★新任の先生のためのコラムです。3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。
こんなことを聞いてもいいのかしら。聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。面と向かっては、どうも恥ずかしい。・・・こうした新任の先生方の気持ちを察したテーマが並びます。
【第5回】これだけは押さえておきたい学校生活のルール(小学校高学向け・生活編)
和田裕枝先生からの助言
自分たちで決めたことは実行させる高学年となると、キャンプ、修学旅行などグループ活動を校外で行うことも多く、それまで以上に自主性、協力生、社会性が求められます。自分たちで考え、行動することができるが、責任も伴うことを覚えさせます。
その中で大切なことは、「話し合いのときに、きちんと意見を述べる事。自分たちで決定したら文句を言わずに実行する」ということです。
話し合いのときには何も言わずに、実行段階で不平が出てくるようでは、自主的な企画・運営が進みません。
そのために、まず、教師は必ず話し合いの時間を授業時間で設定して、誰もが公平に言える場面を作ります。
その時間に決まったことも必ず把握しましょう。
例えば、「調理実習の分担を決めよう」という話し合いならば
1 誰か一人に偏った仕事分担になっていないか(分担表を名前入りで提出させる)
2 全員が分担内容に納得しているか(日記などにより個人の気持ちを把握)
自分たちの力でできたという成就感を味わわせると何に対しても前向きな高学年らしいクラスになりますよ。
●和田 裕枝(わだ・ひろえ)先生/愛知県豊田加茂教育事務所指導主事。愛知教育大学の志水廣教授に800人見た中で一番授業がうまい人!と言わせた高い授業力の持ち主。特に、子ども把握力に優れ、授業では、その子のよさを活かす様々な授業技術を駆使する。和田さんの授業力を盗みたいという全国の教師は多数。
藤岡幹根先生からの助言
自分の考えをしっかり伝えることができるにするまずは自分の考えを自分で伝えられるようにすることです。「先生」といってノートを差し出し、それ以上自分で説明することなく以上終了という子はいませんか? 確かに受け取ったノートは確認をします。しかし、「〜という理由で体育を見学させてください。」といったことを自分で説明させます。
これは話し合い活動でも同じことです。自分の考えをしっかりもつこと、それを相手に伝えること、これが学校生活のベースといえます。わからないことはわからないと言える。互いの意見を尊重しあえる。そんな学級を早く確立させたいですね。
●藤岡幹根(ふじおか・みきね)先生/「ディベートの藤岡先生」と紹介したら、一気にご存じの方が増えるでしょう。小牧市立光ヶ丘中学校勤務時代は、連続して全国ディベート選手権に選手を送り込み、全国制覇を果たしました。ディベート指導者として各地からお呼びがかかる中、この4月から小木小学校の教頭として奮闘中。
佐藤正寿先生からの助言
自分たちで決めたルールを徹底する高学年になれば、学級でいくつかのルールや目標を自分たちで決めることでしょう。
「いじめ・差別をしない」「男女仲良く」「時間を守る」といったことです。
それぞれ、子どもたちにとっては大切なことであり、意味があります。
ただ、押さえておきたいのは、それを「徹底して守る」ことです。高学年では、善悪の区別はついてもそれが行動に結びつかない子もいるからです。
たとえば、「いじめ・差別をしない」というのであれば、自分が心掛けるのはもちろんですが、その行いがあった時の対応も具体的に考えさせます。「いじめをした人にその場で注意する」「注意はできないけど先生に教える」等、自分たちにできる行動を話し合わせます。たとえば、「男女仲良く」というのであればイベント係に休み時間に男女一緒に遊べるゲームを企画させます。
心構えだけではなく、子どもたちに具体的な行動を考えさせ、実行させることにより、ルールは徹底していきます。
●佐藤正寿(さとう・まさとし)先生/1985年より岩手県公立小学校に勤務。現在、岩手県軽米町笹渡小学校教頭。社会の教材開発が大好きで、家族旅行でもつい地元の話に夢中になり、家族から冷たい視線を浴びることも・・・。最近はICTを活用した授業づくりに力を入れている。学級通信は担任であった22年間で累計で3400号に達した。そのノウハウを「手軽に発行 学級通信のアイデア40」(ひまわり社)にまとめ、2007年6月に発刊。
*佐藤先生のホームページへはこちらからどうぞ。
(2008年5月5日)