★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されていた斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第49回 】ワークシート活用のヒント(1)
◆「地域・保護者&学校が分かり合えるため、そして、ともに動き出すためのワークシート」の活用
前回のコラムでは、「地域・保護者&学校が分かり合えるため、そして、ともに動き出すためのワークシート」(以後、ワークシートとします)の開発者の思いをお伝えしました。
私たちの熱い思いから生まれたワークシートを、たくさんの学校で活用していただけるように、今回から「活用のヒント」をお伝えしていきます。
◆ワークシートの種類
ワークシートは3種類(レベル1・レベル2・レベル3)あり、それぞれに次のようなテーマがあります。
- レベル1: 協働のためのはじめの一歩
- レベル2: 協働のイメージを作ろう
- レベル3: 協働できることを絞り込もう
レベル1では、参加者の関係づくりを行います。次にレベル2では、協働するってどんなことをするのかというイメージを共有します。最後にレベル3では、具体的に協働できる活動を絞り込みます。そして実際に活動してみるところまでつなげていきます。
このように、レベル1から3に向かって、段階を追って進められるように工夫しました。
◆レベル1のポイント(1)
組織づくりの「はじめの一歩」は大切です。
参加者は、ただでさえお互いにどこの誰かもわからない中で不安を感じていますし、さらに「何をやらされるのか…」と懐疑的になっています。
まずは学校から、「会の趣旨」「会の開催計画・時間」などをお知らせしてください。
その際、「何のための会議なのか」を明確にお知らせするとよいですね。
参加者が「目的」「ゴール」を共有できれば、スムーズに会を進めることができるでしょう。
また「全3回開催」ということも伝えておくと、見通しを持って参加することができます。
次に、お互いを知り合うことから始めましょう。
おそらく、どのような会であっても、参加者の自己紹介は行われると思いますが、これに一工夫するだけでも打ち解けやすくなります。
所属と氏名だけの自己紹介ではなく、少しゲーム的な要素を取り入れてみるのもよいでしょう。
「ガイドブック」に例を載せてありますが、アイスブレイクをするのも効果的です。
◆レベル1のポイント(2)
自己紹介が終わり、参加者が和んだ雰囲気になってきたでしょうか。
次に行うのは「学校自慢」「地域自慢」です。
これらは、協働できる活動を探す手がかりとして、参加者に「学校」と「地域」の現状を知ってもらい、情報を共有してもらうために行います。
立場の違いによって視点が異なりますから、これまで気付いていなかった「自慢」を知るきっかけとなります。
「自慢」がひと段落したら、「もっとよくなるといいな」についても、同様に意見を出し合います。
ここで出された意見は、いわば「協働活動のタネ」となります。これらがもとになり、「レベル2」「レベル3」につながっていきます。たくさんの意見を引き出せるとよいですね。
◆レベル1のポイント(3)
「学校自慢」「地域自慢」で、参加者から見た「学校の現状」が共有されました。
次に行うのは、「学校からの思いの発信」です。ここでは、校長が思いの丈を熱く語りましょう。
「学校教育目標」は、学校側が思っている以上に、保護者や地域に伝わっていません。それは「発信の不足」が原因だと思います。
すべての学校に「学校教育目標」はあります。そこには「こんな子どもを育てたい」という学校(校長)の思いが込められているはずです。これが伝わっていないのは残念なことです。
この「学校教育目標」に込められた「思い」を、学校と参加者が共有することこそが「はじめの一歩」として大切なことなのではないでしょうか。
「こんな学校にしたい。こんな子どもを育てたい」という目標から始まり、学校が現状抱えている課題についても率直に伝えられると、参加者の協働に対する意識も変わるでしょう。
「ここで伝えたいこと」を考えて、整理しておく準備は、ぜひ事前にしておいてください。
「ガイドブック」でも詳しく説明してありますので、参考にされるとよいでしょう。
今回は、レベル1のポイントを中心にお伝えしました。
次回からは、レベル2、レベル3についても、そのポイントを順次お伝えします。
(2017年3月27日)