愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第12回 】校長先生の深い孤独

◆PTA役員の役得

PTA役員をやっていると、「得したな〜」と思えることがいくつかあります。
 その中の一つに、「学校の組織がわかる」ということがあります。

担任の先生だけでなく、各学年に所属する先生がいますし、学年をまとめる主任の先生もいます。この学年主任の先生は、いわゆる「中間管理職」で、学年を代表して、校内の重要な会議に出席もします。
 また、学年に所属しない先生もいらっしゃいます。校長先生や教頭先生のような管理職の先生や、主幹教諭、教務主任、校務主任などの先生方がそうですね。
 さらに、教員ではない方々も、学校にはたくさんいらっしゃいます。事務職員の方や用務員の方がそうです。

「先生」と呼ばれている人の中には、「教諭」と「講師」がいることも、ご存じのない保護者が多いと思います。
 子どもや保護者にとってみれば、「先生は先生」なので、あまりその違いを意識することはありませんが、待遇の面で大きな違いがあるそうです。
 このように、学校には多くの人々が働いていて、子どもたちは、クラス担任の先生以外にも、たくさんの人々に支えられている、ということを知ることができたことは、とても「得した」ことだと思っています。

◆校長先生は孤独です

こうして学校のことが、組織的なことも含めてわかってくると、校長先生や教頭先生との会話の中で話す内容も、多岐にわたってきます。
 PTA活動について、困ったことの相談はもちろんですが、今後の活動についてのアドバイスを受けたり、あるいは逆に、こちらから、学校でこんなことをやってみたらどうですか、といった提案をすることもあります。
 そして、PTA活動のこと以外にも話は及び、学校の教育目標についてのお話や、全国学力学習状況調査の結果の解説、果ては文部科学省の動向までお聞きすることもありますし、教育行政の話をすることもあります。

このような様々なお話をする中で、校長先生や教頭先生のような、いわゆる管理職の先生方は、本当にいろいろなことを考えておられるなあ、といつも感心しています。
 一番大切に考えておられるのは、「子どもたちのために、良い学校をつくりたい」ということだと思います。学校で行われる様々な活動は、すべてこの目的のために行われていると言っても、過言ではないかもしれません。

しかし、理想と現実は、必ずしも一致するというわけではありません。
 一見うまくいっているように見える学校であっても、職員室の中では問題が起こっているかもしれませんし、先生の知らないところで、クラスに問題が起こっているかもしれません。
 また、顕在化した問題への対応も、苦慮することが多いはずです。以前のように、保護者や地域の人が学校に全権を預けるようなことは、今ではまれです。むしろ、敵対することの方が多いかもしれません。

そのような難しい状況の学校の中で、最終的な決定権を持つのが校長先生です。そして、最高責任者としての、大きな責任が伴います。
 難局の真っただ中では、ついつい愚痴も出るでしょうし、できることなら誰かに代わってほしいという気持ちも出てくるでしょう。でも、それはできないのです。最終的な判断は、校長先生にすべて委ねられています。
 いつもは子どもたちや先生方に囲まれてワイワイやっていても、こうした重い最終判断を下さなければならないとき、校長先生はとても孤独です。
 しかし、私は、勇気をもって決断をされる校長先生を応援したい、と思っています。そして、私だけでなく、「応援したい」と思ってくれる多くの教職員の皆さんや保護者の皆さんが、校長先生を、学校を、支えてくださるといいな、と願っています。

◆若者よ、管理職を目指せ!

言うまでもなく、管理職の先生方は本当に多忙で大変です。
 最近は、若い先生方が、「管理職になりたい」という希望をあまり持たなくなった、という話も聞きます。
 「管理職は大変だ」という現状だけしか伝わっていないのが、その原因なのかもしれませんね。

たしかに大変な仕事ではあるのですが、管理職には「学校をつくる」という仕事があることにも、目を向けてほしいなと思います。
 「こんな子どもたちに育てたいんだ」「こんな職員を育てたいんだ」「こんな学校をつくりたいんだ」という思いを実現することが、管理職の大切な仕事です。
 若い先生方が、いろいろな経験を積む中で、またいろいろな学校で勤務される中で、「自分の考えている学校とは違うな」という矛盾を感じたり、「自分だったらこうするのに」というような意見を持つことが出てくると思います。
 それらを実現するためにはどうすればいいか。それは「偉くなること」、つまり管理職になることです。厳しい現実が待っているかもしれませんが、ぜひその志を持ってほしいと思います。

教師とは、「未来の大人たち」を育てる、すばらしい職業です。
 若い先生方にも、子どもたちと一緒に「未来」を作っていってほしい、と心から願っています。

(2014年3月10日)

準備中

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしている。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。