★新任の先生のためのコラムです。3人のベテラン教師が、同じテーマについて語ります。
こんなことを聞いてもいいのかしら。聞いてみたいけれど、職員室では聞きにくい。面と向かっては、どうも恥ずかしい。・・・こうした新任の先生方の気持ちを察したテーマが並びます。
【第4回】これだけは押さえておきたい学校生活のルール(小学校中学年向け・生活編)
和田裕枝先生からの助言
「失敗してもいいが、その後が大切なので自分で考えて行動する」というルールガラスを割った、何かをこぼした、友達とけんかした、などトラブルが多く発生します。先生に報告して解決してもらうのは低学年まで。中学年は、失敗の後、どう動くかを考えさせます。
ガラスを割ったら、報告する、片づける、怪我をしていたら保健室へ行くなど、何かしら自分でできることを増やしていきます。
「先生〜していい?」と聞く子が多いですが、「君はどうしたらいいと思う?」と聞くとほとんど正解の答えを言います。そのときに「さすが 〜君はよくわかっている」と褒めれば、先生に聞いて判断するのではなく、自分で行動できるようになります。ただし、怪我など体に関することだけは自分で判断してはいけないことを徹底しておきます。
●和田 裕枝(わだ・ひろえ)先生/愛知県豊田加茂教育事務所指導主事。愛知教育大学の志水廣教授に800人見た中で一番授業がうまい人!と言わせた高い授業力の持ち主。特に、子ども把握力に優れ、授業では、その子のよさを活かす様々な授業技術を駆使する。和田さんの授業力を盗みたいという全国の教師は多数。
酒井直樹先生からの助言
いじめは絶対ゆるさないという姿勢が大切中学年になると毎日のようにトラブルが発生する。
その中で起こるのが「いじめ」。
「いじめ」は絶対に許さないという姿勢を示しておくことが大事。
いじめを発見するには、子どもの小さな変化やサインを絶対に見逃さないこと。
子どもたちの言動に注意を払いましょう。
「これぐらいは…」とか「何とかなる」などと安易に考えることは禁物。
一人で抱え込まず、ベテランの先生に相談しましょう。
●酒井 直樹(さかい・なおき)先生/昭和55年、大学を卒業後、中学校に21年、小学校に7年勤務。専門は数学。座右の銘は「情熱なきところに教育なし」だが、情熱が空回りすること多し。しかし、へこたれずにがんばることが私のモットー。現在、月刊誌「楽しい算数の授業(明治図書)の授業力UP!今月の授業と発問」の執筆と編集を担当。自主研修会を定期的に開催して若手教員の育成に全力を尽くしている。
大羽沢子先生からの助言
ポイントは3つ。- 丁寧な言葉で話す。
- 人に親切にする。
- 最後までする。
また、どうすることが、「親切」なのかを、子どもたちの姿で教えることで、よりよい振舞い方を学ぶのもこの時期です。具体的な思考から、抽象的な思考に移行できない子どもたちもいます。抽象的なことを教えるときには具体例を示していくことがポイントです。
「最後までする」とは、責任をもたせるということです。家庭では、どこかで保護者の手が入っていて、一人で最後まで仕事をするという経験は少ないものです。掃除や係の仕事も手順を示して、見通しを持たせた上で、「最後までしよう」と励ましましょう。
●大羽 沢子(おおば・さわこ)先生/昭和60年、教員生活スタート。小学校教諭24年、通常学級を担任していた時に発達障害が疑われる子どもと出会ったのをきっかけに、教育相談の道に。平成15年度より兵庫教育大学大学院学校教育研究科教育臨床心理コースで2年間学ぶ。現場に戻ってからは通常学級を2年担任し、本年度より特別支援学級の担任・特別支援教育コーディネーターを務める。臨床心理士・特別支援教育士。
(2008年4月21日)