愛される学校づくり研究会

★授業における「ICT活用」とは縁のなかった小学校が、1年後にはすべてのクラスに実物投影機が入り、毎日使うようになりました。1年間に起こった事実をお伝えします。1年間で学校も、子どもも、保護者も、職員も、そして地域も変わるのです。

【第9回】フラッシュ型教材は子どもを鍛えるための優れた教材

「フラッシュ型教材」のこと、ご存じでしょうか。フラッシュ型教材とは一言で言うと、パソコンを使ってカードをテンポ良く提示することです。
 昨年(2009年)10月、私たちは「フラッシュ型教材」に偶然出会いました。そして、3カ月後の今、ほぼ毎日、多くのクラスでフラッシュ型教材を使うようになりました。
 実物投影器は教科書などを拡大して映すだけですから、準備も使い方もシンプルです。授業の方法を変える必要もありません。
 しかし、フラッシュ型教材はパソコンが必要です。パワーポイントなどのソフトも必要です。授業スタイルも少し変える必要があります。使うソフトの準備にも多少の時間はかかります。
 このように、やや敷居の高いフラッシュ型教材。なのに、太郎生小学校の職員は全員、フラッシュ型教材が大好きです。職員室で話題にすることも多いです。
 数日前の校内研修の時には「文章問題をフラッシュ型にして子どもを鍛えることができないものか」という意見がでたほどです。

 なぜ、太郎生小学校の職員はフラッシュ型教材にとびついたのでしょうか。

 フラッシュ型教材は、子どもを鍛えるための非常に優れた教材であり、指導方法であるからです。

17-9_1.jpg 17-9_2.jpg

低学年では「足し算カード」や「九九カード」を使うことがあります。漢字をカードにして子どもたちに提示し、学習に使うこともあります。計算や漢字を反復指導し、習熟させるためです。
 しかし、カードは市販品であればコストがかかりますし、手作りなら手間がかかります。また、修正や追加はかなり面倒です。
 ところが、パソコンを使ったフラッシュ型教材であれば、そういった面倒はありません。子どもたちの基礎学力をしっかりと定着させたいという職員の問題意識にストレートに合致する指導方法だと言えます。さらに付け加えると、「効率的な指導方法」なのです。
 「漢字を覚える」「計算ができる」「都道府県を覚える」といったような基礎基本の学力を定着させるためには非常に有効であることを、実践を通して実感しています。また、子どもたちはゲーム感覚で、フラッシュ型教材に取り組みます。数日前に太郎生小学校では全校児童による百人一首大会をしました。百人一首を覚える際にも、フラッシュ型教材が大いに役に立ちました。
 テンポとリズム、さらに易から難へのくり返しは子どもたちは大好きです。子どもたちの反応がいいので、職員もフラッシュ型教材を使う頻度が増えていきます。
 小学校での多岐にわたる学習内容を総花的に指導するのではなく、ピンポイントで力を付けるということではフラッシュ型教材はとても使いやすいのです。

 実話を一つ。昨年末、名張市内(三重県)のある学校の先生たちが太郎生小学校に来てくださいました。その時にフラッシュ型教材を使った授業を見ていただきました。すると、1カ月も経たないうちにその学校ではフラッシュ型教材を授業に使い、「手応えがあります」と教頭先生は喜んでいらっしゃいました。フラッシュ型教材の活用場面を見ると確実に使って見たくなる教材であり、指導方法なのです。

 フラッシュ型教材は無料で手に入ります(⇒フラッシュ型教材ダウンロードサイトe-teachers)。次回はフラッシュ型教材を使った授業について報告します。

(2010年2月1日)

中林校長

●中林則孝
(なかばやし・のりたか)

1951年生まれ。津市立太郎生(たろう)小学校校長。一輪車が小学校に普及し始めた頃、練習を継続すれば大半の児童が一輪車に乗れるようになることを知り、「練習量が、ある時、質に転化する」ことを実感する。その後、「デジタルとアナログの両面で子どもを鍛える」実践を進める。校長となった今も、担任時代のスタイルを踏襲し、補欠の授業に入れば子どもに作文を書かせ、それをほぼ毎日発行の「学校便り」に載せている。講演を聞きながらタイピングできるという特技を持つ。
>>>太郎生小学校ホームページはこちら