう)

平成18年度から3年間、知多市立岡田小学校長、平成21、22年度知多市教育委員会指導主事、平成23年度から3年間、知多市立新田小学校長、平成26年度に現在の知多市立八幡小学校長として赴任しました。岡田小学校長時代から、「授業を基盤とした学校づくり」に取り組み、八幡小学校でも同じ考えで取り組んでいます。来年度は、授業研究自主発表会を行う予定にしています。もう少し、授業にこだわっていきます。