3学期の学級経営を考える

3学期は1年の総仕上げの時とよく言われます。しかし、卒業式以外に大きな行事もなく、具体的に何を大切にすればいいのかよく見えない時でもあります。ともすると惰性で過ぎていってしまうこともよくあります。3学期の学級経営を考えてみたいと思います。

総仕上げの時として、まず何ができていて何ができていないのかを明確にすることが必要です。学級経営がうまくいっているときは、年度当初に考えた目指す姿に子どもたちが近づいていると思います。安定した学級の居心地の良さに安住するのでなく、新年度に子どもたちが更なる成長をするために必要なことを意識する必要があります。もし、この子どもたちを新年度に続けて受け持つとすればどのようなことを目標にするでしょうか。今年うまくいったからそれで完成というわけではありません。短い3学期の間に次の目標を達成することは難しいかもしれませんが、新年度に子どもたちが飛躍するための助走をする時期と位置付けて新たな目標を設定してほしいと思います。
また、よい学級の雰囲気に支えられている子どもの中には、新年度の新しい学級での人間関係でつまずく子どもも出てきます。学級がよい状態で担任に余裕があるからこそ、そういった子どものソーシャルスキルを高めるといった、個への働きかけも視野に入れてください。

年度当初に思い描いた姿と今の姿に少しギャップがある場合はどうでしょうか。この場合、担任がチェックすることはもちろんですが、子どもたち自身に振り返らせることが大切です。できていることを担任は大いに喜びほめてください。そして、できていないことを再度目標として、これを3学期に達成することを総仕上げとしてください。できていることをしっかり評価することで自己有用感が高まり、できていないことを達成しようとする意欲につながります。残りの時間が少ないからこそ最後の目標を達成しようというエネルギーが高まり、集中して取り組むことで期待以上の成果をあげてくれるものです。

残念ながら学級経営がうまくいっていない場合はどうでしょうか。この場合は、子どもとの人間関係がうまくいっていないことがほとんどです。やり直そうにも残された時間はあまりありません。3学期を何とかしのいで、新年度にリセットしてやり直そう。そう考えるのではないでしょうか。実は子どもたちも同じことを考えます。これでは3学期は互いに耐える時となって学級のエネルギーは上がりません。現状維持どころかますます難しい状況になってしまう可能性も高くなります。うまくいっていないからこそ前向きに取り組むことが大切です。新年度から変わろうとしてもなかなかうまくいくものではありません。新年度に変わるためにも今変えることが大切です。項目を絞って何を徹底させたいかをきちんと決めます。そして、子どもたちに教師自身も変わろうとしていることを伝えてください。その上で、再度設定した最後の目標を一緒に達成したいと話すのです。今までうまくいっていなかったのですから、すぐに結果がでることはありません。しかし、変わろうとする姿勢を見せることが子どもたちとの関係を修復することにつながります。教師が変わろうとしていることを子どもたちが感じてくれれば、新年度に同じ学年を持つことになったときに、大きな力となります。そうでなくても、子どもたちがよい方向に少しでも変わればそれはとても効果があることだったといえます。同じことをリセットされる新年度のスタートから意識しておこなえば、効果ははるかに大きくなります。自信を持って同じことをすればいいのです。

3学期はあっという間に過ぎてしまいます。仕上げの時であることを意識すると同時に新年度へどうつなげるかを意識した学級経営をおこなってほしいと思います。
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