愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第19回 】笑う門には福来る

◆笑撃!「第1回教育と笑いの会」

8月に、名古屋で開催された「第1回教育と笑いの会」には、全国からたくさんの参加者がありました。
  参加者の9割近くは教員の方のようでしたが、私のような一般からの参加者も来ていました。
  会長である玉置先生から、会の立ち上げの経緯からのお話をお聞きしていたので、一体どのようなことをされるのか、とても興味を持っていたのですが、ゲストの顔ぶれに驚きました。
  教育界では泣く子も黙る野口芳宏先生や、全国各地に学校訪問され、先生方を元気にしている志水廣先生が登壇されるというのですから、なんと贅沢なことでしょう。
 それに加えて、上方落語の若手のホープ、桂雀太さんのプロ落語が聞けて、さらには、我らが玉置先生も教育落語に挑戦される。これは行かねば!という思いに駆られました。多くの参加者が、私と同じ気持ちだったのではないだろうかと思います。
  基調講演の野口先生に始まり、最後の志水先生まで、とにかく会場が大爆笑の連続で、大沸騰した、あっという間の3時間でした。
 参加者はもちろんですが、参加できなかった方からも、次回を切望する声が多く上がっているそうで、玉置会長は、すでに第2回の企画を進めておられるとか。とても楽しみな会が立ち上がりましたね。次回も、たくさんの方に参加していただけるといいなと思います。

◆笑いの効用

この「第1回教育と笑いの会」では、4人の登壇者の皆さんが、それぞれ「笑い」についてお話をしてくださいました。
  ただの保護者である私は、「教育と笑いの関係」というテーマについて、これまで考えたこともありませんでしたし、正直言って関係があるようには思えませんでした。ですから、よけいにどのようなお話が聞けるのか、とても楽しみだったのですが、参加してみて感じたことは「教育と笑いは、大いに関係がある」ということでした。

後半のパネルディスカッションでは、司会の大西貞憲先生が、野口先生に「笑いで学力はつきますか?」というストレートな質問をぶつけました。野口先生からの答えを、固唾をのんで見守っていた聴衆に向かって、先生が発した答えは「笑いで学力がつくわけないでしょう」という一言。これには、会場が大爆笑に包まれました。

たしかに、「笑い」が直接「学力」に結びつくものではないでしょう。でも、私が「関係がある」と感じたのは、先生方がおっしゃっていた「授業中の笑い」の効用を考えたからです。
  45分、50分という時間、ずっと緊張して、集中していることは、大人にとってもたいへんなことです。ましてや子どもではなおさらですね。先生方は、あの手この手で、子どもたちが集中できるように授業を進めてくださっていますが、残念ながら「ああ〜授業つまらなかった」という声を、子どもから聞くことが多いです。
  そんな授業を考えるとき、「笑い」というのは、とてもよい潤滑油になってくれるのだろうなと思います。

一流の先生方は、とてもユーモアあふれる人ばかりで、お話をするのも聞くのも、本当に楽しいのです。そうした先生方と接していると、「笑い」というのは、人と人とのコミュニケーションの中で、なかなか侮れない存在だと感じます。
  皆さんもよくご存じだと思いますが、有田和正先生はかつて「笑いのない授業をした教師は逮捕せよ」とおっしゃったそうですが、いつの授業でも笑い声が聞こえる学級は、きっと子どもたちも生き生きと意欲的に授業に取り組める、ということなのだろうと想像しています。真剣な空気が流れる時間と、笑いで空気が緩む時間、両方の時間が授業中にあれば、きっと学校は楽しいでしょうね。

◆プロに学ぶ「笑いの技」

「教育と笑いの会」で野口先生がおっしゃっていたことの一つに、「笑いは、知的レベルの水準が高くないと生まれない」という言葉がありました。
  笑いにしようとしている「できごと」を知っていて、なおかつその状況が想像できなければ、おかしさがわからないのです。そうなると笑うことはできません。たとえば、子どもに向かって、「嫁姑問題」に関するユーモアを話しても、子どもには理解できないので、当然笑いも起きません。このように、「笑い」という行為には、相手の状況をしっかり把握する必要がある、という野口先生のご指摘には、「なるほど!」と納得しました。

落語家の桂雀太さんの言葉にも、「最初の枕で、お客さんの様子をよく観察して、話の内容をその場で変える」というものがありました。何の違和感もなく、最初から笑いを生むことができているように見えますが、実は頭をフル回転させてお客さんとの距離を測っている、というのは、さすがにプロの技ですね。

こうしたお話をお聞きしていて思ったのは、「落語家と先生って、なんだかよく似ているな」ということです。
  先生も、子どもたちの様子をよく観察して、状況を把握して、日々子どもと接しておられます。もちろん、授業でもそうでしょう。
  落語家は、日々違うお客様と接するので、毎回の対応にたいへん厳しい面もあるだろうと思いますが、先生方は毎日同じ子どもたちと接しているのですから、笑いのコツもつかみやすいのではないでしょうか。

毎回、さむ〜いオヤジギャグを飛ばして、子どもたちを凍りつかせている先生方。落語を聴いて、笑いのバリエーションを学ばれるのもいいかもしれませんね。

(2014年10月6日)

斎藤さん

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしている。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。