愛される学校づくり研究会

分かりやすい学校サイト・デザイン講座


★このコラムは、「愛される学校づくり研究会」にて発表された、「わかりやすい学校サイト・ポイント講座」を元に、具体例を追加しながら、デザインにつてい解説していくシリーズです。

【第5回】記事を活かす学校ブログのタイトル術

昔、作文の授業で気のきいたタイトルが考えられなくて、それだけで中味もつまらなく思えてきて、文才無いなーって落ち込んでいました。
 考えてみたら、本や写真や絵画のタイトルだけでなく、演劇、落語などの演目、商品の名前、会社の名前、自己紹介のキャッチコピーまでタイトルの付け方で、価値ががらっと変わってくるものはたくさんあります。

記事の中味が分かりづらいタイトルでは読んでもらえないが、妙に説明的でもつまらない。
そこで今回は、訪問者の興味を引いて思わず読みたくなるタイトルについて考えてみます。かといって、文芸作品にタイトルを付ける訳ではないので、運用ルールという面からも考えてみましょう。

ついつい読みたくなるブログタイトル

学校サイトでは、学校概要や校長先生の挨拶、年間予定表や教育目標といったあまり変化しない情報の他に、日々の活動を積極的に広報していくためにブログシステムを使っているという学校が増えました。

もし自分の学校のブログ(活動日記)にタイトル一覧があったら、半年分くらいのタイトルをざっと眺めてみてください。
 タイトルを見て、これは読みたいというタイトルが並んでいるでしょうか?
また、記事内容がすぐに分かるタイトルが付けられているでしょうか?
日々の記事投稿では気付かないけれど、振り返ってみると、気付く事があります。

 「今」を伝えるのがブログですが、保護者は一ヶ月後にまとめて閲覧してるかもしれません。その時に、タイトルで記事内容が分かりやすいことは重要です。以前読んだ記事をもう一度探す時にも、タイトルに工夫がないと探すのが大変です。

タイトルの付け方として分類してみると、

  • ストレート型:ちょっとつまらないけど悪いわけではありません
     運動会(1)、(2)、(3)
     第2回授業参観(5年生)
     1年生がんばってます
     応援団練習
     
  • サブタイトルでイメージを補完する型:写真のキャプションも兼ねると効果的
     運動会 〜最後のストレート逆転劇、リレーの見どころ、歓声と涙〜
     総合学習 〜初めてのバリアフリー体験で発見できたこととは〜
     1年生の夏休み 〜あさがお育ったかな?〜
     
  • 勉強型(うんちく型)
     四文字熟語やことわざをタイトルにしておくと、保護者も勉強になります。
     校長先生のブログに多いですね。ただし、古いことわざを使う時には、
     機種依存文字がないようにしましょう。
     ちなみに、スクールWEBアシスト(EDUCOM)では機種依存文字チェック機能がついています。

  • キャッチコピー型(中吊り広告型):あえて結果を書かないとついつい読みたくなります。
     運動会、今年の優勝は? 
     風力発電の落とし穴(5年社会見学)
     
  • 問題文型:答えが気になってしまう
     ◯◯くんが、池で発見した意外な生物はなんでしょう?(4年理科)
     カレーは人気メニュー第○位?(今日の献立)

学校としてのルールとは

ただし、興味を引くためといってインパクトばかり追求しては、独りよがりになりますので、適度に中味が伝わるような言葉を選びましょう。
 ブログのタイトルは目次としての役割もありますので、探している記事やどのクラスの話題か分かる工夫(検索性の向上)があると活用しやすいです。
 ブログシステムのカテゴリ分けに頼る以外にも、タイトル中に【重要】【連絡】【〆切】などの属性や、学年、クラス、日付、通し番号、「食育」「体力作り」などの分類を付け足しておくのも手です。

キーワードを設定することができるブログシステムでは、積極的にキーワードを追加しましょう。アイコンなどをつかって記事種類を分かりやすくしたり、目立たせておくのも有効です。

学校全体の運用として考えておきたいこともあります。

  1. 特に複数の先生が記事作成するときは、タイトルだけでも最低限の統一ルールを決めておくと、読者が混乱しないで記事を探すことができます。
  2. 分かりやすさという点で、地域や学校独自の言葉には補足をいれましょう。 見ているのは、直接の保護者だけではありませんから。
    「ぶんぶん教室」たのしかったよ。
       ―>「ぶんぶん教室」(読み聞かせ体験)たのしかったよ。
    といった説明は欲しいところです。

ところで、今回のコラムのタイトルがかなりつまらないものに思えてきました。もうちょっとインパクトのあるものにしておけば良かったですね。

 次回は、文字の形にこだわって「フォントの話(形と感情表現)」を予定しています。


【前回の写真のテーマについて補足】

前回の写真の話でこんなコメントをいただきました。
 『運動会などは特別なイベントなので、写真をたくさん撮った中からでもテーマを探しやすいが、日々の授業のなかでは、写真を見てもあまり変化が無いので、なかなかテーマが見えてこないのですが‥‥』と。

 テーマ探しの為に写真を沢山とって、同じような写真に埋もれてしまって、テーマが見つからない‥‥ なるほど、そんなときは基本にもどってみます。

 「何を伝えるのが学校広報なのか?」 です。

 どの学校にも、教育目標が掲げられています。そこには、抽象的かもしれませんが、知育、体育、徳育といった3本柱があります。
 知力や体力を育てる活動とは、どの場面? 児童生徒がどんな表情や活動をしたら育ったといえるのか?徳育はどんな日常にあるのか。そういう視点で写真を撮ると、教育目標を具体的に伝える事になるでしょう。

・ある先生は、だまって目をつぶって考えている子どもの横顔に真剣さを感じ取り、
・ある先生は、整然と並んでいる靴箱の靴を真正面から記録し、
・ある先生は、廊下のポスターがきれいに貼られている写真を取り上げたりします。

 元気な児童生徒の笑顔ももちろん必要ですが、周りの何気ない風景にも、教育活動があわられているものです。

(2011年9月12日)

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●堀田敦士
(ほった あつし)
教育+ネットワーク+ゲームを3本柱に開発するデザイン会社勤務。若くて元気な頃は、シミュレーションゲーム「TheTower」「シーマン」などのアートディレクターとして徹夜の連続。現在はWEBサイトデザインやCMS開発で主に学校を対象にした広報支援のためのお手伝い。お手伝いがエスカレートして、息子の高校PTAのICT委員会顧問に抜擢され、ICT教育の準備で徹夜の連続。