愛される学校づくり研究会

★このコラムは、ベテランの先生方によるリレー方式のコラムです。先輩教師として若い先生方に、「こんなことをしたらうまくいかなかった」といった失敗談を語っていただきます。

【第25回】今飯田 寛 先生
「むずかしいなあ〜女子指導!」

生徒指導での特に、女子指導でのとても痛い失敗です。

 新任から勤めた小学校から、中学校に転勤になり、2年生を担任するとともに、生徒指導を担当することになりました。
 この学年は、女子の素行がとても悪く、自分のクラスにも髪の毛を7色のレインボウに染めた一匹狼的な子がいました。数個のグループが存在し、2年のときから、様々な問題行動を起こしました。3年に進級するときには、「先生の学校の女子が、市内で一番悪いですよ。がんばってくださいね」と警察署に行った折に、言われるほどでした。学年の先生たちと協力してがんばり、少しずつ改善していきましたが、なかなか指導が入らない5人組のグループが残りました。
 このグループがやったことは、挙げたらきりがありません。
 授業エスケープ、喫煙、不純異性行為、深夜徘徊、集団暴行・・・・・・
 その子たちには、嫌がられても、嫌がられても、「自分を大切にしろ」「先生たちは、心配している」等、語りかけました。必要と思えば、夜中の零時でも家の前で待っていたものでした。

 卒業が近づいていた1月、その中の一人A子が、自分の将来を思いがんばろうと考えるようになりました。そこで、A子を呼んで、「今からでも遅くはない。先生も協力するから、あきらめずにガンバレ」そして「今、一緒にいる仲間とは、自分の目標を達成するまで、離れろ。プラスにはならん」というような話をしました。

 しばらくして、そのグループが問題を起こしたときに指導しようとしたら、A子以外の子から、「先生と口を聞きたくない」「私たちはどうでもいいんでしょ」「ひいきだ」といった言葉が返ってきたのです。まったくこちらの話を聞こうとしません。2年間の積み重ねで、やっと話ができるようになった関係が、崩れ去りました。

 自分はA子の前向きな気持ちを大切にし、A子を信じ、自分の思いをストレートに伝えました。「仲間とは離れろ。プラスにはならん」といった言葉が、グループに伝わったために、このような事態になったようです。この時期の子たちは、仲間意識が強く、仲間が一番大切であるということを身にしみました。それからの自分は、指導する子の背景を熟慮して、言葉を投げかけるようにしました。特に、女子に対しては。

(2008年11月17日)

失敗から学ぶ

●今飯田寛
(いまいいだ・ひろし)

昭和58年教員生活スタート。現在、春日井市立小野小学校教頭。新任のときから、小集団学習に魅了され、独学で実践。「相互作用」を活用した授業実践・学級経営が教育理念。専門は、理科、特別支援教育。担任時代は、理科教育・道徳教育・特別支援教育・環境教育・「生き方」指導等に精力的に研究実践。笑顔を絶やさず、「楽しく」がモットー、でも本当は繊細な神経の持ち主。