★新任の先生のためのコラムです。3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。
こんなことを聞いてもいいのかしら。聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。面と向かっては、どうも恥ずかしい。・・・こうした新任の先生方の気持ちを察したテーマが並びます。
【第12回】私が学習指導案を立てるときに心がけること −研究授業編(その1)
大羽沢子先生からの助言
○単元計画を丁寧に:学習指導要領解説・教科書をよく読み、単元の目標を明確にする。そして、本時に至るまでのステップを組み立てる。○ゴール設定:本時の目標と授業の終末の子どもの姿を想像すること。
○支援の方法:子どものつまずきに応じた具体的な支援を書く。
○かっこつけない:普段の授業とあまりかけ離れたことをしない。子どもが驚くから。
○工夫点を明確に:こうしたらこんな風に子どもたちが考えるだろうとか、こんな反応が返ってくるだろうと予測する。その「こうしたら」というところが工夫点。
と、偉そうに書きましたが、実は締め切り直前までうんうんと唸って考えています。
●大羽 沢子(おおば・さわこ)先生/昭和60年、教員生活スタート。小学校教諭24年、通常学級を担任していた時に発達障害が疑われる子どもと出会ったのをきっかけに、教育相談の道に。平成15年度より兵庫教育大学大学院学校教育研究科教育臨床心理コースで2年間学ぶ。現場に戻ってからは通常学級を2年担任し、本年度より特別支援学級の担任・特別支援教育コーディネーターを務める。臨床心理士・特別支援教育士。
野木森広先生からの助言
「どのような学習が成立するか」を問う。「学習が成立する」とは、
子どものもつ既存の「知識・理解・経験」が、外からの刺激(外部情報)によって、新たな「知識・理解・経験」に組み替えられること。
学習を成立させるために
- 子どもはどのような知識・理解・経験をもっているか(子ども理解)
- 指導内容(教材)は、どのような価値をもっているか(教材の解釈)
- 子どもにどのような新たな知識・理解・経験をもたせるか(目標の設定)
- 教師はどのように子どもの学習を触発するのか(指導の組立)
●野木森 広(のぎもり・ひろし)先生/昭和55年、教員生活スタート。小学校教諭23年、教頭4年、平成19年度より愛知県教育委員会義務教育課指導主事。専門は理科。大学時代は男声合唱団に所属。今は合唱はしていないが、人知れず大声で歌うことでストレスを発散している。現在、全国学力・学習状況調査の担当として分析プログラムの開発に向けて奔走中。
酒井直樹先生からの助言
研究授業は自分も子どもも大きく伸びるチャンスと捉え、今自分ができる最高の授業をめざすようにしている。○教材研究を徹底的に行う。
具体的には、
- 教科書を隅々まで読み、学習内容を確認する。
- 研究授業をするところだけでなく、単元全体を読む。
- 関連を学年を越えて調べる。
- 他社の教科書も参考にする。
- 先行実践の文献などを調べる。
○本時の学習を考える。
- 本時の目標を立て、それを評価する問題を決める。
- 授業の山場を決める。中心発問を明確にし、予想される子どもの発言を考える。(ここが最も重要で時間がかかる)
●酒井 直樹(さかい・なおき)先生/昭和55年、大学を卒業後、中学校に21年、小学校に7年勤務。専門は数学。座右の銘は「情熱なきところに教育なし」だが、情熱が空回りすること多し。しかし、へこたれずにがんばることが私のモットー。現在、月刊誌「楽しい算数の授業(明治図書)の授業力UP!今月の授業と発問」の執筆と編集を担当。自主研修会を定期的に開催して若手教員の育成に全力を尽くしている。
(20089月29日)