★このコラムは、日本初(?)の教育コンサルタントとして10年前からご活躍中の大西貞憲さんから、授業を見るための眼力が高まるノウハウをインタビュー形式で学ぶものです。
【第16回】続:グループ活動の見極め方
大西貞憲(授業を見るプロ) 玉置崇(インタビュー)
グループ活動をしているときに、教師が特定のグループや個人に対して個別にかかわりすぎると、子どもと教師との関係が強くなりすぎて、子ども同士の学び合いを阻害してしまいます。また、どうしても学級全体が見えなくなってしまうので、活動がうまくいっていないグループを見落としてしまったりします。そこで、まずは学級全体が見渡せる場所で、子どもたちの活動がうまく進んでいるか、互いにかかわれているかを観察し、その上で必要な支援をおこなうようにします。このとき、子どもたちの様子がどういうことを示しているのかを注意して対応することが大切です。
次の3つの例は、一見するとグループの活動が止まっているように見える場合ですが、その状況はずいぶん異なっています。
互いに話し合ってはいないが、子どもの体が前に傾いて資料をじっくり見ているようなときは、子どもたちは深く考えています。あせらず子どもたちが動き出すのを待てばよいでしょう。
周りと少ししゃべっては資料をぱらぱらと見たりしているときは、課題を理解できていないために、何をしてよいかわからない状態であることが多いようです。一旦グループ活動を中止して、もう一度課題の確認をする必要があります。
友だちとかかわらず黙々と自分の作業をしたり、手遊びしたりする子が増えているときは結論が出てしまったりしてもう話し合う必要がなくなっているときです。グループ活動を終わるべきでしょう。
この他にも、子どもたちのテンションが高いときは、一見積極的に話し合っているように見えても、自分の意見を言うことに一生懸命で友だちの話を聞けていなかったり、意見に根拠がない無責任な発言をしたりしている場合が考えられます。「友だちの意見で参考になったところを話して」と聞く必然を持たせたり、「理由もちゃんと言ってね」と根拠に基づいて発言するように働きかけたりします。
もちろん、グループ全体の様子だけでなく、一人ひとりの様子も観察します。グループの中で、特定の子どもが話し合いに参加できていないようであれば、「気づいたことがあったら話してごらん」、「わからなければ聞いてごらん」などと子ども同士をつなぐような働きかけをおこないます。
グループ活動はすべてのグループで子ども同士がかかわり合い、学び合うことが大切です。教師の支援は、子どもたちのグループ活動がうまく進むための最低限にとどめ、グループ全体を見守るようにしたいものです。
グループ活動を始めると、すぐにそれぞれのグループを回り始める教師がいますね。特に研究授業等で多くの先生方が見ていると、「いつもよりよけいに回っています」という海老一染之助・染太郎のような人(笑)もありますからね。落ち着いていられないのは分かりますが、無目的に動いて、子どもたちの邪魔する人も少なくありません。
示していただいた3つの例は、とても分かり易く、グループ活動中の様子を見極めるとても良い視点だと思います。次回はいよいよグループ活動の見極め方の佳境に入ります。グループ活動後の教師のあり方について教えていただきたいと思います。
(2010年2月22日)