愛される学校づくり研究会

【第4回】学級・学年を応援団に

(1)一人ひとりへのメッセージ

体育大会や合唱コンクールなどの学校行事を終えて、学級の子どもたちはそれぞれの絆ができている。さらに、この絆を深くするにはお互いを支え合う雰囲気を生み出す必要がある。特に中学3年生は進路や受験を控えて、孤独感を感じるため友人や担任との結びつきを求める時期でもある。そこで、学級活動の時間を2時間程度設けて、一人ひとりが応援メッセージを送れるように、担任は1枚の用紙を準備する(下記参照)。応援メッセージ作成の手順は、次の通り。


1 自分の名前を(  )に書く。
    ↓
2 座席順に□1つにメッセージを書いて、次の人に回す。
    ↓  (以下、全員続ける。担任のメッセージは右下に)
    ↓
3 最後に自分へのメッセージを書く。
 

受験をするクラスメートに励ましの言葉を書こう。

3年1組 H 17 1 21

1 ねらい ・ 受験をするときは孤独との戦い。
  そんな時、クラスの友達の一言が大きな励みとなり、力が湧いてくる。
   
2 期 日 平成17年1月21日(金曜)5・6限 学活
   
3 内 容 ・ A3大の用紙の枠に、友達の励みになるような一言メッセージを書く。
  例1.面接は落ち着いて。(永田)−−その人に合わせて
  例2.あきらめるな。(近藤)−−−同じ言葉でもいい
  ・ 担任が点検した後、各自生徒手帳の中に入れてお守りにするとよい。
   
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 これが完成したら、担任がひと通り目を通して本人に返却する。本人は生徒手帳に入れるなどして、お守り代わりにする。時折振り返って読む一人ひとりのメッセージは実に温かい。担任は短学級や放課後に教室にいて生徒が話したい時間をつくって待つ。これを続けていると、担任が普段教室にいても様々な生徒が話しかけてくる。


(2)教え合う

学びの楽しさを味わう手だての1つに、仲間との集団学習がある。個別指導の良さもあるが、受験期には、「知識や方略の分かち合い」の学びが良い。生徒の中で得意とする科目についてリトルティーチャーを探し出す。わからない問題や入試に出そうなポイントを彼らが要領よく教える。

 すると、リトルティーチャーは教えることで理解が深まる(実際に中学時代のこの経験で数学の教師になった人もいる)。教えてもらった生徒はわかる喜びを感じ、晴れやかな顔になる。このくり返しが自然に学級の学びの雰囲気を高める。担任が「放課後に学習会(サテライト)をしよう!」と呼びかけ、時間と場所を設定すれば、生徒たちは気持ちよく勉強に打ち込めるようになる。サテライトは、11〜2月ごろだからこそできる。時々、勉強がわからない生徒には、担任が弱点強化の1枚学習プリントを用意して、励ましの言葉をかける。短期的な目標があり、集中できる分量が望ましい。


(3)一生懸命まじめにやっている子を認める

教師はまじめにやっている子を認めてあげたいという気持ちを持っているが、つい問題を起こしたり、目立つ子どもに目がいってしまう。だから、学期末に学級会や学年集会で賞状を与える機会をつくる。一人何分野でも良い。
 例えば、下記のHG賞は、私の昨年度の実践例である。(3年間で210名中87名が受賞した)

HG賞(光ヶ丘グランプリ 私は光る原石賞と思っている)
場面: 学級活動(係活動・当番活動・清掃)、学習、学校行事、生徒会活動、奉仕活動、部活動など
対象: 学級担任、教科担任、学年担当、部活動顧問、委員会顧問などからの推薦

少しずつではあるが、1年生の時落ち着きがなかった生徒や学年集団の雰囲気も、認められるうれしさを理解し、正しいと信じることを自信もってできるようになった。私が用意したのは、日ごろの観察の目と情報収集、励ましのエール、そして賞状(下記参照)だけである。

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 以上、第4話のまとめとして、私は「学級や学年内で子どもと教師が互いに良き応援団となれば、絆は深まる」と考える。

 さて、「今学期は何人表彰できるかな」を楽しみにして、学期末を迎えようと師走の教室に向かう。

(2005年12月5日)

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●坂下 憲司
(さかした・けんじ)

愛知県小牧市立光ヶ丘中学校教諭。社会科担当。授業力抜群。素材の料理の仕方などがユニークで、いわゆる坂下流授業にあこがれる若い教師多数。もちろん、授業ばかりではなく、学級経営、生徒指導、部活指導など、どの分野においても安定した力を発揮。これまでもさまざまな分掌を担い、学校になくてはならない存在になっている。女性職員からは私の奥さんにしたいくらいの気遣いもしてくれる人!と評判。