愛される学校づくり研究会

校長塾 経営力を高めるためのポイント

★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。

【 第9回 】学びの連続化をする視点で教科書を見る
―意識を変化させる共通行動必要―

第8回の続きです。前回は教科書編集が変わってきていること、このことを学校(教師)は生かしていないと伝えました。また、校長としてどう動くべきかを次回述べますと宣言しました。

教科書をあらためてご覧になった校長はおられるでしょうか。まずはいくつかの教科でよいので、手に取って見てみることです。

例えば、国語です。(以後は自校での使用教科書をもとに述べることをご承知ください)
 教科書の巻末に「学習を広げる」と題したページが70ページ近くあるのです。「話す・聞く」「書く」「読む」「言葉」「伝統的な言語文化」という項目に分かれていて、生徒が教科書を使って自学しやすい工夫が満載です。
 例えば「学習に役立てよう」という項では、「授業で扱う教材」と「練習・コラム・言葉に関する教材」、さらには「資料」との関連が表にまとまっています。「身につけた国語の力を確認したり、学習や生活の中で生まれた課題について調べたり考えたりするときの手がかりとして活用しよう」と説明もされています。書籍の表紙を並べた「お勧めの本」コーナーもあり、読み終えたらチェックができるようにもなっています。

社会科教科書では、「学習の整理と活用」と題したページが単元のまとまりごとに入れてあります。重要語句が整理されたコーナーが目を引きます。教科書本文との関連を示した上で、自分で学習のまとめができるように、例えば「ノートに国家の三要素を書いて円で囲み、そのまわりに領海と排他的経済水域の様式図を書いてみよう」などと、指示がされています。さらに「トライ!」と題して「わが国の領土問題について、歴史的な経緯と現在の状況について調べてみよう」と自学自習のための課題が示されています。

数学の教科書では、教科書編集の立場から、「『くり返し練習』、『数学広場』では、興味・関心に応じて取り組むことができる数学を活用する課題や、本編で学習したことの理解を深めたり、さらに力を伸ばしたりするための問題を取り上げています」と明記されています。また、わざわざ「全員が一律に学習する必要はありません」とも書かれてあるのです。

このように教科書では「教科書観の転換」が明確になっています。教科書をフル活用すれば、休日の学習素材に困ることはありません。
 本校教師の何人かに質問をしてみましたが、こうしたことには気づいてはいますが、生徒が教科書を使って自学自習できるように意識して話したり、具体的な指示をしたりしている教師はあまりいないことがわかりました。家庭学習の充実となると、新たにプリントを作成・配付することを考えがちですが、教科書にこれだけの学習素材が掲載されていることを意識すべきです。(生徒が自ら進んで活用することが望ましいことを承知の上で)、学習素材を活用するための具体的な指示を出すよう、教員に呼びかけてはいかがでしょう。

(2014年2月3日)

準備中

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1956年生まれ。1979年教員スタート。小学校、中学校教諭を経て、1998年教頭、2004年校長に就任。2007年より愛知県教育委員会指導主事、主査、海部教育事務所長を経て、2012年に小牧市立小牧中学校長に就任。学び続ける子供を育てるために、地域・保護者と一体となって「親子で学ぶ小牧中特別講座」など独自の取り組み実践中。
著書には、「玉置流・学校が元気になるICT活用術―ICTは学校力向上ツール 」(プラネクサス)「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(1)(2)」(プラネクサス)「スペシャリスト直伝!中学校数学授業成功の極意」(明治図書)など多数。
>>>>仕事日記発信中