愛される学校づくり研究会

★新教育コラム「学校マネジメント考」開始にあたって

 管理職には、特に「学校マネジメント力」が必要であると言われるようになりました。ところが、愛される学校づくり研究会の中で「学校をマネジメントするとは具体的にどういうことか」ということを話題としましたが、お互いになかなか明確に示すことができませんでした。
 そこで、それぞれが考える「学校マネジメントの具体例」をリレーで示しながら、考えを深めていくことにしました。皆さんからもご意見をいただきたいと思い、いわば研究会の内部資料ですが、その公開もかねて、この教育コラムを始めました。

学校マネジメント考【15】 
 ― 小牧市立北里中学校長 舟橋孝司

本校に新米校長として赴任し、1年が過ぎようとしています。教職員や生徒たち、保護者や地域の方に支えられて、何とかここまでこれたというのが正直なところです。直面する課題に対して、校長として意図はしたものの計画的にマネジメントできたわけではありません。そんな状況ですので、このリレーコラムの目的にそったことは書けないと思いますが、皆さんのコラムから学ばせていただいたことを交えながら、私なりに学校マネジメントについて考えたことを書いてみます。

岡本薫氏の示されたマネジメントの流れ(1)現状を把握する (2)原因を特定する (3)目標を設定する(4)手段を企画する (5)集団意思を決定する (6)手段を実施する (7)比較(評価)⇒「結果」(結果が次の「現状」になる)

玉置先生が最初に書いておられる、管理職が(1)から(7)の流れを意図的に作り出したときにマネジメントしたと考えればいいか。(1)から(7)段階で、どこかで関わることがマネジメントしたことになるのか。これについては、部会や委員会、係からの提案内容や活動状況等をチェックして、マネジメントの流れが適切につながり本質にそったものであれば、管理職がマネジメントに直接関わることはあまりないはずです。しかし、どこかでうまくいかない状況が予想されたり、修正を加える必要を感じたときには、どの段階においても直接間接を問わず関わっていかなければなりません。そのときには、修正のための(1)から(7)のマネジメントの流れを意図に作り出す必要があると思います。いずれにしても、「めざすべき学校の姿や教師の姿、生徒の姿など」が教職員に共有され、マネジメントの流れを教職員が理解していることが前提になると思います。

本校の例を2つあげます。一つ目は、2年前に永田教頭がこのコラムに書いたように、協同的な学びを取り入れ、授業づくりを学校づくりの中心においた取り組みを行っていることです。この研究を始めて5年になりますが、5年間毎年(1)から(7)の流れで修正を加え現在に至っています。今年度も5回の公開研究会を行い、スーパーバイザーからのご指導や参観された多くの方からのフィードバックをいただきました。つい先日の研究推進委員会では、(7)(1)(2)(3)(4)を行い、次年度の提案骨子を作りました。協議の中で当然私も発言しましたが、私の発言がマネジメントの流れを大きく左右するものではなかったように思います。スムーズに進んだことが、私の力量不足からであるとすれば、後に修正を加える状況になったり期待する結果が出なかったりすることもあるかもしれません。研究推進委員会については、最低学期に1度は開いており、必要に応じて改善を図っています。

二つ目は生徒指導についてです。生徒指導上の問題に関しては、事が起き始めると個別の対処療法と集団への予防的な指導が必要となりますが、どちらも(1)から(7)を連続して小刻みに繰り返すことになります。管理職のリーダーシップが求められ、職員のチームワークが試される場ともなります。この場合は、(4)(5)(6)について具体的に細部にわたってまで確認しなければなりません。そんなときでも、一番大切にしなければならないのは生徒を愛し信じ続ける事だと思います。みなさんのコラムの中に、教育哲学という言葉が出てきましたが、やはり判断の最後のよりどころとなるのは生徒をこうしたいという強い思いだと改めて思いました。

来年度は、学校としての総合力を上げたいと思っています。教職員・生徒・保護者・地域(学校関係者)を元気づけ、内なる力を発揮させ、それぞれを今以上に力のある存在にできる学校にしたいのです。そのためには、(1)職員の力量・チーム力(2)学力の保障(3)生徒指導(4)家庭・地域との連携(5)学校の環境(6)学校風土 などをマネジメントの流れで改善できるように部会、委員会、係に対して状況に応じて繰り返し働きかけていきたいと思います。

(2014年3月17日)

学校マネジメント考

●舟橋孝司
(ふなはし・たかし)

1982年教員生活スタート。小牧市内で教諭25年(小学校11年・中学校14年)・教頭3年、尾張教育事務所指導主事3年を経て、現在、小牧市立北里中学校長(1年目)。地域社会とつながる生徒指導をめざし、日夜、見聞を広げている。