★新任の先生のためのコラムです。3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。
こんなことを聞いてもいいのかしら。聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。面と向かっては、どうも恥ずかしい。・・・こうした新任の先生方の気持ちを察したテーマが並びます。
【第7回】給食指導の第一歩!
佐藤正寿先生からの助言
適度な規律は教師が作る子どもにとって給食時間は楽しいひとときです。しかし、その楽しさが度を越えて騒々しい給食時間になり、ルール無視の場になる場合もあります。やはりそこには「適度な規律」が必要です。そして、それは教師が作っていくものです。
私が徹底したのは、「おかわりのルール」と「後片づけ」でした。
おかわりのルールはその学級独自のもので構いません。ただし、公平感のあるものにします。「はやく食べ終わった人から順に・・・」というのであれば、食べるのが遅い子はいつもおかわりができません。たとえば、一定の時間が来たら(私は「いただきます」直後が多かったのですが)、「今からおかわりタイムです。一人1回です。並んだ人が全員おかわりできる分をとりましょう」というようにします。個数が限定されているデザート等は希望者によるじゃんけん制が公平です。
後片づけでは、「食器やお盆をきれいに置く」「はしも同じ方向を向けて片づける」「ストローや袋も散らかさない」ようにさせました。指示だけではなく、「誰かがいい加減に置くと、誰かがそれを直さなければいけないよ。これも思いやりだよ」と趣旨もよく話しました。
実はおかわりも後片づけも、子どもたちの心を育てる重要なものだと思っています。適度な規律でこそ、その心は育ちます。
●佐藤正寿(さとう・まさとし)先生/1985年より岩手県公立小学校に勤務。現在、岩手県軽米町笹渡小学校教頭。社会の教材開発が大好きで、家族旅行でもつい地元の話に夢中になり、家族から冷たい視線を浴びることも・・・。最近はICTを活用した授業づくりに力を入れている。学級通信は担任であった22年間で累計で3400号に達した。そのノウハウを「手軽に発行 学級通信のアイデア40」(ひまわり社)にまとめ、2007年6月に発刊。
*佐藤先生のホームページへはこちらからどうぞ。
藤岡幹根先生からの助言
みんなしっかり食べよう給食指導といったら「みんなしっかり食べよう」につきます。食缶が空になる学級というのはやはりパワーのある学級です。明るくたくましいクラスのバロメーターという気がします。その意味で、男子であろうと女子であろうと、どんどんおかわりを勧めます。妙にダイエットに走ることをよしとする雰囲気は一掃するのです。だって大人になっても小学校高学年のままの身長・体重なんて子はいないのですから。まずは体作り・学級のパワーアップのためにもどんどん食べようという形にすることです。
留意点としては2つ。
- 食物アレルギーを把握しておき、メニューによっては個別に確認すること
- プリンなどの副食がまるで貢ぎ物のようにやりとりされないよう、いじめの世界が展開されないよう日頃からチェックしておくこと
これで、楽しい学級への確かな1歩となるはずです。
●藤岡幹根(ふじおか・みきね)先生/「ディベートの藤岡先生」と紹介したら、一気にご存じの方が増えるでしょう。小牧市立光ヶ丘中学校勤務時代は、連続して全国ディベート選手権に選手を送り込み、全国制覇を果たしました。ディベート指導者として各地からお呼びがかかる中、この4月から小木小学校の教頭として奮闘中。
和田裕枝先生からの助言
子どもたちと一緒に食べよう給食はどの子もが楽しみにしています。つまり本音が出やすい時間です。是非、子どもたちの間に入って給食を食べましょう。「からあげが大好きなの?」「牛乳嫌いなの?」「昨日も家でカレーだったの?」などと会話をする中で、学校での子どもの満足度が分かります。話さなくても目を輝かせて聞いていたり、にこにこしていたりする子は大丈夫。黙って一人で目線を下げて食べている子は、学校で楽しいことや、人に話すようなことがない場合があります。学校が楽しくなくなってきているという黄色信号だと思ってください。放課や給食は誰もが楽しいはずですから、その時間に子どもの様子を見ると黄色信号が点滅しているのが分かります。
いっしょに遊ぶこともいっしょに給食を準備することも大事。でも、自分たちでなるべく遊んだり、準備したりできるように指導して、個々の様子を「ぼうっとして」見る時間を確保したいです。「ぼうっと何気なく子どもをながめる時間」が子どもを観察する力を高めます。静と動の指導で言えば、「静」の指導になるのかもしれません。
●和田 裕枝(わだ・ひろえ)先生/愛知県豊田加茂教育事務所指導主事。愛知教育大学の志水廣教授に800人見た中で一番授業がうまい人!と言わせた高い授業力の持ち主。特に、子ども把握力に優れ、授業では、その子のよさを活かす様々な授業技術を駆使する。和田さんの授業力を盗みたいという全国の教師は多数。
(2008年5月26日)