表を読み取る力をどうつける

資料として数値の入った表を利用することがあると思います。表をもとに考えさせる、気づいたことを発表させるといった活動もよくあります。しかし、子どもが育っていなければ、「表を見て気づいたことない?」といった問いかけではなかなか気づくことはできません。表を読み取る力はつけるためにはどのようなことを意識すればよいのでしょうか。

表は数字がいくつも並んでいます。多くの場合、表を見るようにいっても、漠然と眺めるだけで一つひとつの値の違いを比較したりはしません。まず数字をきちんと意識させることから始める必要があります。
その方法の一つに表の数字を読み上げさせることがあります。全員で一斉に読み上げることで五感に訴えることができます。
表の一部を空欄にして書き込ませるという方法もあります。このとき、値を板書するなどして目で見て写させるのではなく、教師が値を読み上げて書き込ませるとよいでしょう。ただ写すだけだと漫然と数字の羅列としか意識しませんが、耳で聞いて書き込もうとすれば、数を数字に変換する過程で値を意識することになるからです。子どもたちが育ってくるまでは、値の変化を意識させるために「あっ、ずいぶん増えたね」「同じような値が続くね」といったコメントをはさんでもよいでしょう。
表を見る視点を明確にするために、「1番大きいのはどこ?」「小さいところは?」「1番大きく値が変化しているところは?」と問いかけたり、印をつけさせたりといったことも必要です。時間があれば、表を値の大きい順に並べ替える、グラフにするといった作業をさせることも有効です。

子どもたちが育ってくれば、意識して表を読み取ろうとするようになります。気づいたことをただ発表させるのではなく、「どこに目をつけた?」「何に注意した?」「どうやって気づいた?」といった、表を見る視点や読み取る方法を問いかけるようにするとよいでしょう。また、表の読み取りに入る前に、「表を見るとき、どんなところを見るとよかった?」と意識させてもよいでしょう。表から読み取ったことだけでなく、読み取り方を共有していくことで読み取る力を定着させるのです。

表を読み取る力をつけるためには、数値に注目し比較をする、変化を見るといった活動や作業を経験させることが大切です。子どもたちに視点が育って、はじめて「気づいたことは?」という発問で子どもたちが気づけるようになるのです。

子どもの発言をつなぐタイミングを考える

子どもの発言をつなぐことが大切(「子どもの発言つなぐことを考える」参照)ですが、自分の意見を発言したくてなかなか待てない子どもがいます。友だちの発言についてどう思うか問いかけてもうわの空で、自分が発言するチャンスが早く来ないかとイライラして待っている。そんな子どもの姿を見ることがあります。小学校の低学年に多いように思います。一人ひとりの考えをその場でつなごうとしても、子どもの聞く姿勢が育っていなければなかなか難しいものです。その場でつなぐことが難しいときはどのタイミングでつなげばいいのでしょうか。

発言したいという気持ちをまず満足させるために、テンポよく次々に指名していく方法があります。子どもたちに一通り発言させて、発言したい気持ちを落ち着かせるのです。子どもの意見が一通りでると、教師は出てきた子どもの意見を自分でまとめたくなります。そうではなく、このタイミングでつなぐことを考えるのです。そのためには、一人ひとりの発言を「なるほど」と受け止めると同時に、誰がどのような発言をしたか教師がしっかりと覚えておくことが必要です。子どもたちの発言の中から、深めたい考えや同じような意見など取り上げるべきものを選び、「みんな、○○さんの意見覚えている?」と問いかけます。ここで、「・・・という意見があったけど覚えている」と内容を教師が説明するのではなく、固有名詞で取り上げることが大切です。友だちの発言をちゃんと聞いていなければ、思い出せないので聞くことを意識させることができます。覚えている子どもがいれば、発言させてから本人に確認します。もしいなければ、「○○さん、もう一度聞かせてくれる。みんなしっかり聞こうね」と本人に再度発言させます。ここからつなぐことを始めればよいのです。他の発言とつなげるのであれば、「今の○○さんの意見と似た意見があったけれど、誰の意見だったか覚えている?」「似た意見を言った人はいた?」と問い返すことで、聞くことを意識させます。
このようにして、発言することから聞くことに価値の比重を移していくのです。

子どもたちは発言したい気持ちが強いため、初めはなかなか友だちの発言を落ち着いて聞くことができません。そのような場合は、とりあえず発言させることで、発言したい気持ちを満足させましょう。その上で子ども同士の発言をつないで、友だちの発言を聞き、かかわりながら考えを深めることを経験させます。しっかり聞くことが活躍のチャンスを増やすと知ることで聞く姿勢が育ち、一つひとつの発言をその場でつないでも、発言したい気持ちを抑えてきちんとかかわれるようになるのです。
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