★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第21回 】選挙権は大人の証
◆選挙の季節がやってきました
このコラムが掲載されるころは、衆議院議員総選挙の公示日直前になります。2年前に引き続き、今回も年末の慌ただしい時期の総選挙となりました。
選挙といえば、気になるのは投票率です。
毎回、選挙後に投票率が発表されますが、とくに若い世代の投票率の低さが気になります。
私は、選挙権を得てから、これまで多くの選挙を経験してきました。一度だけ、事情があり棄権しましたが、それ以外はすべて投票してきました。
私は、政治に強い関心を寄せている、というわけではありません。
選挙公報はチラッと眺めるだけですし、立会演説会や街頭演説を聞きに行ったこともありません。
新聞やテレビのニュースを見るくらいで、特別に情報収集をしているわけでもありません。
候補者ポスターの掲示板も、前を素通りするだけで、いちいち立ち止まって見たりはしません。
おそらく、多くの国民が、私と同じように、それほど関心を持ってはいないでしょう。
◆無関心な人々
20代のころは、「選挙のときには投票に行く」という私は、友達から珍しがられました。
当時も、不在者投票の制度がありましたが、特別な事情でなければできないことから、投票日に用事があって出かけるというような場合は、「もう投票には行かない」となりがちでした。
「わざわざ行くのは面倒くさいし」と言う同世代が多かったです。
母となり、ママ友と情報交換をしていて驚いたのは、ママたちの多くが投票に行かない、という事実でした。
たまたま私のまわりにそういう人が多かっただけかもしれませんが、中には「一度も投票に行ったことがない」という人も少なからずいて、ショックを受けました。
無関心なのは私も同じでしたが、投票には行くものだと思っていたので、こんなにも投票に行かない大人がたくさんいる、ということがショックだったのです。
◆学校で教えてもらったから
私が毎回投票へ行くのは、子どものころに、「20歳になったら選挙権が与えられます。25歳、30歳になったら被選挙権が与えられます。選挙権は、国民の大切な権利です。大人になったら、与えられた権利をしっかり使いましょう」と、学校で教えてもらったからです。
ですから、私は「選挙権は大人の証」と思って、これまで権利を行使してきました。
そう考えると、やはり学校での教育は大切だな、と思うのです。
しかし、いくら学校で「選挙権をもらったら、投票へ行こう」と教えてもらっても、身近な大人たち(とくに親)の投票に行かない姿を見ていれば、子どもたちは、きっと「投票なんて行かなくてもいいんだ」と思うことでしょう。
たしかに、投票へ行かず、選挙を棄権したからといって、何か罰を受けるわけではありません。
でも、投票しなければ、自分の意思表示をしないわけですから、どのような結果になっても文句は言えません。
私たち大人は、これからを生きる「未来の大人たち」である子どものためにも、自らの行動を顧みる必要がありそうですね。
◆自分で考えるのが大切
私自身、選挙に対して、それほど深い思慮があるわけではなく、候補者のことをよく知らないまま投票することもあるので、あまり偉そうなことは言えないのですが、少なくとも投票する前には「こんな国になってほしいな」「こんな地域になってほしいな」ということについて考えます。
日々の暮らしに精一杯でも、何年に一度かは、こうしたことを自分で考えることは、とても大切なことなのではないでしょうか。
子どもたちには、ぜひ「自分で考える」大人になってほしいと願っています。
たとえ、思ったような結果にならなかったとしても、自分たちの国や地域のことを考える時間は、無駄にはならないと思うのです。
ですから、学校では、選挙制度のことだけでなく、選挙の大切さや投票することの意味についても、くどいくらいに教えていただけるとうれしいなと思います。
政治的なことについては、いろいろ制約があると思いますが、先生方が選挙のことを話題にしてくださるだけでも、子どもたちには意識が生まれると思うのです。
きっと、子どもたちの心の中に残っていくだろうと信じています。
ネットでの選挙活動ができるようになったことですし、「自分で考える」若い人が増えるといいですね。そして、みんなが権利を行使して、投票率が上がる世の中になるといいなと願っています。
(2014年12月1日)