PLANEXUSの「学校力アップシリーズ(13)」

教師の「困った!」を解決する授業術  −主体的・対話的で深い学びを生み出す教師の動き方

「若い教師が多いので、若手が力量アップできる研修をお願いします」と言われることがとても多くなりました。
 私たちが新任だった頃はそうした研修はなく、「先輩教師の技を盗んで自らを高めなさい」と言われました。技を盗むには、「その技が子どもを育てるのにどのように役立っているのかを見極める観察力」や「技を自分の学級に応じて働かせる力」が必要で、先輩の素晴らしい技を習得するまでに、時間が随分とかかりました。その頃の先輩や保護者のみなさんは、教師が伸びていくことを我慢強く待っていただいていたように思います。
 ところが、最近は、経験が浅い教師にも100点満点を求める傾向があり、私たちの若い頃と比べると、教師は大変な状況になってきています。

そこで、私たちが長い時間かけて身に付けたさまざまな技を伝え、少しでも早く豊かな授業力をつけていただこうと思い、この本『教師の「困った!」を解決する授業術』を執筆しました。
 「困った!」は、12名の現役教師から出してもらいました。「困った!」を見ていただくと、これもあれも私の「困った!」と同じだと思われることでしょう。
 その「困った!」を解決するための教師の動きを2人で示しました。また新学習指導要領を視野に入れて、「主体的・対話的で深い学びを生み出す」ことも意識して、「困った!」に応えています。
(著者 はじめにより)

もくじ

第1章 主体的な学びへ導く教師の動き
<低学年>「わからない」と言う子どもへの指導/マイペースな子どもへの指導/特別な支援が必要な子どもへの指導/予習をしてくる子どもへの指導/できない子どもへの授業中の支援/発言内容を充実させる指導
<中学年>早くできる子どもへのTT指導/指示を待っている子どもへの指導/おとなしい子どもへの発言指導/自分にはできることがないと思っている子どもへの指導/自分の考えを記録するノート指導/効果的な机間指導/誰もが参加できる資料活用の方法/やる気が出る発問の方法/楽しみながら学ぶ漢字指導/気持ちを考えやすくする道徳発問の方法/めあてを意欲的に書かせる指導/どの子どもも理解できる授業の進め方/子どもの考えを的確に捉える方法
<高学年>ひらがなばかり使う子どもへの指導/やる気が出ない子どもへの指導/感想が書けない子どもへの指導/課題設定の提示方法/作業時間に差がある場合の指導/意欲を持続させる指名の仕方
★Column:困ったある出来事「席替え希望」(和田裕枝)
第2章 対話的な学びへ導く教師の動き
<低学年>発表者の方を向かない子どもへの指導/大勢の前で話せない子どもへの指導/答えを伝えるだけのペアへの指導
<中学年>発表後だれてしまう子どもへの指導/話す内容をレベルアップしない班への指導/時間内に内容をまとめられない班への指導/一部の子どもだけが発言している班への指導
<高学年>交流の仕方がわからない子どもへの指導/自分の答えだけを主張する子どもへの指導/教えてもらうことを嫌がる子どもへの指導/発表するだけで焦点化しないときの指導/全員参加の班活動にするための方法/発表のマンネリ化を防ぐ方法/役割が決まってしまう場合の指導
★Column:困ったある出来事「間違えるのが恐い」(玉置 崇)
第3章 深い学びへ導く教師の動き
<低学年>簡単な言葉ばかりで表現する子どもへの指導/振り返りで何を書くかわからない子どもへの指導/既習事項を忘れてしまう子どもへの指導/知っていればわかっていると思っている子どもへの指導
<中学年>自分の考えを書くことが苦手な子どもへの指導/体験活動が遊びになってしまう子どもへの指導/正解になる方法だけを覚える子どもへの指導/考えを説明できない子どもへの指導/子どもの意見をつなぐ指導/つぶやきを全体に広める指導/多様な意見を焦点化していく指導
<高学年>深く考えてほしい発問に挙手しないときの指導/知識が豊富で関心を示さない子どもへの指導/授業の導入を工夫する方法/本音を出させることができない道徳授業の改善法/一部の子どもしか発言しない振り返りの改善法/手立ての根拠を考える指導/予想と違う発言への対応方法/授業で理解度や定着度をつかむ方法

著者紹介

玉置 崇(たまおき たかし)
現在、岐阜聖徳学園大学教授
1956年生まれ。愛知県公立小中学校教諭、愛知教育大学附属名古屋中学校教官、教頭、校長、愛知県教育委員会主査、教育事務所長などを経験。文部科学省「校務におけるICT 活用促進事業」検討会委員会委員など歴任。「学校経営」「ミドルリーダー」「授業づくり」などの講演多数。
●著書:「若い教師のための深い学びが生まれる算数授業」(共著・2017年・プラネクサス)、「中学校新学習指導要領 数学の授業づくり」(単著・2018 年・明治図書)など多数。
和田裕枝(わだ ひろえ)
現在、授業と学び研究所フェロー
1956年生まれ。愛知県公立小学校教諭、愛知県教育委員会指導主事、豊田市教育委員会指導主事、教頭、校長などを経験。「学級づくり」「算数授業」などの模擬授業や講演多数。
●著書:「学級づくりカレンダーをもとに創る わくわく算数授業」(共著・2017 年・愛知教育大学生協書籍部)
教師の「困った!」を解決する授業術
  • 教師の「困った!」を解決する授業術
    −主体的・対話的で深い学びを生み出す教師の動き方
  • 著者:玉置 崇/和田裕枝
  • 定価:1500円+税
  • 発売日:2018年9月25日
  • 体裁:A5版変形/128ページ
  • ISBN978-4-905111-12-2
  • 販売:直販
⇒書籍のご注文