愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されていた斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第34回 】「チーム学校」に想う(2)

◆「チーム学校」の2つの側面

文科省が推進している「チーム学校」には、2つの意味合いがあります。

1つは、学校の中の「チーム学校」。これは、教職員の仕事や役割分担を見直し、業務をスリム化して教職員の負担を減らすことや、学年団や学年間、さらには学校全体が協力して、「チームとして」教育活動を行っていくことを目指しています。

もう1つは、学校と地域がつくる「チーム学校」。こちらは、学校のまわりの地域の人々の力を借りて、学校だけでなく「地域とともに子どもを育てる」教育活動を行っていくことを目指しています。前回のコラムでご紹介した地域コーディネーターや学校支援地域本部コーディネーターの皆さんの活動は、まさにこの「地域とともに子どもを育てる」活動でした。

今回のコラムでは、2つ目の「学校と地域がつくるチーム学校」について話題にしたいと思います。

◆地域にとっての学校の存在感

地域では、さまざまな団体がボランティア活動をしています。
  それぞれに、とても有意義な活動をされているのですが、大々的に宣伝をされているわけではありませんのであまり知られていないことも多く、もったいないなと思います。とくに子育て世代は、地域に対する関心が薄いようです。
  しかし、学校で活動されれば、学校HPでその様子が紹介されたり、子どもから話を聞いたりして、保護者もその活動を知ることができます。中には、活動に興味を持って、参加してみようと思う人も出てくるかもしれません。
  そう考えると、地域にとっても学校は大切な存在であり、地域の人をつなぐ場にもなりますね。ですから、学校はもっと地域に対してオープンになったらいいなと思います。
  地域のニーズに学校が応えていけば、学校のニーズにも地域が応えてくれるようになるでしょう。そのためにも、両者の橋渡しをしてくれるコーディネーターの存在は大きいですし、よりよい関係を築いていっていただきたいなと思います。

◆学校との関係づくりの難しさ

先日の「愛される学校づくり研究会例会」のゲストのコーディネーターの皆さんが口をそろえておっしゃっていたのは、学校との関係づくりの難しさでした。
  コーディネーターの人選方法や活動内容については学校ごとに違いますが、多くの場合、PTA役員経験者が選任されているようで、長く続けられる方も多いようです。
  ゲストのコーディネーターの皆さんは長く続けてこられた方々なので、お話の中で出された「学校の体制が変わると、また一からやり直し、ということを繰り返してきた」という言葉が印象的でした。

学校は、毎年、先生方の異動があります。その中でも、校長や教頭(副校長)といった管理職が代わると、大きく方針が変わることがあります。
  PTAや地域の人々と接点を持つのは、だいたいが校長や教頭のような管理職になります。
  人が代わって、方針も変われば、また一からやり直しで作り上げていくしかありません。
  それは仕方のないことですが、もう少し何とかならないか、というコーディネーターさんの思いについても考えてほしいと思います。
  前年度まで積み上げてきたことの引継ぎが十分でなかったり、これまでの経緯をまるで無視したような全く違う方針を押し付けられたりしたのでは、コーディネーターさんも面食らってしまうでしょう。
  学校側は、コーディネーターさんの意見や立場を尊重して、もっと学校経営に参画してもらうことも考えてくださるといいなと思っています。
  それには、やはりコミュニケーションをしっかりとることが大切なのではないでしょうか。

◆職員室の中でも話題に

私がPTA役員として学校に出入りしたり、先生方と交流したりするようになって感じたのは、「実は先生たちって、PTAのことや地域のことをほとんど知らないな」ということでした。
  学校には、業者も含めて、いろいろな人が出入りしますから、どこの誰だということはいちいち気にしていないのが普通なのかもしれません。
  しかし、「学校へ行く」ということは、保護者や地域の人にとっては、ちょっと勇気がいることなのです。
  そんな少し緊張する場面でも、そこで出会った人(先生)が、たとえ直接関わりがなくても、少し関心を持って接してくださったり、顔を見たら一声かけてくださったりするだけで、外からきた者にとってはどれほど心強い思いになるか、ということは、ぜひ知っておいていただきたいと思います。
  「いつもありがとうございます」「ご苦労様です」、こんな一言二言の会話が、学校との距離をぐっと縮めてくれるのです。
  そのためにも、管理職や担当の方々は、職員室内でもっとお知らせをしてくださるといいなと思います。
  知らなければ、関心は生まれません。
  担当外の先生方も少しでも関心を持ってくださるように、何か一工夫していただけるといいですね。

(2016年1月4日)

斎藤さん

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしてきた。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。