★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第4回 】校務見直しのススメ
子どもたちが楽しみにしている夏休みが近づいてきました。学期末に向けて、先生方は、成績を付けたり、通知表や懇談会の準備などで大忙しだと思います。今回は、そんな忙しい学校への保護者の想いについてお話したいと思います。
◆とにかく、先生は忙しい
「とにかく、先生は忙しい!」というのが、PTA役員をやり始めて学校へ行く機会が増えたときに感じた、先生に対する印象でした。
職員室にいつ行っても、慌ただしく動いている先生方や、机で何やら難しい顔をして書き物をしていたり、パソコンとにらめっこをしている先生方ばかりです。気軽に声を掛けづらい雰囲気が漂っています。
先生のメインの仕事は「授業をすること」ですから、当初はその準備をされているのだろうと思っていました。
でも実際には、授業の準備以外にも、たくさんの会議、研修会、生徒指導で家庭訪問、地域への対応など、本当に山のように仕事があるのですね。
「先生なんだから当たり前」と思っている保護者が多いのが残念ですが、そんな現状がわかってくると、子どもたちのためにと「とにかく、先生は忙しい!」という中でもがんばっておられる姿に感謝の気持ちでいっぱいになります。
◆その仕事、ほんとに必要?
学校にはたくさんの「分掌」があり、一人で何役もやらなければならないほどだとお聞きしました。
私はただの保護者なので、学校の「分掌」について詳しいことはわかりませんが、すべてが本当に必要なのかなと疑問に思います。
一般企業では、効率化を図るために、まずは「業務内容の見直し」をします。
必要なものは残し、不要のものは廃止していきます。さらに、必要なものの中で「統合」したり「分割」したりして、よりスムーズに業務が進むように変えていきます。
学校ではどうでしょうか?
きっと、それなりに見直しはされているとは思いますが、学校では先生の異動がありますし、法令などで決まっていることもあるでしょうから、あまり大幅な変更はしにくい状況だろうと思います。
しかし、考えようによっては、その「異動」が「見直し」のチャンスだと思うのです。
他校から転任された先生は、「前の学校では、こんな会議なかったのに」「前の学校にはあった係が、こちらにはないな」など、前任校と比較して気付くことがたくさんあるはずです。
そこで、その「気付き」をもとに、その業務はどんな意味があるのか、本当に必要なのか、他のもので代用できないのか、といったことを検討してみてはいかがでしょうか。
その結果、すべてが必要で、変えることはできない、となるかもしれません。
それでも、検討してみることで、少しでも効率的に進める方法が、先生方の中からアイデアとして出てくるかもしれませんよね。
◆校務にもICT活用を
最近は、多くの学校でICT機器が導入され、デジタル教科書などを使った授業が始まっています。
若い先生の間では、パソコンなどの機器を自由自在に操ることは、それほど珍しいことではないでしょう。
せっかくある資源を上手に利用しない手はないと思うのです。
我が子が通う小牧中学校では、職員会議のときに使用する資料は印刷しないで、データのまま職員用の掲示板にアップしておき、各自でパソコンの画面を確認しながら会議をする、と校長先生からお聞きしました。
これだけでも相当な紙の節約になりますし、印刷する時間が必要ないので、その時間を他の仕事に振り分けることができます。
他にも、生徒や児童の情報を一元管理できれば、いちいち担任の先生に聞かなくても、自分で検索して情報を得ることができますし、自分の持っている情報をアップすれば、他の先生と共有することができます。
パソコンや校内LANなどを活用することで、このような小さなことでも時間の節約につながり、積み重ねていけば先生の業務低減につながるはずです。
いきなり大がかりなシステムを導入するとなると、相当の費用と労力がかかってしまいますし、セキュリティのことや、運用面でもいろいろと難しい問題が出てきます。
既存の設備を使ってできることをいろいろ探してみるのがいいと思いますが、「そんなことやってる時間がないよ」という声が聞こえてきそうですね。
そんなときは、先行事例を参考にするのが一番です。書籍を参考にしてもいいですし、積極的に校務のICT活用を進めている近隣の学校を参考にしてみてはいかがでしょうか。
パソコンや機器の使い方がわからないから、という理由で、せっかく効率的にできる方法があるのに、わざわざ時間がかかる方法に固執しているようでは、いつまでたっても「とにかく、先生は忙しい!」の状態から抜け出せないと思います。
多くの保護者が「先生には子どもと過ごす時間をもっと取ってほしい」と思っています。その想いに応えていただけるように、先生方の校務の負担軽減が進むといいなと願っています。
(2013年7月8日)