★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第8回 】学校に行く理由
親は子どもからいろいろなことを聞かれます。子どもの成長とともに、「どうして?」「なぜ?」の内容も変わっていきますね。答えに困ることも多いのですが、それもまた、親としては子どもの成長を感じられるうれしい出来事です。今回は、そんな「子どもの疑問」の中から考えた保護者の想いをお話ししたいと思います。
◆「どうして学校へ行かなくてはいけないの?」と聞かれたら
子どもからの「なぜ?なぜ?攻撃」を受けながら、だんだんと「こんなことを『なぜ?』と聞かれたら、どうやって答えようか」と考えるようになりました。
その中の一つに「どうして学校へ行かなければいけないのか?」という疑問があります。
明確な答えを持っているわけではありませんし、正直なところ正解もわかりません。私自身は「学校は行くものだ」とずっと思っていて、「なぜ行かなくてはいけないのか?」という疑問は持ったことがありませんでした。
幸い、我が子からこの疑問をぶつけられたことはありませんが、もし聞かれたら、どのように答えたらよいだろうかと考えてきました。とりあえず、私が考えた答えは「義務教育だから」です。
◆「義務教育」の意味
この「義務教育」の意味、先生方なら当然ご承知のことなので釈迦に説法になりますが、保護者の方々は意外に勘違いされているようです。
私たち保護者には、「子どもに教育を受けさせる義務」があります。ですから、義務を負っているのは保護者の方で、子どもたちには「教育を受ける権利」があります。しかし、「子どもが教育を受けることが義務」と勘違いされている保護者が少なくありません。どちらも「学校へ行く」ということに変わりはないので、たいした違いじゃないと思われるかもしれませんが、私は、保護者の皆さんに「保護者は子どもを学校へ行かせなければならない」ということを、もっと自覚してほしいと思っています。
最近では、「家族旅行へ行くので」という理由で欠席することも珍しいことではなくなりました。それ以外にも、「えっ、そんな理由で休んでいいの?」と驚くようなことがあります。
たしかに家族で過ごす時間は大切ですし、それぞれのご家庭に事情がおありでしょうから、それをとやかく言うつもりはありません。親の価値観が多様化し、学校に対する優先順位が下がってきているのかもしれませんね。
ただ、「保護者には子どもを学校へ行かせる義務がある」ということを忘れないでほしいと思います。私たちは、その義務を果たすためにどうするべきなのか、という視点を持つべきではないでしょうか。
◆「学校へ行かない」という選択
今では、どの学校でも「いじめ」など、いろいろな問題で「不登校」になるケースも増えています。
子どもになんらかの問題が起きてしまったとき、「学校へ行かない」という選択を親がすることも多く、その選択への理解も広まっているように見受けられます。
子どもを守るために、やむなく「学校へ行かない」選択をする親の気持ちはわかります。
でも、「学校へ行かない」時間が長引けば、それだけ戻ることが難しくなってしまいます。その選択をしなければならないほど深刻な状況になる前に、まわりの大人が気付いてあげることが大切なのではないでしょうか。
できるだけ、子どもには学校へ行ってもらいたいと思っています。それは、つらくても逃げずに学校でがんばることは、乗り越えた時に子どもにとって大きな財産になると思うからです。問題が小さなうちに発見できれば、大人たちの助けを借りながら、きっと子どもたちは乗り越えていけると思うのです。そのために、先生には学校の中で解決できるように子どもたちを全力でサポートしていただきたいですし、親も全力で「学校へ行く子ども」を支えることが大切だと思います。
子どもの小さな変化に気付くには、「見守る」ことが必要です。これは親と先生の大切な役割です。先生と子ども、親と子ども、親と学校、とそれぞれが連携できる信頼関係を築いていけるといいですね。そして大人がみんなで子どもを見守る体制ができるといいなと思います。
◆子どもが「学校へ行く理由」
テスト前や苦手な教科がある日、給食のメニューが嫌いなものの日、友だちとケンカしてしまった次の日。
誰にでも「学校に行きたくないな」と思う日はあります。
それでもイヤイヤながら学校へ行くのはどうしてでしょうか?
「行かないとお母さんや先生に怒られるから」…たしかにそうかもしれませんね。だって、「保護者は子どもを学校へ行かせなければならない」のですから。
でも、多くの子どもたちは知っています。学校には、自分の居場所がちゃんとあることを。だから「行きたくないなぁ」と言いながら登校しても、「楽しかった!」と言って帰ってくるのです。
そして、イヤなことを我慢する心を育てることも必要なことだと思います。「イヤだな」「怠けたいな」と思う自分の弱い心と葛藤して、勝ったり負けたりしながら、少しずつ折り合いをつけながら、子どもたちには元気に学校へ通ってほしいと願っています。
学校は楽しい場所です。
たくさん学んで、たくさん遊んで、たくさんの経験をしながら、大きく成長できるところです。
「あ〜早く学校へ行きたい」「早く友だちに会いたい」「早くみんなと遊びたい」「学校大好き」
子どもたちの口からこんな言葉が聞かれるような、一人一人に居場所のある学校にしていきたいですね。
(2013年11月11日)