【第5回】「過去の成績」機能を活用した進路指導
あけましておめでとうございます。今年もどうぞよろしくおねがいします。
体育大会が終わってほっとしていたら、このような挨拶をする季節に変わってしまっていました。宇宙戦艦ヤマトのワープ航法(古〜い!)ではありませんが、時間をあっという間に飛び越してしまったかのようです。この間、当然ですが学校では、文化祭や定期テスト、そして12月22日は2学期の終業式ということで、生徒の手には通知ファイルが渡りました。
前回の日記で話題にしました合唱曲試聴システムが導入されたコーラス大会。わが3年1組は13曲聴いた中から選んだ曲で臨みましたが、残念ながら賞をとることができませんでした。見事最優秀賞に輝いたのは、試聴システム制作者で特活主任の梶田先生率いるクラスでした。行事は結果ではなく、取り組み方で、次にどうつなぐかが大事と言われますが、それでも「う〜、くやしい!」
生徒はコーラス大会後に「このクラスで歌えたことがうれしい」、「中学校3年間で一番一生懸命練習に取り組んで満足」などと感想を言ってくれました。が、その言葉を聞けば聞くほど、もう一歩、もう一段階ステップアップさせる言葉を投げかけられなかった自分が情けなく思いました。梶田マジックをもっともっと勉強しなければと反省したコーラス大会でした。
文化祭が終わると3年生は、進路一色になります。それまではまだ漠然としていた進路希望を、一人ひとり具体化していくのです。私は本校に赴任して2年目。昨年度は3年生所属でした。この学年のほとんどの生徒とは、この4月からのつき合いです。昨年度、授業での関わりもなく、寂しいかな私の受け持つ家庭科部にもこの学年の生徒の所属は0。知っている生徒は、行事や委員会などで関わりを持つことができたわずかな生徒だけです。ですから、彼らの名前を覚えること、これが私の新年度当初の仕事でした。
あれから半年、授業や行事を通して、給食や清掃など毎日の生活の中で、お互いを理解し合ってこられたかと思います。しかし進路となると、不十分です。過去2年間の成績や生徒の実績は当然ながら、私がまだ気づいていない生徒の性格や考え方、中学校生活の中での変化等々、知りたいことがたくさんあります。生徒にとっても、彼らの家族にとっても大切な、大切な進路です。少しでも的確なアドバイスをしたい、そう思うと過去2年間のブランクはとても大きな障害であり、不安です。
が、そんな不安を取り除く新兵器が、本校には存在するのです。それは「過去の成績」です。これは、EDUCOMマネージャーに組み込まれた機能で、必要な手続きをすると中学校1年生からの学習成績や総合所見、部活動や委員会活動、出欠席や総合的な学習の所見にいたるまでの情報を入手できるという、これまたありがた〜いものなのです。この機能を考案したのは、本校教務主任の神戸先生です。
EDUCOMマネージャーに蓄積された過去のデータを活用する
神戸先生にはわが3年1組の数学でお世話になっていますが、実は私は前任校でも大変お世話になりました。6年前、当時特別支援クラスの担任をしていた私は、文化祭の彼らの出し物に英語劇を考えていたのです。劇といっても「とべないホタル」の絵本の絵を大きなスクリーンに映し出し、アニメーション設定された日本語字幕に合わせて、生徒が英語を話すのです。頭の中にイメージとしてはあったのですが、それができるかどうか分かりませんでした。この構想を神戸先生に話したところ、「うん、できるよ」の一言。当時はまだそれほど普及していなかったプレゼンテーション機能を使って、コンピュータによる絵本を作成してくださいました。
まだまだあります。それは昨年のやはり文化祭です。3年生の総合的な学習の発表でのことです。「野菜嫌いな幼児のために、おいしい野菜カレーを作ろう」というテーマで取り組んだ生徒が、実際に幼児とのカレーパーティーをしている場のビデオ映像を、プレゼンテーションに組み込みたいと考えたのです。そこでまた、神戸先生に相談しました。この構想も見事に現実のものとなり、発表は大成功でした。
「神戸先生の頭の中は、どうなっているのかなあ? 一度頭をかち割って、のぞいてみたい」―そんな妄想を抱かせるくらいすごいのです。神戸先生も私の尊敬する先生の一人ですが、その理由はコンピュータ操作だけではなく、人としてもすばらしく、「一番に生徒のことを考える」というのが信条。当然のことですが、なかなかできません。仕事がきつかったり、生徒指導の難しい問題にぶつかると、つい愚痴をこぼしてしまいます。そんなときに、いつも浮かぶのがこの言葉です。教師として最も大切なことに気づかせていただきました。
まもなく3学期。就職選考、私立高校・専門学校の入試を迎え、同時に公立高校の志望校を決定していきます。この「過去の成績」機能を、大いに活用する日々が続きます。
みなさんにとって、今年もよい年でありますように。
(2003年12月29日)