愛される学校づくり研究会

★ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。校長、教頭、教務主任、校務主任などを経験された先生方に学校経営上のちょっとしたアイデアを紹介していただきます。今回は…

【第13回】玉置 崇 先生

《知恵27》 研究授業の成果の積み重ね方  

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リーダーであれば、だれもができる限り研究授業を積み重ねて、教員全体の授業力を高めたいと思うだろう。この知恵は、教員の意識を高めたり、研究授業成果の記録化、見える化を図ったりできるものである。
 

  1. 一定の大きさがある職員が日常的に目にする場所にある掲示板を研究授業記録掲示板として用意する。
  2. 一つの研究授業が終了するごとに、実施期日、研究授業の目的、簡単な授業内容、この授業から学んだことなどを記録した短冊を作成して掲示する。
  3. 短冊の幅は、(掲示板の横の長さ÷職員数)程度にすると、学校の1年間にわたる研究授業の記録を掲示することができる。
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《知恵28》 活気ある研究授業事後検討会の進め方

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この知恵は活気ある研究授業事後検討会とするための知恵である。教員を1グループ3〜5名程度、できる限り経験年数が散らばるようにグルーピングしておく。用意する物は、模造紙、マジックペンである。

  1. 今日の授業で良かった点を3点、改善すると良い点1点をグループで話し合い、模造紙にまとめる。
  2. グループでできれば一番若い教師が話し合いの結果を3分間で発表する。時間厳守をさせることが大切である。
  3. 司会者は、グループから発表された改善点の中で、全体の話題とすべき改善点を判断し、それについて話し合いを進める。特にその改善点を出さなかったグループに意図的指名をし、考えを発表させると話し合いに活気が出る。授業者には最後に意見を求めると良い。「100%納得できますか」と問いかけて、意見の相違をはっきりさせるとよい。
     

《知恵29》 授業シミュレーション

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この知恵は研究授業前などに実施すると、授業力向上の点で効果がある。例えば、数日後に研究授業を行う教員がいたとしよう。教員を児童生徒に見立てて、研究授業者に授業をやってもらうのである。
 この時に大切なことは次のことである。

  1. 授業者はあくまでも授業をすることに徹し、途中で児童生徒になっている教員に解説するようなことは絶対にしない。
  2. 職員の中に、かならずコーディネート役をおく。コーディネータは、授業をまとまりごとに止めて、児童生徒役になった教員から、気付いた点を出させ、その点について全員の考えを聞くようにする。特に注意しておきたいことは、まずい点に注目するのではなく、できるだけ良い点の方に注目し、その教師のよさを共有化するような展開をすることである。全員の意見を確かめる方法としては、「今出された意見について、同じことを気付いた方は○、気付かなかった方は×をつけなさい」というように、全員が極めて短時間で自分の考えを示すことができる手法をとるとよい。
  3. あくまでも授業者が最終判断をすることを強調する。今日の授業シミュレーションは、事前の意見収集の場であり、こうすべきであるという方向性を決定するものではないことを確認しておく。

(2008年9月15日)

知恵袋

●玉置 崇
(たまおき・たかし)

昭和54年、教員生活スタート。小学校教諭3年、中学校教諭16年、教頭6年、校長3年、平成19年度より愛知県教育委員会義務教育課指導主事。専門は数学。大学時代には落語研究会に所属。今でも高座に上がりご機嫌をうかがっている。「やってみなきゃ分からない」をモットーに、「思いついたら、すぐ動き出す」ところもあって、失敗は数知れず。そのくせ、ちょっとしたミスで、いつまでもくよくよ悩むタイプ。眠れぬ夜も多い。
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