小学校で、新年度に向けての講演を行う

昨日は小学校で、「学級経営・授業の基本の確認−新学年のスタートにあたって−」と題した講演を行ってきました。年度末の忙しい時期ですが、新年度が始まってからでは時間が全く取れないということで、この日になりました。

4月は子どもたちも気持ちをリセットする時です。今年の担任はどんな先生だろうと興味を持って臨みます。前年度よい学校生活を送れなかった子どもも、「今年は!」と期待してやってきます。しかし、子どもたちのこの意欲の賞味期限はとても短いものです。維持できるのは最初の3日間くらいでしょう。この間に、「今年は楽しそう」「今年は頑張れそう」という気持ちを持たせることが大切です。常に笑顔を心がけ、子どもたちの気持ちを前向きにすることを意識してほしいと思います。具体的には子どもたちを認める、ほめる場面をたくさんつくることです。注意してほしいのは、子どもたちにおもねることとは違うということです。学級の規律をきちんとつくり、安心して暮らせる学級にするのです。
そのためには、学級のルールを明確にすることです。「時間を守る」という抽象的なルールではなく、「チャイムが鳴り終わる前には席につく」「席についたら、姿勢を正して号令を待つ」というように具体的で、できているかどうか明確に判断できるようなものにするのです。その上で、子どもが守れたら「ほめる」ようにするのです。全員できるまで待つことは大切ですが、たとえ一人でも、できた子どもを固有名詞でほめるのです。何をすればほめられるか、認められるかがわかれば、子どもは実行しようとします。悪い行動を減らそうとするのではなく、よい行動を増やす発想です。最初の1週間で、学級のルールが何かを子どもたちにしっかりと伝え理解させます。そして、たとえ不完全でもできたことを、たとえ一人でもできた子どもをほめながら、100%になるように徹底していくのです。ゴールデンウイークまでが勝負です。まずここまでに達成することを目標にしてほしいと思います。
また、教師が指示することが多い時期です。一方的に話を聞くばかりでは、子どもは受け身で疲れてしまいます。子どもが受け身にならないようにすることも意識しなければなりません。作業の指示をしたなら、子どもに「大丈夫?今から何をすればいいのか説明してくれる?」と確認し、聞けていれば「よく聞けていたね。ありがとう」とほめるというように、とにかく、子どもをほめる、認める場面をたくさんつくるのです。

授業では、子どもの発言に対して、まずは「なるほど」と認めることから始めます。この先生の授業では、どんな発言も認めてもらえる、間違えても恥をかかないという安心感を学級につくることが大切です。指名して答えられなくても、「ありがとう。また、聞くからね」と子どもが起立して答えようとしてくれたことを認めるといった対応をしてほしいのです。また、子どもたち一人ひとりをとにかくしっかり見ることが大切です。授業中に先生の温かい視線を感じるだけで、子どもたちは安心します。子どもたちを眺めるのでなく、一人ひとりに視線をしっかりと落とし、視線が合えば笑顔を返すことが大切です。

時間の関係で、子ども同士の関係をつくることはあまりお話しできませんでしたが、来年度は5回ほど訪問する機会をいただけましたので、次の機会にこのことはお伝えしたいと思います。

先生方は、若手もベテランもとても真剣に聞いていただけました。来年度に向けての意欲を感じました。先生方の4月がどのようなものになるのか、報告を聞くのが今から楽しみです。
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