愛される学校づくり研究会

お母さんは学校の応援団長

★このコラムは、小牧市立小牧中学校のホームページ「小牧中PTAの部屋」を運営されている斎藤早苗さんによる保護者コラムです。「愛される学校づくり研究会」から強くお願いして、保護者の目から見た学校や教育について執筆していただくことになりました。ご自身は「私は学校の応援団長」と称しておられますが、さてどのような切り口で学校教育に迫っていただけるのでしょうか。とても楽しみなコラムです。

【 第10回 】子どもに伝えたい日本の文化

◆「お正月」に想う

年末年始は、毎年、各地でさまざまな行事が行われています。
 各ご家庭でも、それほど特別な行事は行わなくても、年末には大掃除をして一年の汚れを落とし、きれいになった家で、新年を迎える準備をされることと思います。
 お正月にはおせち料理やお雑煮を食べ、初詣に行って、新しい一年が健康で幸せに過ごせるようにお参りをしますね。

毎年毎年、同じことを繰り返して歳を重ねていくわけですが、最近は面倒な事を嫌って、簡素にお正月を過ごすご家庭も多いと聞きます。
 その気持ちはとてもよくわかります。
 年末だからと言って、特別に掃除をするのは大変なことですし、おせち料理にしても、一から作るのは本当に手間がかかります。おまけに、子どもはおせち料理にはすぐ飽きてしまいますし、手間暇かけて作っても、ほとんど食べてもらえないことも多いので、まったく張り合いがありません。
 今では、いろいろなお店で、色とりどりのおいしそうなおせち料理が売られているので、それを利用するご家庭も少なくないようです。
 大掃除にしても、専門の業者にお願いすれば、家中ピカピカにしてもらえます。
 こうして「便利な世の中」になればなるほど、日本で古来より行われてきた「お正月の行事」はだんだん廃れていくのかもしれませんね。

◆英語が話せれば、それでいいの?

昨年は、「2020年東京オリンピック・パラリンピック開催決定」という、うれしいニュースがありました。
 その招致スピーチで使われた「おもてなし」という言葉は流行語として、広く日本中で使われていますね。

6年後の開催に向けて、さらに「国際化」が進んでいくのでしょう。文部科学省が、「グローバル化に対応した英語教育」を進めるために、小学校3・4年生でも英語の授業を行うように実施計画を発表したことは、記憶に新しいところです。
 世界中の人々と交流するために、「英語教育」を進めることは悪いことではないと思います。
 英語が話せればコミュニケーションが取りやすいでしょうし、自分から積極的に交流する機会が増えるかもしれませんね。
 しかし、「英語が話せること」と「英語で話せること」は違うと思うのです。英語で「何を話すのか」ということが大切ではないかと感じています。

実際に外国の人々と交流してみると、まずは言葉でのコミュニケーションが大切だと感じますが、それ以外にも、「自国の文化や歴史を語れるかどうか」ということも、とても重要なことだとわかります。

外国の人々は、他の国の歴史や文化をとても尊重してくれます。とくに歴史が浅い国の人々は、日本のような長い歴史を持つ国に敬意を払ってくれます。ですから、私たちは日本人として、日本の国の歴史や文化に、もっと誇りを持っていいと思うのです。そして、それらを他国の人々に語れるように知っておくこと、学んでおくことが大切だと思うのです。

◆文化の伝承の必要性

核家族化が進み、多世代での同居が減っています。そのため、昔からのしきたりや季節の行事などを、身近に体験する機会も減りました。
 私たち保護者世代は、簡単で便利な生活に慣れているので、わざわざ手間をかけることはしなくなっていますから、当然子どもたちも、それが当たり前という感覚で育っていきます。
 若い先生方にも、同じように「昔からの伝統を知らない」「経験がない」という人が多くなってきているのではないでしょうか。

だからと言って、「文化を守るために、昔のやり方に戻せばいい」ということではありません。時代の流れですから、それは仕方のないことだと思います。
 ただ、それらがすっかり忘れ去られてしまわないように、学校でも、地域に伝わる行事や伝統のこと、季節ごとに行われる様々な行事の意味などを、子どもたちに伝えていっていただけるといいなと思います。
 小学校では社会の授業の中でそういった取り組みもされていることと思います。
 しかし、中学校ではほとんどそのような話は聞きません。
 わざわざ授業に組み込む必要はありませんが、学級活動の時間などで、先生が子どもたちにお話しをして下さる機会の中で、簡単にそういった話題に触れていただくだけでも、子どもたちの記憶に残っていくのではないでしょうか。

これからの「国際化社会」を生きる子どもたち、とくに中学生の子どもたちには、英語で日本の文化について話せるようになってもらいたいと願っています。
 年明けの今、例えば、「おせち料理に入っている『えび』にはどのような意味が込められているのか?」、そして「それを外国人に英語で説明するとしたら、どのように説明したらいいだろうか?」というような視点を持ってもらえるといいですね。

(2014年1月13日)

準備中

●斎藤 早苗
(さいとう・さなえ)

愛知県在住の3人の子供たちの母。 頼まれると断り切れない性分で、幼稚園から中学校まで、何度もPTA活動に参加。
2012年春の玉置崇校長先生の小牧中学校赴任を機に、学校HP内の「PTAの部屋」の自主運営を始め、PTAの各委員会活動をHP上で保護者にお知らせしている。
また、学校HPで発信される情報に対しての「保護者の想い」を発信しながら、学校と先生を応援している。
他校にも「PTAの部屋」が広がって、「愛される学校」が増えるといいなと願っているお母さん。