記録は注意する材料ではなく成長を見守るためのもの

学校では、子どもたちの忘れ物や提出物などをチェックして記録することがよくあります。3回忘れ物をしたら、ペナルティを課すといった先生もいらっしゃいます。
このようなチェックを全面的に否定するつもりはありませんが、少し考えてほしいことがあります。それはこれが子どもたちにとってネガティブなものになっていないかです。多くの場合、記録はよく忘れる子どもを注意するための情報源になっています。「○○さんは忘れ物が多いので気を付けてあげてください」と保護者に対してお願いをする時のエビデンスとして利用されることもあります。保護者が事実を知って、子どもを注意する材料になっています。きちんと提出するのがあたりまえのことなので、できている子どもがほめられることはあまりありません。先生も、○○さんは忘れ物が多い、どうしようと記録を見てため息をついています。これでは、だれの気持ちも明るくなりません。

なんとか忘れ物をなくしたいと思っての手法ですが、注意することで行動を変えようとすることは、言われたからやるという行動パターンにもつながります。自主性が育ちにくいのです。チェックされるからではなく、忘れ物をしないように自ら意識できるようにすることが大切です。
具体的には、子どもたちをほめる材料にすることを意識するのです。例えば何日か続けて忘れ物が無ければシールをあげるといったやり方です。注意をしてほしいのが、全員が忘れ物をしないことを目標として強く押し出さないことです。ある子どもが忘れ物をして達成できなかった時に、その子どもが非難される恐れがあるからです。たまたま全員が忘れ物をしなかった時に、「すごい」「うれしい」と喜ぶくらいがよいでしょう。
では、忘れ物をした子どもにはどう対処すればよいでしょうか。忘れないためにどうするのかを一緒に考える姿勢で接します。どうしたら忘れ物をしないか一緒に考えてあげるのです。4月の時期であれば、忘れないためにどんな工夫をしているか、するとよいかを全体で共有することも必要でしょう。忘れ物が多い子どもに対しては忘れ物が減ったことをほめるようにします。記録はそのために使うのです。
保護者に対しても、「○○さんは頑張って忘れ物が減っています。ゼロになるまでもう一息ですので、見守ってあげてください」といった伝え方をすると、自然と協力していただけると思います。

全員の忘れ物をなくそうと意気込む先生も多いと思いますが、ほめて育てていくことで忘れ物は減っていくはずです。「全員」と力を入れ過ぎず、できない子どもに対しては、根気よく長い目で見守ってほしいと思います。記録は注意する材料ではなく、子どもの成長を見守るためのものと考えてほしいと思います。
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