★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されていた斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第48回 】地域と学校がつながろう(2)
◆「元気な学校づくり応援プロジェクト(3)」が始まりました
前回のコラムでお知らせしたように、去る2月19日(日)に開催された「愛される学校づくりフォーラム2017 in 名古屋」にて、「元気な学校づくり応援プロジェクト(3)」が紹介されました。
このプロジェクトでは、『地域・保護者&学校が分かり合えるため、そして、共に動き出すためのワークシート』と、このワークシートを活用して、学校と保護者や地域との軽やかでしなやかな結びつきが生まれるような会議になるように『ガイドブック』をセットにして提供しています。
ワークシートがあっても、どうやって会議を進めてよいのかわからないな、と不安に思われるかもしれませんが、詳細なガイドブックが用意されていますので大丈夫です。
2月20日(月)より、「授業と学び研究所HP」からダウンロード(無料)できるようになりました。ぜひご活用ください。
さらに、うれしいお知らせがあります。
このワークシートを活用して会議をした様子を「ワークシート活用報告書」にまとめて、期限内にご提出いただいた学校には、「会議活性化セット」(3種類の中から1つ選択)をプレゼントいたします。
このプレゼントの応募対象は、全国の国公立私立の小中学校です。(先着50校)
また、授業と学び研究所の取材を受けていただいた学校は「ワークシート報告書」の提出なしで「会議活性化セット」のプレゼントを受けることができます。
そして、会議がうまく進められるか不安だという学校には、授業と学び研究所から、会議の進行役となるファシリテーターの派遣も可能です。派遣を受けた学校も、上記の取材校と同様に、「ワークシート報告書」の提出なしでプレゼントが受けられます。
詳細については、「授業と学び研究所HP」をご覧ください。
◆開発者の想い
このワークシートの開発には、大学教授、教育委員会や元校長などの教育関係者と、地区の地域コーディネーターを総括する立場の人、地域コーディネーター、元PTA会長、おやじの会会員など、保護者や地域の代表者が参加しました。
開発の企画が生まれた背景には、玉置崇先生(岐阜聖徳学園大学教授・元公立中学校長)がさまざまな訪問校で「地域連携を進めようと思うが、どうしたらいいのかわからない」「うまくいかなくて困っている」という声を、多数聞いたことがあります。
困っている学校に対して、何か手助けができないか、という呼びかけに応じたメンバーは、それぞれ地域連携で同じような困り感に直面してきた人ばかりです。ですから、学校側の悩みも、地域や保護者側の戸惑いもよくわかります。
しかし幸いなことに、私たちは「生みの苦しみ」を経て、地域連携の良さを実感することができました。
その経験を、困っている学校に知ってもらい、ぜひ役立ててほしいという想いを持って開発に取り組みました。
開発を進めるにあたり、私たちは「地域連携のために必要なこと」をじっくり話し合いました。
そこで見えてきたのは、「信頼関係」と「共有化」でした。
「なぜ、私たちはうまくいったのか」を思い返してみると、その要因にこの2つが大きく関わっていることに気付いたのです。
簡単にできることではないことは身をもって経験してきましたが、紆余曲折の末にたどり着いた「仲間」という関係は、その後の活動に大きな影響力を持っていることを実感しています。
立場を超えて、人と人がつながるためには、信頼関係が必要です。そのためには、お互いのことをよく知り合うことが大切だね、という意見に、メンバーの想いは一致しました。
信頼関係があれば、お互いを尊重し合いながら、率直な意見交換ができるようになります。
その意見交換が有効に機能するためには、共有化が必要です。
「現状」の共有、「課題」の共有など、さまざまな情報を共有することで、同じ土俵の上で話し合うことができます。
さらに、目指す方向となる「目標」が共有できれば、みんなの力を結集することができます。そうなれば、多くの人の力を借りることができるようになり、地域連携の可能性も広がります。
「何をやるか」という具体的な内容は、「信頼関係」と「共有化」ができた後に、地域の実態に合わせて考えればいいことです。
私たちは、「まず『信頼関係』と『共有化』という大切な2本の柱を作りたい」ということを、メンバーで「共有化」して開発に取り組みました。
そんな想いが実を結び、「ワークシート」という形になったことに、心から喜びを感じています。
◆真の地域連携のために
とにかく形だけやっておけばいい…と体裁を取り繕うための「アリバイ作り」のような会議からは、真の地域連携は生まれません。
地域連携は、単年度ですぐに効果が出るような活動ではないはずです。長期的な視点も必要ですし、継続していくためにどうするかという視点も必要になりますね。
「活動ありき」というスタートではなく、「まずは関係づくりから」というスタートの仕方で、多くの学校でこの『地域・保護者&学校が分かり合えるため、そして、共に動き出すためのワークシート』を活用していただけるといいなと願っています。
(2017年2月27日)