愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されていた斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第50回 】ワークシート活用のヒント(2)

◆「地域・保護者&学校が分かり合えるため、そして、ともに動き出すためのワークシート」の活用

前回のコラムに引き続き、「地域・保護者&学校が分かり合えるため、そして、ともに動き出すためのワークシート」(以後、ワークシートとします)の「活用のヒント」をお伝えします。ぜひ、ご活用ください。

◆ワークシートの種類のおさらい

ワークシートの種類のおさらいです。
 ワークシートは3種類(レベル1・レベル2・レベル3)あり、それぞれに次のようなテーマがあります。

  • レベル1: 協働のためのはじめの一歩
  • レベル2: 協働のイメージを作ろう
  • レベル3: 協働できることを絞り込もう

今回のコラムでは、「レベル2」の活用のヒントについてお伝えしていきます。

◆レベル2のポイント(1)

「レベル1」で、参加者同士が打ち解けて、和やかにお話ができるようになったことでしょう。
 そして「学校の現状」が共有でき、校長(学校側)から「学校教育目標に込めた思い」を聞いて、「一緒にやっていこう」という雰囲気づくりができたことと思います。

ワークシートでは、冒頭に「本日のテーマ」が示してあります。
 今日は何をやるのか、ゴールは何なのかを明確にして、皆さんで共有することで、会の進行がスムーズにできます。
 ここではタイムテーブルの確認も合わせて行うとよいでしょう。参加者は、時間を作って、わざわざ来てくださっています。終了時刻は守りましょう。

その次に「前回の振り返り」を行います。
 ワークシートは、レベル1からレベル3までつながりを持った内容になっています。
 しかし、前回終了後からすぐに次の会議ができるとは限りません。
 会議が毎回振り出しに戻ってしまわないように、前回話し合った内容の確認をすることが大切です。

そのために重要なのは、会議の記録を残しておくことです。
 ファシリテーターは、毎回、記録を忘れずに残してください。
 模造紙を使用した場合は、可能であれば学校に保管してもらいましょう。
 ホワイトボードを使用した場合は、写真に撮って保存しておきます。次回の会議で、それをプリントアウトして参加者に配付すれば、前回の内容をすぐに思い出すことができます。

◆レベル2のポイント(2)

いよいよ「レベル2」では、「協働」について考えていきます。

「協働」という言葉から受ける印象は、参加者によってさまざまです。
 これまで学校と密接に関わってきた経験のある人の場合は、かなり具体的なイメージを持つことができるかもしれません。しかし、初めてこうした場に参加する保護者などは、最初はなかなかイメージがわかないこともあります。
 まずは、自分が知っている(見たことがある、聞いたことがある、やったことがある)活動を、思い浮かべてもらいましょう。

いろいろな活動が挙げられましたね。
 次は、それらの活動と、前回の話し合いの内容をつなげていきます。
 前回「学校自慢」「地域自慢」で共有した「よさ」を確認しながら、今挙がってきたいろいろな活動が「よさ」とつながっていることを見つけていきます。
 ファシリテーターが例を示しながら、上手に価値づけをしてあげると、参加者のモチベーションが上がります。

つながりを見つけられたら、参加者同士で交流してもらいながら、「学校と地域がつながるよさ」について考えていきましょう。
 ここで「協働」に対するプラスのイメージを持てるようにしたいものですね。

◆レベル2のポイント(3)

次は、具体的な活動について考えていきます。

これまでの話し合いで、「自慢」の部分をもっと広げていけると、学校や地域がよくなっていく、ということが参加者の中で共有できているはずです。
 「自慢」につながりそうな活動を考えてもらいましょう。
 さらに、学校の現状の改善につながる「もっとよくなるといいな」の部分についても、何か役に立ちそうな活動を考えてもらいます。

ここでは「実現するか、しないか」ということは度外視して、思いついた活動をたくさん出してもらいましょう。
 「自分ができること」や「学校にやってほしいこと」という観点で考えてもらうと、あとで、出された意見を整理するときにわかりやすくなると思います。
 たくさんの活動が出されれば、それだけ具体的なイメージが持ちやすくなります。
 参加者が同じような「協働のイメージ」を持てるように、出された意見をまとめていけるといいですね。

次回は、レベル3についてお伝えします。

◆おまけ

どんな会議でも言えることですが、60分を超えるような会議では、できるだけ途中で休憩を入れたいものです。
 大人であっても、集中力はそれほど長くは維持できません。
 楽しい時間はあっという間に過ぎるものですが、それでも適宜休憩を入れながら、気分転換できるようにするといいですね。
 さらに、ちょっとしたお菓子や飲み物があると、場が和みやすいです。
 必ず用意しなければならないものではありませんが、少しの気遣いで雰囲気がよくなりますので、心に留めておかれるとよいでしょう。

(2017年5月1日)

斎藤さん

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住 の3人の子供たちの母。
小牧市立小牧中学校にて、2014年度に、開校以来初めての女性PTA会長を務めた。
2012年春、玉置崇先生が校長として小牧中学校へ赴任されたのを機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、3年間にわたり、PTAの各委員会活動だけでなく、学校HPで発信される「学校の想い」に応えながら「保護者の想い」を発信して、学校と先生を応援してきた。
学校と保護者の温かい交流がある「愛される学校」が、全国に増えるといいなと願っているお母さん。