★新任の先生のためのコラムです。3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。
こんなことを聞いてもいいのかしら。聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。面と向かっては、どうも恥ずかしい。・・・こうした新任の先生方の気持ちを察したテーマが並びます。
【第11回】新任のうちに身につけておきたい習慣−その3
百瀬薫先生からの助言
自己投資をする本を買うのも、研修会に出かけるのも自分のお金を使うことが大切だと思います。教育書や絵本は高額なものも多いです。研修会も、たった1回半日の参加でも安くはありません。出張費ではなくて「自己投資をする」からこそ、一生懸命読んだり学んだりする気持ちも強くなることがあると思います。自分のために使っているはずのお金が、子ども達に授業を通して還元されるということはたくさんあります。だから、自分を磨くための自己投資は惜しまずしてください。成功や失敗を繰り返していくうちに、本当に必要なものやことが見つかるようになり無駄がなくなります。自分の趣味や、興味のあることがあれば、そういう方面への投資もしていきましょう。
●百瀬薫(ももせ・かほる)先生/信州大学を卒業後、2年間の中学校(国語科)での臨時採用期間を経て平成8年長野県に正式採用となる。以後、小学校2校、中学校1校を経験し、平成19年度に、ベルギー王国ブラッセル日本人学校中学部(国語科)へ文部科学省より派遣。自分探しの旅を続ける。趣味は読書と写真撮影。「縁」を大切にしたいと願う生活のなかで得た人脈は、本人を支える大きな力となっている。
伊藤彰敏先生からの助言
身銭を切る研究授業を前にして、その授業にかかわる本を買う。自分の教科、あるいは自分の校務分掌に関する本を買う。他府県の研究発表会に出向く。興味のある研究会に参加する。どれもこれもお金のかかることばかりです。
しかし、教師力を高めるには、研修にどれだけ自分のお金を使ったかということが大きく影響します。
自分から学ぶということが大切だと思います。児童生徒と同じくらいではなく2倍も3倍も教師は学ぶことが求められていると思います。そうでないと、子どもに「知的興奮」のある授業はできません。学級経営も独りよがりなものになってしまいます。
学び続ける教師だけが子どもの前に立てる、と言われます。学び続けていく中で、自分のモデルとなる教師や授業と出会うことができるのではないかと思います。
人間は一生のうちに逢うべき人には必ず逢える。
しかも一瞬早過ぎず、一瞬遅すぎない時に−。(森 信三)
●伊藤 彰敏(いとう・あきとし)先生/平成20年から一宮市立大和南中学校に勤務。中学校教員として27年目。「論」のある国語科の授業をめざしている。
野田和弥先生からの助言
学ぶ- 先輩の先生の教室掲示を見る
- 先輩の先生の授業後の板書を見る
- 先輩の先生の授業を参観する
- 先輩の先生の得意分野を見つけて、話を聞き出す
- わからないや困っていることは遠慮せずにきく
- 見たり、聞いたりしたことで、できそうなことを真似てやってみる
- やってみて失敗したことを改善・工夫して、またやってみる
- 素直な心と感謝の気持ちをもって学ぼうとする姿勢が大事
- 教師の学び続ける姿勢が子どもにも伝わり、いい影響を及ぼす
●野田和弥(のだ・かずや)先生/昭和59年、教員生活スタート。小学校に6年、中学校に13年、再び小学校に戻り6年目。専門は数学。座右の銘は「教育とは人生のタネ蒔きをすることなり」。本年度より、校内の特別支援教育コーディネーターを務める。現在、月刊誌「楽しい算数の授業(明治図書)の授業力UP!今月の授業と発問」の編集を担当。教師力アップセミナー運営委員。
(2008年7月28日)