★このコラムは、平成25年3月から9月まで、26回にわたり、日本教育新聞に連載をしてきた「校長塾 経営力を高める最重要ポイント」の続きです。「ぜひ継続を」という声をいただき、この場をお借りすることにしました。校長としての様々な実践事例を紹介しながら、私が考える学校経営力を高めるためのポイントを示していきたいと思います。主な対象は、若手管理職やミドルリーダーのみなさんです。「なるほど!こういう方法があるのか」「このようなことに心掛けるべきなのか」と、心の中にストンと落としていただけるコラムになるようにいたします。どうぞよろしくお願いします。
【 第23回 】学校環境プロジェクト(1)
―学校の顔である玄関先掲示が気になる―
実は以前から気になっていたことがある。それは本校玄関から職員室に続く廊下の掲示である。ご覧のとおり、古い賞状や新校舎のイメージが掲示してある。これを見入る人は誰一人見たことはない。 |
歴史と伝統がある本校、学び舎を目指している本校には似つかわしくないものだと考え、いつかは変えようと思っていた。もっとも大っぴらに批判はできない。なぜなら、この掲示はここの場所に学校が移転した平成十年から変わらないからだ。平成十年から十五年まで六年間教頭を務めていた身で、ここはまずいとは言いにくい。しかし、校長に赴任して三年目を迎えた。今年度はぜひとも変えようと考えていた。そのときに出会ったのが、原愛樹さんだ。「己の授業を語る」(20回〜22回参照)のインタビュアーとしてお願いした原愛樹さんは、もともとはデザイナーだ。ここの掲示の変更も原さんにお願いすることにして、予算獲得をすることにした。「新しい学校づくり事業」の一つに入れた。
事業審査員の中には、「わざわざプロのデザイナーを頼まなくてはいけないのか」という意見があったという。「掲示物は生徒と教師で作るものだ。予算は見合わせたい」という意見もあったように聞く。もっともそのような意見はあったものの最終的には認めていただき、原さんに製作費を含めた契約ができた。
さっそく原さんに思いを伝える。玄関に入った時に、なるほどここは学び舎だという印象が持たれる掲示物を作りたい。また、さすが小牧中だ、歴史と伝統、そして明日への勢いを感じる」と言われるものとしたいという思いだけを伝え、具体化はお任せするとした。
原さんの凄いのはここからだ。小牧山に登り、本校を眺めてみたり、小牧市や小牧中の歴史について調べてみたりと、かなり広い視点で掲示物の構想を練っておられた。そして、ある日、ワークショップを開きたいので協力してほしいと依頼がきた。まったく予想もしないことだったので驚いたが、掲示物に、地域・保護者・教職員の思いを反映させたいというのだ。なるほどと唸った。
クリエイティブ・ディレクターの原さん(写真左)、コミュニケーション・ファシリテイターの名畑さん(写真右)によるコーディネートで、充実した2時間となった。ぜひとも模造紙にまとめられた参加者の語りを見ていただきたい。同様なことは学校評議員会でも行われた。 |
ワークショップの様子とまとめ |
学校評議会の様子とまとめ |
「学校の掲示物、しかも学校玄関に表示される掲示物に地域・保護者・教職員の思いを入れる」アイデアには脱帽した。(続く)
(2015年2月16日)