愛される学校づくり研究会

校長塾 経営力を高めるためのポイント

★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。

【 第6回 】光ヶ丘中おやじの会の脅威
      ―関心をもってもらうことを恐れるな―

前回、前々回に続く小牧市立光ヶ丘中学校長のときの出来事です。

伝統的に「おやじの会」の活動が盛んな学校です。異動直後の4月3日には、「おやじの会」の会長さん(元PTA会長)が来校され、渡り廊下の壁の塗りかえをしていただきました。また同日に、PTA会長(おやじの会員)から「ホームページ更新していましたね。ちゃんとチェックしていますよ」という言葉ももらいました。

三日前に校長になったばかりで、まったく足が地に着かない状況でのおやじさんの動きや言葉にドギマギしましたが、頼りになる存在と3日目にして会うことができたのは幸運としか言いようがありません。前任校長が外部との連携を大切にしてこられた成果を自分がいただいていると感謝しました。

実は、こうしたエピソードを聞いて、「それは大変な学校に赴任したね」と言われた方がありました。管理職の中には、外部の方に関心をもたれることをマイナスにとらえる方があります。「関心→苦情」と考えてしまうのでしょうか。自分はこのような方に出会うと、「生徒の学習への関心・意欲を高めるのが授業づくりのために重要であるように、保護者や地域の学校への関心・意欲を高めるのが連携において重要なのだから、関心が高いことはプラスです」と言っています。

5月にはその年度の「おやじの会」発足会が開催されました。
 議題は、おやじの会代表選出と活動計画の審議。その中で、4月早々からリニューアルした学校ホームページが話題となりました。新任校長として最初に行った学校改善を早々に話題にしていただけるなんて、夢のようなことです。ホームページ更新に勢いが出たことは言うまでもありません。おやじさん方に企業人が多いこともあって、ホームページの話題から生徒のIT活用について話は及びました。ネットトラブルから校内殺人事件にまで至った佐世保事件のことも話題となりました。社会でのIT活用に必要な力について言及されたときは、こちらがしっかり勉強しておかないとおやじから信頼を失うぞと肝に銘じたことを覚えています。この日、「おやじの会」もホームページ発信をすることが決定されました。良い意味で「おやじの会」の脅威を感じた発足会でした。

当初からこのような関係が持てたことで、「おやじの会」とともに様々な取組ができました。なかには、今思えば冷や汗が出ることを考えたこともありました。学校を学びの拠点にしたい、父親に学校に関心をもってもらいたいという思いから、休日に「利き酒会開催」を企画したのです。これを聞きつけた「おやじの会」が「校長さん、いくら何でもそのアルコール企画はまずいですよ。先生に傷がつくよ」と止めていただき、事なきを得ました。その後、おやじの会主催で同様な企画が実施されたことを補足しておきます。

(2013年12月16日)

準備中

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

1956年生まれ。1979年教員スタート。小学校、中学校教諭を経て、1998年教頭、2004年校長に就任。2007年より愛知県教育委員会指導主事、主査、海部教育事務所長を経て、2012年に小牧市立小牧中学校長に就任。学び続ける子供を育てるために、地域・保護者と一体となって「親子で学ぶ小牧中特別講座」など独自の取り組み実践中。
著書には、「玉置流・学校が元気になるICT活用術―ICTは学校力向上ツール 」(プラネクサス)「学校を応援する人のための学校がよくわかる本(1)(2)」(プラネクサス)「スペシャリスト直伝!中学校数学授業成功の極意」(明治図書)など多数。
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