数学の授業アドバイスを助けてくれる本

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今日は、本の紹介です。小牧市立小牧中学校長の玉置崇先生編著の「中学校数学授業のネタ100(1年〜3年)」(明治図書)です。

この本のタイトルを見た時に、子どもたちに興味を持たせる、いわゆる「面白ネタ」の本かと思いましたがそうではありません。どのように説明すると理解がしやすいかという「説明ネタ」、興味・関心を引く「課題ネタ」、定着させるための「習得ネタ」、ICT機器や作図ツールを活用する「教具ネタ」の4つの視点で集められたネタ集です。

感心したのが、練りに練ったネタというよりは、特別な準備もなしに、明日の授業ですぐに使えるものが、単元ごとに整理されていることです。授業をどう進めたらいい、子どもたちにどのような課題を与え活動させようと悩んでいる先生にとって、大きな助けとなる本です。
しかし、この本の真価は別のところにあります。解説には、なぜこのようなネタを考えたのか、どこがポイントなのかが書かれています。数学の授業において何が大切なのか、この単元で何を押さえなければいけないのかがしっかりと解説されているのです。問題の解き方ばかりに目がいって、数学的な価値、ものの見方・考え方を意識できていない数学の授業によく出会います。できる限りその場でアドバイスしていますが、別の単元になれば、また同じことの繰り返しです。教科書にそって全部解説しなければいけないのかと、がっかりすることがよくあります。泥縄的な、明日の授業のネタ探しにも役立ちますが、中学校数学の解説書として素晴らしい価値があるのです。担当学年だけではなく、まず全学年を通読することがこの本の正しい活用法だと思います。

また、解説にはどのようなところで子どもが間違えるのか、つまずくのかも書かれています。学生時代に中途半端に数学ができただけで、教える経験の少ない教師は、子どものつまずきを予想できません。つまずきを見過ごし、試験をしてみて初めて子どもが理解できていないことに気づくことがよくあります。子どもの間違いを予想し、対応を考えるためにもとても役に立つのです。

わかりやすいネタの形を取りながら、基礎的な数学の授業力をつけるために必用な知識や情報が詰まっている本です。若手だけでなくベテランにとっても、ポイントを確認し、引き出しを増やすことで授業の底上げができる本だと思います。私にとっては数学の授業アドバイスの苦労を軽減させてくれる本です。このような本が世に出たことに感謝します。

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