愛される学校づくり研究会

★新教育コラム「出会いこそが教師をつくる」開始にあたって

 だれしも、教師人生に変化をもたらした、心に残る出会い(人、物、出来事など)があるといいます。このコラムでは、その出会いについてリレー方式で語っていただきます。

【第15回】視察での出会い・研究会での出会い
〜春日井市立石尾台中学校長 堤 泰喜〜

視察での出会い

私は、昨年、岡山県倉敷市のある小学校を視察しました。
 その時の、熱い校長先生のお話をヒントに、「職員心得」をつくりました。
 そして、本校職員にその「職員心得」を熱く語りました。
 あの熱い校長先生との出会いがなかったら、「職員心得」は、できませんでした。
 その「職員心得」をご紹介します。


「職員心得」

1 明るい笑顔で、元気なあいさつ 子どもの前ではいつも「笑顔」で。そして、子どもに会ったら、まず教師の側から「おはようございます!」と大きな挨拶をするのです。
2 身だしなみを整えよう 子どもに中学生らしい身だしなみを指導するのであれば、「先ず隗より始めよ」です。教師が常に身だしなみに気をつけなければなりません。
3 時間を守ろう 当たり前のことですが、チャイムと同時に授業を始める。時間にルーズな教師は、絶対に生徒から信用されません。
4 ほめ上手になろう ほめる材料を見つけようという姿勢で子どもを見ていると、子どもの長所が見えてきます。特に「頑張ったこと」をほめれば、「先生は私のことを見ていてくれる…」と信頼につながります。
5 チェレンジ精神を忘れずに 「いつもこうだからもういいか」はダメです。「不易と流行」という言葉がありますが、変えるべきは変える!チャレンジ精神は極めて大切です。
6 フットワーク軽く、誠実に 誠意は「対処するスピード」で測れます。また、対応が遅いと、新たな問題が生まれます。保護者対応のポイントは「初期対応」です。
7 ホウレンソウをこまめにしよう いうまでもなく「報告」「連絡」「相談」です。どんなことでも、校長に報告すれば、その時点で「校長の責任」になるのです。私は、話を聞いて、責任をとるために管理職手当をもらっています。
8 同僚への心配りを忘れない ある先生が失敗した時、「私も若い頃よく同じ失敗したわ」と慰めれば、失敗した先生は立ち直れます。仲間の優しさが職場には本当に必要です。
9 整理整頓を心がけよう 職員室の机の上がきれいな人は「仕事ができる人」と断言しています。また、教室環境においても、「環境が人を育てる その環境は人がつくる」を、子どもに言い聞かせるようにしています。
10 得意なものをつくろう コンピュータでもよし、ICT機器でもよし、協同学習でもよし、何でもいいから、教師として得意なものをつくる。それが自信につながるのです。
 

 

研究会での出会い

ある研究会で、ある先生が、「教師十戒」を教えてくださいました。
 この先生との出会いにより、素晴らしい「戒め」を習得することができました。
 さっそく、本校職員に紹介しました。
 その「教師十戒」をご紹介します。


「教師十戒」  毛涯章平著 『肩車にのって』より

 子どもをこばかにするな。教師は無意識のうちに子どもを目下の者と見てしまう。子どもは、一個の人格として対等である。
 規則や権威で、子どもを四方から塞いでしまうな。必ず一方を開けてやれ。
 さもないと、子どもの心が窒息し、枯渇する。
 近くに来て、自分を取り巻く子たちの、その輪の外にいる子に目を向けてやれ。
 ほめることばも、叱ることばも真の「愛語」であれ。愛語は、必ず子どもの心にしみる。
  ※「愛語」…相手の身を思いやって語ることば
 暇をつくって、子どもと遊んでやれ。そこに、本当の子どもが見えてくる。
 成果を急ぐな。裏切られても、なお信じて待て。教育は根くらべである。
 教師の力以上には、子どもは伸びない。精進を怠るな。
 教師は「清明」の心を失うな。ときには、ほっとする笑いと、安堵の気持ちをおこさせる心やりを忘れるな。不機嫌、無愛想は、子どもの心を暗くする。
  ※「清明」…自然で明るく、ゆったりすること
 子どもに、素直にあやまれる教師であれ。過ちはこちらにもある。
10 外傷は赤チンで治る。教師が与えた心の傷は、どうやって治すつもりか。
 

すすんで視察に出かけたり、すすんで研究会に出ると、素晴らしい「出会い」があります。
 そうした出会いが、教師を育てると思います。

(2013年11月25日)

出会いこそが教師をつくる

●堤 泰喜
(つつみ・たいき)

1984年教員生活スタート。教諭19年(中学校11年・小学校8年)、春日井市教委指導主事3年、教頭2年を経て、現在、中学校長4年目。学生時代は、男声合唱団に所属していたが、現在は全く音楽とは無縁の生活。熱狂的な「巨人ファン」で、プロ野球のテレビ観戦でストレスを解消している。