指示に従うことを目的にさせない

指示を徹底することは授業規律の基本です。例えば、作業が終わったら鉛筆を置いてよい姿勢をとるように指示する場面がよくあります。この時、全員が指示に従っていないのに先生が話し出してしまうことは、授業規律を乱してしまいます。このことをよくわかっている先生は、子どもたちが全員よい姿勢をとって先生に向かって顔を上げるまできちんと待つことができます。ところが、全員指示に従ったのを確認して先生が説明を始めると、とたんに先ほどのよい姿勢が崩れてしまう場面に出会います。この傾向は、指示が明確で細かい方に多いようです。これはどういうことなのでしょうか?
どうやら、指示に従うことが子どもたちの目的となっていることが原因のようです。子どもにとってはよい姿勢を取れば先生の指示に従ったことになるので、それでよいのです。先生が細かく指示をするので、指示されたことだけをやればよいと思うようになっているのです。先ほどの場面であれば、「今から大切な話をするので、集中して聞いてね」と次の指示をすれば、それに従うので表面的には解決するのですが、それではいつまでたっても指示待ちの子どものままです。

先生が特に指示を出さなくても子どもたちがよい姿勢をとり、話を集中して聞く学級もあります。そういった学級の特徴は、まず先生が子どもたちをよくほめていることです。最初は指示に従ったことをほめていますが、そのうちに指示を出す前に行動できる子どもが出てきます。そういった子どもを積極的にほめているのです。「○○さんよい姿勢で待っていてくれているね。言われなくてもやれているのはすごいね」というように、自分で判断してよい行動をとっていることを価値づけしてほめるのです。こうして指示に従うことから、次はどうすべきかを予測して行動することを意識させるのです。話を集中して聞かせたければ、「今から大切な話をするよ」と次の場面の説明だけをして、「○○さん、しっかり先生の方を見てくれているね。うれしいね。聞く気充分だね」とほめることで、言われなくてもできる子どもを増やすのです。最初は具体的な指示をたくさんする必要がありますが、次第に指示を減らしていくのです。学級が育ってくると、先生の指示は少なくなります。子どもたちがよい行動をとった時に、いちいちほめなくても子どもと視線を合わせて笑顔になるだけで十分子どもたちは認められた、見守ってもらえていると感じます。このような状態を目指すとよいでしょう。

子どもとの人間関係がよく、指示がきちんと通るようになると、どうしても指示することで子どもたちの行動をコントロールしようとしてしまいます。子どもたちは指示に従えばいいと考える、指示待ちになってしまいます。指示が通るからこそ、指示を減らすことを意識してほしいと思います。
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