第7回は赤坂真二先生です。対面で行います。開催日時は、2月10日(土)午前10時〜12時です。よろしくお願いします。

山田貞二先生セミナー1

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 9月7日に愛知県一宮市立浅井中学校校長の山田貞二先生をお招きし、「うれしい、楽しい、道徳大好き!〜しなやかな道徳授業をめざして〜」というテーマで講演していただきました。

 まずは、アイスブレイクとして「セブンイレブンじゃんけん」をしたり、2分間でペアの人の似顔絵を描いてプレゼントしたりするなど、温かい雰囲気づくりを行いました。学級でもセミナーでも、何でも言い合える雰囲気づくりが大切だということを教えていただきました。
 次に、ペアで簡単な場面指導を行いました。テーマは「明日は合唱コンクール、指揮者の子が泣いている。どのように声をかけますか」というものでした。その際、「君ならできるよ」と励ますよりも、まず「どうしたの?分かるよ、その気持ち」と共感することが大切であると学ばせていただきました。
道徳の授業も、まず傾聴、共感することから始め、自己肯定感を高め、安心感(セイフティ)の中で自己決定をさせていく必要性を学ぶことができました。
また、教師が子どもの話を聞く姿勢をもつことはもちろん、子ども同士が聞き合えるかどうかもポイントだと知りました。
1.傾聴三原則
(あいづち、うなずき、称賛)
2.オウム返し復唱
3.オープンクエスチョン
 を用いて、自己決定の場(納得解)へ導くことを教えていただきました。

山田貞二先生セミナー2

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〇そもそも「道徳」って何だろう。
 という問いを会場の全員で考えていきました。英語では「moral:習慣。風習」。広辞苑では「日常的に守るべき習慣」とあります。さらに国や地域、育ってきた環境や文化、家庭や時代によって変化することもあります。
それぞれ価値観が異なるものだから、それぞれが「納得解」を出すことが大切になってくることを学びました。
 道徳の授業を通して、「主体的判断力」と「共に生きる力」といった「道徳性」を育むことが大きなねらいです。しかし、私たちの道徳の授業に対する「思い込み」が弊害になることがあると教えていただきました。そしてその思いから成るパターン化された授業では、量的にも質的にも課題が残るため、「考え議論する道徳」へと転換を図ることになったそうです。明確な指導観のもと、しなやかな授業を行う必要性があるとのことです。
 授業の中で、「価値理解(内容項目)」「人間理解(人間の弱さを扱う)」「他者理解(自己との比較)」を「多面的・多角的」に考えることで学びを深めていくことが大切だということを教えていただきました。
〇多面的・多角的な考えとは
 「多面的」と「多角的」をあえて分けて考えていくことになりました。
・ 多面的とは
 社会的事象自体がもつ様々な側面→多面性
・ 多角的とは
 社会的事象を様々な角度からとらえること→多角性
 立場を変える。認め合い。
 これらを踏まえ、対話→拡散→収束(磨き合い)へと導いていくそうです。
 収束の際、議論を通して、時には対立・妥協も授業の中で経験させるとのことです。

 中心発問を発火点とし、認め合いながら対話をして拡散の方向へ導き、ズレを起こす補助発問から磨き合いという議論による話合いへと導いていくことを教えていただきました。

山田貞二先生セミナー3

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〇模擬授業「バスと赤ちゃん」
 導入は2パターンあることも教えていただきました。
・教材から(挿絵等)
・価値から(友情ってどう思う?等)
 今回は挿絵からの導入でした。本文中に「火のついたような鳴き声」とあり、実際に演じてみたり、音声を聞かせることで体感することができました。
 そして、運転手さんの提案によって起こった「拍手」の意味を考えていきました。
・運転手さんの提案に向けて
・母親に向けて
・乗客みんなに向けて
・赤ちゃんに向けて
 など、多くの意見が出ました。中には、
・周りに合わせて仕方なく
 という意見も出ました。しかし、こういった一見ネガティブな意見こそ、「よくぞ言ってくれた」と、大切にしなければいけないとおっしゃっていました。また、役割演技を通して参加者それぞれの納得解を求めていきました。
 一つの教材に対して、どのように扱うのかも授業の展開を左右する大事な選択とのことでした。例えば、共感的に、分析的に、感動的に。または、問題提起として捉えることもできるそうです。
 他にも、質の高い多様な指導方法として
・自分事としてとらえる。
・問題解決的な学習。
・体験的な学習。
 などの選択もしていく必要があることを学ぶことができました。

 2時間という短い時間でしたが、理論と実践を具体的に分かりやすく教えていただき、大満足のセミナーとなりました。

川上先生セミナー1

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6月9日に東京都立矢口特別支援学校の川上康則先生をお迎えし、「通常学級における、発達につまずきがある子どもの輝かせ方」というテーマで講演していただきました。その一部をご紹介します。

まず初めに、子どものつまずき、困難さを感じるところからセミナーはスタートしました。文章を目で追いながら音読するのが困難な状態、体をうまく動かせない状態を体験し、どんな支援があれば、その子にとってよいのかということを考えました。音読で困るならリーディングスリットを活用してみる、運動で困るときは、手順表示をしてみるなどの手立てを提示されました。その子の立場になって考えることが大事であると学びました。
「子どもはルールよりもラポール(信頼関係)に従う」というお話がありました。信頼関係の中身は、1自分が認めた大人、2自分のことを分かってくれる大人の2つ。やり方(How to)を求めがちだけれども、あり方(To be)を見直さないといけないことを教えていただきました。
崩れる学級の原因についてもお話していただきました。学級経営には、「軸・枠・型・幅」が必要だが、これらを崩しにお試し行動をとる子がいます。また、教師に過度な身体接触をしてくる子がいます。「ぶれない、動じない、揺るがない、かつ、その子の持ち味を引き出す」ことを目指すとお試し行動をさせなくすることにつながります。腕に巻きついてきたり、膝の上に座ってきたりする子は意図的に離れないとどんどんエスカレートしてしまいます。「距離をとる」、「やってもらえるという誤学習をさせない」という2つを心がけていくひつようがあると教えていただきました。

川上先生セミナー2

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子どもたちの中には、理解がゆっくり「スローラーナー」がいることをお話しされました。スローラーナーは、行間を読み取ること、比喩的な表現を理解すること、言葉の書き写しになどに困難を抱えている。そんな子どもの学びにくさの分かる教師になろうということをお話していただきました。
川上先生は、お話の間にペアトークを何度か行いました。ペアトークの意義として、1理解のレベルを揃える、2インプットした内容はアウトプットで定着する、3他人のフィルターを通して学ぶ、4話すことでガス抜きができ、集中力が続く、の4つを挙げられました。しかし、ペアには能力差があるので、質問の難易度で調整するなど、配慮が必要なことを学びました。
「安心してわからないと言える教室をつくりましょう」というお話もされました。わからないが続くとやろうとしなくなってしまいます。対策としては、援助要求スキルを教えてあげる。しかし、スキルだけでなく、自尊感情と合わせて考える必要があります。困ったが言える人は自尊感情が高い人で自尊感情が低い人は、恥ずかしいという気持ちを持っています。だから「ピンとこない人?」など間接的に聞くことも一つの手段。そしてできたことは、「できたね!」と褒めてあげる、自尊感情を大切にすることを学びました。

川上先生セミナー3

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「できていることを発見しよう」というお話を聞きました。苦手を強みにするリフレーミングで視点を変えて、子どもの価値を引き出すことができます。反省しない→切り替えが早い
褒め方についてもお話をしていただきました。コツは短く、太く。「あー」(納得)、「いい」(同意)、「うーん」(降参)、「えー」(驚愕)、「おー」(感嘆)皮肉を込めずに褒めることが大切です。高学年向けな大人っぽい褒め方もベスト5で教えていただきました。1深い(読みが)2鋭い(見方が)3大きい(スケールが)4ちがう(着眼点が)5助かる(頼りにする)
逆に叱り方のコツも教えていただきました。コツは、褒めるときと同じで、短く、太く。気を付けなければならないことは、1行動を叱る(人格の否定をしない)、2意欲まで否定しない、の2点です。最後は、ハッピーエンドで終わるとスッキリします。叱るには、「覚悟」、「基準」、「技術」が必要です。効果のある褒め方・叱り方は、どちらも好球必打であることを学びました。
最後に二次障害についてお話していただきました。周囲の無理解や誤解は、ODD(反抗挑戦性障害/反抗挑発症)やOD(行動障害・素行症性 )などにつながることがあります。二次障害に陥らないためには、1「ポジティブな自己理解、2「レジリエンス」の高さ、3誰かに必要とされている感覚(貢献感覚)が大切になります。レジリエンスは「心の回復力や抵抗力、再構成力」などと定義されます。学校には、もがき苦しんでいる子の気持ちが分かる教師が必要です。子ども達の日常的な姿を見ている教師だからこそ、サポートができると教えていただきました。
今を見直し、教師としてどうあるべきかを見つめ直す2時間でした。参加者の振り返りからも明日から頑張ろうという思いが伝わるセミナーになりました。

多賀一郎先生セミナー1

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 本年度最初のセミナーは、追手門学院小学校講師の多賀一郎先生をお招きして、「学級にプラスの風を吹かせる〜ヒドゥンカリキュラムを意識した学級経営」というテーマで講演をしていただきました。このホームページでは、その一部を紹介します。

〇居心地のよいクラスとは
 安心感や明るさ・あたたかさのあるクラスがよい。「ちゃんと話を聞いてもらえた」、「自分のことを見てくれている」という思いが、子どもの安心につながる。教師が冷たくては子どもをあたためられない。教師自身があたたかく健康に生活していることが一番である。

〇どんな人を信頼できないか
 信頼感の観点は人によって違う。逆を考えて、どんな人は信頼できないかを思い浮かべると、以下のことが考えられる。教師も一人の大人として子どもの前に立っていることを忘れてはいけない。
・言う事がころころと変わる
・人によって態度が変わる
・お金に汚い
・偉そうにする、人を見下す
・他人を利用する
・話を聞かない

多賀一郎先生セミナー2

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〇授業の布石となるヒドゥンカリキュラム
・注意でなく、手をかける
普段行っている机間巡視にも目的がなければならない。見かけた時に注意ばかりしていると子どもはいつか爆発する。話している子どもたちがいたら、その子たちの間に入って授業をする。すると、自然と静かになる。細かいところには口ばかりではなく、手をかけることも大事である。

・第一声の直前の空気を読む
休み時間の遊びから帰ってきたら、いきなり授業始めるのでなく、いったん授業の準備をさせる。遊び時間が子どもの仕事なので、いきなり切り替わるわけではないということを意識したい。


〇気づかないまま伝わってしまうヒドゥンカリキュラム
・嫌味と皮肉を言ってしまう
嫌味や皮肉は言い返すことができずに、嫌な思いだけが残る。「お前が90点とるなんておどろきだ」、「君にも得意なことがあるんだね」といった一言が子どもを傷つけている。

・子どものマイナス点にこだわる
こだわるとこは見極める必要がある。子どものマイナス点はいくらでもあるが、その中でもプラスの点を探すのがプロの教師としての仕事である。

多賀一郎先生セミナー3

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〇保護者から教師はどう見えているのか
・「見た目」は大きい判断要素
プロだからこそ、よく見せようとしなければならない。
1 服装、髪型
2 声のトーン、大小
3 姿勢
4 語り口調
5 挨拶

・先手必勝の論理がヒドゥンカリキュラム
1 連絡帳に一言書いている
2 電話で余計な一言が相手に残っている
3 トラブルは、先に連絡


 具体的なお話ばかりで、普段の生活を振り返る2時間となりました。アンケートにも、「普段やっていた言動のマイナスの効果に気づくことができた」という感想を書かれた方が多くいました。プロの教師として子どもに接するときのポイントを学ぶことができた、多賀先生のご講演でした。ありがとうございました。

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