★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。
【 第16回 】「学校評価アンケート」に想う(2)
◆忘れたころに届く結果
前回のコラムで、「学校評価アンケート」が保護者にとっては、とても関心の薄い存在だ、ということを書きました。
そして、あまり関心が持てない理由の一つに、「結果が忘れたころにやってくる」ことをあげました。
せっかく実施した「学校評価アンケート」ですが、その結果のまとめのフィードバックが遅いのは、とても残念なことです。
集まってきたアンケートの集計をして、データを分析して、それをどう学校経営に活かすのかを検討して、とやるべきことがたくさんありすぎて、時間がかかってしまうのは仕方のないことだと理解しています。
しかし、そうやって先生方が苦労してまとめ上げた結果が、保護者にはそれほどの関心を持って受け止められていない、という実情は、とてももったいないことだと思います。
今のままでは、「学校評価アンケート」は「やらなければならないから、仕方なくやる」というお荷物の仕事になってしまい、本来の「学校経営に活かす」ということが十分にできないのではないか、と危惧しています。
◆ネットを利用したアンケートの利点
我が小牧中学校では、玉置校長先生が赴任された2年前から、「紙」によるアンケートではなく、「ネットを利用」したアンケートを実施しています。
このシステムは、当「愛される学校づくり研究会」が開発されたシステムなので、ご存じの先生方も多くいらっしゃると思いますが、ケータイやスマホ、PCなどで「アンケート専用サイト」にアクセスし、簡単な操作で回答ができます。また「自由記述欄」もありますから、意見を書くこともできます。今どきの保護者は、ほとんどがネットを利用できる環境にありますから、これは保護者にとっても、とても便利なアンケートです。
一方、学校では、システムのおかげで、データ処理はその場で完了し、グラフ化も同時にできるので、集計作業にかかる手間が省けます。その分、すぐにデータの分析に入れますので、対応もスピーディに行えます。
学校が早く結果を公表してくれれば、保護者も関心を持ったままの状態で結果を受け止めることができます。
◆質問項目の選定
「学校評価アンケート」の質問項目は、どのように決めておられるのでしょうか?
毎年同じ質問のアンケートを実施されている学校がほとんどだと思います。
学校経営を改善していく上で、経年変化を見ることは大切なことですね。ですから、毎年同じ質問にして、その数値の変化を見る必要がありますから、質問項目の見直しなどは、あまりされていないのが現状でしょうか。
アンケートは、学校評価のために行われるものですから、当然、学校の「経営方針」や「教育目標」が達成されているかどうかを見るための質問が主だと思います。
しかし、回答する側の保護者から見ると、判断が難しい質問がけっこう多いのです。それは、多くの保護者が、学校の日常をよく知らないからです。子どもの様子といっても、それは「うちの子」の様子であって、決して学校全体の子どもの様子ではありません。ですから、例えば「本校の児童生徒はあいさつがしっかりできますか」というような質問の場合、日ごろの子どもたちの様子を知らなければ、答えようがありません。
そう考えると、学校の日常を保護者にお知らせしていただくことが、いかに大切なことかがわかりますね。
学校HPを活用して、学校の日常や子どもたちの様子をお知らせしていただくことは、こんなところでも役に立てるのです。多くの学校に「地味でベタな学校広報」を、ぜひお願いしたいと思います。
また、質問項目にも少し目を向けていただけるといいなと思います。
学校HPで、学校の様子をバンバンお知らせしてくださったとしても、もともと関心が薄い保護者がそれを活用するかどうかは未知数です。
学校に対する関心度が「中」から「低」の保護者でも回答がしやすい質問にしていただけると、アンケートの回収率が上がるかもしれませんね。
◆意見の活用
「学校評価アンケート」には、「ご意見がありましたらお書きください」の「自由記述欄」があります。
そこには、さまざまな意見が書かれてくることと思います。
中には、単なる文句や愚痴のように感じる意見もあるでしょう。でも、改善を求める声は大切にしよう、と多くの学校が思っておられるはずです。
残念ながら、多くの保護者には印象の薄い「学校評価アンケート」ですが、意見を出した保護者にとっては、とても気になる存在です。やはり、自分の意見に対して学校がどのような対応をしてくれるのか、ということは関心を持って見ています。
学校が「このようなご意見をいただきました。ありがとうございました」だけで終わらせず、具体的に「どのように活用するのか」を示してくれることを、保護者は期待しています。
保護者から出された意見の一つ一つに答えを出す必要はないと思います。学校には「できること」「できないこと」があります。しかし、たとえ「できないこと」だとしても、どうしてできないのか、ということを丁寧に説明することで、保護者の理解が得られることもあるのではないでしょうか。
そうした「ちょっと面倒な意見」について、そのまま保護者に問いかけてみる、というのも一案です。PTAをうまく活用してくださればいいと思うのです。
我が小牧中PTAでは、「学校評価アンケート」に寄せられた保護者の意見を、役員会で議題にして話し合っています。これは、学校が情報提供してくださるからこそできることですが、同じ保護者の立場から、いろいろな意見が出ます。そして、それらの意見に対し、校長先生が学校の考え方をその場で説明してくださいます。これが、学校とPTAの相互理解につながっています。その結果、PTAで協力できることも見えてきて「PTAの部屋」での発信になっていくのです。
「やっかいなお荷物仕事」と思われがちな「学校評価アンケート」。知恵と工夫で、学校と保護者の双方に「役に立つアンケート」になるように願っています。
(2014年7月7日)