★ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。校長、教頭、教務主任、校務主任などを経験された先生方に学校経営上のちょっとしたアイデアを紹介していただきます。今回は…
【第6回】森上 一美 先生
《知恵10》 行事のねらいは、教室で使う言葉で表現 |
体育大会、運動会、校外学習、学芸会、避難訓練、終業式…。一度、これらのねらいを確認してほしい。長い間、変わらない、形だけのものになっていないだろうか。しかし、子どもたちを行事で育てるためには、そのねらいが、重要であることは言うまでもない。
そこで、職員会議で提案されるこれらの行事のねらいは、実際に学級担任として、教室で子どもに指導する通りの言葉を使って、ねらいを表現するルールにするとよい。このルールは、このように指導して欲しいという願いを示すことでもある。 例えば、「〜を理解させる」という表現ではなく、「みんなで力を合わせて、一番になろう」という表現であるようにするのである。
《知恵11》 ケガをさせた保護者への対応 |
学校で、子ども同士がぶつかり、不可抗力で一人が軽くケガをした。ケガをさせた子どもの保護者には、ケガした子どもの保護者に、謝罪の連絡・あいさつをしてもらいたいものだ。このとき、学級担任は、ケガをさせた子どもの保護者にどのように電話をかけたら、気持ちよく先方(ケガをさせられた子どもの保護者)に連絡をしてもらえるか。そのときの知恵を紹介する。
<場面例>
AさんとBさんが運動場で遊んでいてぶつかって、Aさんが軽くケガをした。念のため養護教諭が病院へ連れて行った。Aさんの保護者にはすぐ連絡をとり、誠意ある対応をすることだ。いじめでもないし、「ご迷惑をおかけしました」と理解は得やすい。しかしもう一つ大切なのは、Bさんの保護者への対応だ。最近は「子ども同士のことですから」と親が出て行く必要がないと言われるケースがある。
このような時には、次のように連絡する。
「Bさんは、Aさんがケガしたことを大変気にしていましたが、家に帰ってからどうですか?」と聞く。
保護者は、担任の先生が、わが子を気遣って電話してきてくれたことは、何よりうれしいものだ。Bさんの保護者には、安心と余裕も生まれる。この安心と余裕から、次のような気持ちにもなる。「ところで、Aさんはいかがですか?」と。
聞かれたわけだから、ケガの状況、病院名、具合など詳しく話せばよい。これまでの経験では、多くの保護者は、「連絡先を教えてください」と言っていただける。さらに、こういった反応がなければ、こちらから、「お母さんが連絡を取り合っていただけましたら、Bさんは安心すると思いますよ。」と伝えるといい。きっと「連絡します」と反応してくれるだろう。
つまり、まず、ケガをさせたわが子だが、先生はそれを気遣って、連絡をしてきてくれたのだという気持ちを伝えることが大切なのです。
(2008年4月28日)