★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第18回 】心奪われる板書
◆ステキな「板書」に出会う
この夏、私は、教員向けの講演会で、お二人の先生のステキな板書に出会いました。
まずは、有田和正先生です。
岩手の常盤小副校長の佐藤正寿先生の講演会で、昨年2月の「愛される学校づくりフォーラム2013 in 東京」に登壇された、有田先生のビデオを拝見しました。
約6分間という短い時間でしたが、私は、有田先生がホワイトボードに書かれた文字の美しさに、目を奪われました。大きく、はっきりとした、とても読みやすい、丁寧な文字でした。
私は教員ではありませんので、書かれていた内容やレイアウトについての良し悪しはわかりません。
しかし、書かれた文字の美しさに惹かれて、板書の内容にもとても興味がわきました。
ビデオは、有田先生の模擬授業の冒頭部分のみだったので、その後の板書がどのように展開されたのか、見てみたい気持ちになりました。
次は、野口芳宏先生です。
名古屋で開催された「第1回教育と笑いの会」で、初めて野口先生の講演をお聞きしました。
ユーモアたっぷりで笑いにあふれた講演で、とても楽しい時間を過ごしましたが、ここでも、私の目は野口先生がホワイトボードに書かれた文字にくぎ付けでした。
野口先生の文字も、とても美しいのです。
けっして構えて書かれているわけではなく、さっと文字を書かれるのですが、崩れることなく、形が整っている文字でした。
野口先生の場合は、授業ではなく、講演ですから、先生が強調したい言葉を、ランダムにホワイトボードに書かれたのですが、読みやすく、目を引く文字のおかげで、すんなり心に届いたように感じました。
期せずして、「教育界の巨頭」と呼ばれるお二人の先生の「板書」に出会いました。
業界でのたいへんご立派な実績はよく存じ上げていない私にも、「美しい文字」を通して、有田先生や野口先生のすばらしさを感じることができたように思います。
◆練習あるのみ
学校の先生には欠かせない「板書」ですが、得手不得手がありそうですね。
自分が生徒だったころのことを思い出してみても、「あの先生の板書はわかりやすかった」という板書は、けっして「美しい文字」ではなくても、はっきり、見やすい字で書かれていたなと思います。
また、子どもたちから「あの先生の授業は、黒板の字が汚くて、何と書いてあるのかわからないからイヤ」という声を聞いたこともあります。
せっかくすばらしい授業をされていても、板書がうまくできなくて、子どもに不評だったとしたら、とてももったいないことですね。
やはり、文字はきれいに書ける方がよいと思います。美しくなくても、読みやすい字が書けるといいですね。
そのためには、練習あるのみです。
小学1年生が一生懸命ひらがなの練習をするように、コツコツと練習をすれば、誰でも、ある程度はきれいな文字が書けるようになるはずです。
苦手意識のある先生は、こっそり練習をされるとよいのではないかと思います。
◆カバーする方法を工夫する
文字にコンプレックスを抱えている先生の中には、「練習したいんだけど、なかなか時間が取れなくて」という方もいらっしゃるでしょう。
そんな場合は、なるべく文字を書かなくてもいいような「板書の工夫」をされてはいかがでしょうか?
もちろん先生方はご承知だろうと思いますが、私は授業参観のときに、教科書の一部を拡大コピーした模造紙や、パソコンで作成した文書を画用紙に貼り付けたものなどを、黒板に掲示して、授業を進める先生を何度も見ました。
毎回、そのような資料を準備するのは、とてもたいへんなことだろうとは思います。
しかし、とても見やすくて、わかりやすい黒板だな、と思いました。
一朝一夕にはきれいな文字に大変身することはできませんから、何かしらそれをカバーする方法を、いろいろ工夫されるのもよいのではないでしょうか。
ICTが進化して、すべての学校が電子黒板になり、先生が「手書きの板書」をしなくてもよい時代が、いつかくるかもしれませんね。
それでも「手書きにぬくもりを感じる」というのは、日本人の大切な心だと思うのです。
きれいな文字は、その人の財産です。「自分の宝物を磨く」ように、丁寧に、読みやすい文字を書くことを心がけていきたいですね。
(2014年9月1日)